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女神様の絵本箱

「涼宮ハルヒの憂鬱」の二次創作小説ブログです♪ 基本甘々ハルキョンキョンハルメインです(^▽^)/ 先ずはSSリストよりどうぞなのです

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そして、夢見る少女は大人の階段を昇る……⑪(大人キョン君視点)

そして、夢見る少女は大人の階段を昇る……


・粗筋:過去から帰還したキョン君を出迎えるSOS団の仲間達!!

*****

「続きを読む」からは ……

 大人キョン君視点⑪:
【……そう、全てはお前の奇天烈自己紹介から始まったのさ
  (……そう、全てはお前の奇天烈自己紹介から始まったのさ:前編)】


……になりまーす(^▽^)/



*****


 これがコハルタイムトラブル事件(命名:俺)の大まかなあらましだ。記録すべき事は粗方書いてしまったし特筆すべき事は殆ど無い。……1つ2つを除けばな。故にそれらを書き上げてさっさと終わりにしようと思うので、今暫くお付き合い頂きたい。

 あぁ、そうだな。

 今更言うまでも無いが、念のためだ、俺とコハルは存在すべき時間軸に無事帰還を果たす事が出来た旨……先ずは報告しておこう。

*****


「……ん?」
 頬を微風に優しく撫でられ我に返ってみると、視界内には見慣れた普遍的通常空間が広がっていた。どうやら先程の異空間から復帰したらしく、俺は木製のベンチに腰掛けている。空はとっぷりと暮れ周囲の雰囲気では夜の盛り真っ最中ってな感じであった。
 頭を振り振り辺りを見回すと、其処は各種遊戯具が備わっている平凡な児童公園で、何やら見覚えがあると思いつつ記憶を引っくり返してみると、何の事は無い、子供達が頻繁に遊びに行く近所の公園である。
 それを確認すると同時に、俺は本来居るべき時空に戻っている事を理解した。何と言うか空気の匂いとか雰囲気とかそんなんでな。


 自分が置かれた状況を認識した直後、己以上に大切なコハルの安否へと意識が跳んだ。だが、有り難い事に「コハル!?」と名前を呼ぶまでも無く、俺の肩に頭を預ける形でスピスピ寝入っている愛娘の姿を発見。その愛くるしい寝顔を確認するや否や、安堵の余り全身から力が抜けた。その心地良い脱力感に包まれつつマジでホッと一安心する俺。
「やれやれ……」
と呟きつつ、コハルを起こさない様にと気を遣いながら、ざっと目視した感じでは怪我をしたり具合が悪そうには見えない。俺は再度安堵の溜息を吐きながら、反射的にその頭を撫で「色々と有難うな、コハル」と感謝の言葉を口にしていた。
 だが、撫で撫でしつつ親としての保護欲を満たしていると、在るべき位置にトレードマークであるカチューシャが無い事に気が付き、そのお陰で俺は思い出す。俺達のためにあの場に残った少女の事を。


 渡橋泰水……。


 ハルヒの無意識的分身とは言え、俺にとってヤスミは別人格を備えた確固たる一個人であり、SOS団的に言えば唯一の後輩でもあった。恐らくハルヒや他の団員に直接問い掛けても同じ様な答えが返って来るに違いない。
 そして、今回も俺達のために身を粉にして東奔西走してくれたのだ。おきゃんなコハルをしっかり保護しててくれたのだ。幾ら感謝してもし過ぎると言う事は無いだろう。


 だが……。
 前回の別れ方も今回の別れ方も突然過ぎて、何と言うか、感慨に浸る暇すらないじゃないか。感謝の言葉をきちんと伝える事も出来てないじゃないか。
 それに何だって? もう会え無いだと? 
 それは過去から還って来れ無いと言う意味か、それとも今後呼び出される事は無いと言う意味か?


 その自問に対する正しい回答を俺は持ち合わせていない。
 しかし、今此処に居るのは俺とコハルの2人だけであると言う事実が、答えを暗に物語っている様に俺は感じていた。
「……確か、二人乗りだとか言ってたな、ヤスミの奴。……そうか、そういう事か?」
 何処と無く納得しちまった様なその小さな独り言に、当の本人が凄まじい喪失感を受ける。だが、俺は大きく息を吸い気分を落ち着け、それを跳ね除けるべく固く固く決心した。


 だからこそ、俺はヤスミの事を忘れてはいけないのだ、いや、覚えていなければならないのだと。


 ヤスミも笑顔を浮かべて敬礼しながら、
「わたしの事、絶対に忘れないで下さいなのですっ」
と別れ際に言ってたじゃないか。
 後輩との最後の約束を俺は破る事は出来ない。だから、ヤスミの天真爛漫な笑顔を心の中に留めて於く事で……彼女の願いに答えたいと思った。そして、それは俺だけでは無く……コハルも、そう、コハルも同じ気持ちであると俺は確信する。優しく思いやりのあるコハルの事だ、何時までも、大人になっても覚えていてくれるに違いない。ヤスミの事を。楽しく素敵な記憶と共にな。俺以上にしっかりはっきりと。


*****


 さて、この公園から自宅までゆっくり歩いて数分、苦になる距離ではない。
 時間遡行をしたせいだろうと思う、海水浴帰り的心地良さ気な爆睡状態コハルさんをおんぶし我が家に凱旋を果たすと、待ってましたとばかりにSOS団の面々が挙って出迎えてくれた。それぞれに相応しい言い草で俺達親子の無事を祝ってくれ、それを耳にした瞬間の安堵感と言ったら言葉も無い程で、
「あぁ、俺は還って来たんだな」
としみじみ実感しちまう俺は、まぁ、単純なんだろうな。


 そして、その流れのまま二階に直行。身動ぎ1つせず気持ち良さそうに爆睡するコハルをそっと布団に寝かせ終わると同時に、「念のために」と長門が診察を買って出てくれた。有り難い。そして、万能娘長門さんの診断の結果、俺もコハルも「健康体」とのお墨付きを頂き、懸案事項を1つ減らしてから俺達はリビングへと集合、其処で朝比奈さんのお茶を飲みつつ情報交換を試みる。


 今も変わらぬSOS団的作戦会議の風景だ。


 時間遡行以後の過去と現在での大まかな出来事をダイジェスト版で互いに説明しながら幾つか質疑応答を交わし———どうやら状況的に問題もなさそうだし、それに時間も時間である———今回はお開きにしようと言う流れになった。
 まぁ、ぶっちゃけ、
「目出度い目出度い。事件解決一本締めの出番で御座います!!」
って事さ。


*****


 その後SOS団の面々を見送るため最寄り駅まで共に歩き、そして、改札前での別れ際、尋ねていいのかどうか迷いながら呼び掛けた俺の声は酷く緊張し掠れていた。
「なぁ……長門、ゴホン、あー、1つ聞いて良いか?」
 だが、平素と変わらぬ長門の「何?」と言う小さな返事を耳にした瞬間、その緊張感も許容範囲まで薄まり、そのお陰で俺は此方に帰還して以降抱いてきた不安を口にする勇気を得る事が出来たのである。
「ゴホン。コハルなんだがな……その、又、時間遡行しちまうって可能性は……どうなんだ、有るのか?」
 娘の将来を憂えた俺の切れ切れ恐る恐るな問い掛けに長門大明神は即答。
「無い」
「え!? ほ、本当か? ……いや、その前に、何故俺達は時間跳躍出来たんだ?」
 一瞬、勢いで納得安堵しかかり、だが、どうにか更なる質問を飛ばす俺を、何時もの如く静謐な瞳で見詰めつつ長門は淡々と説明を施してくれる。


「元来普遍的地球人類である貴方の愛娘が時間跳躍を実施出来たのは、涼宮ハルヒの所有する情報改変能力を一時的に引き継いでいた故。だが、今回目的を果たした事で涼宮ハルヒは彼女の使用権限を抹消、その能力は回収済み」
「済まん、何だって? ハルヒが譲渡していただって? へんてこりん能力を? コハルにか?」
「そう。勿論、涼宮ハルヒの無意識下の行動。以前の渡橋泰水と同じ状況であると類推する」
「…………」
「貴方があの時間帯あの場所に独りで存在する事、それが事件解決の絶対的必要条件だと涼宮ハルヒが判断したと思われる」
「待て待て、お前の言う“貴方”ってのは、今の俺……詰まりは、あー、“ジョン・スミス”が……って事か?」
「そう」


 何やら久しぶりに長門さんの素っ頓狂な解説に接し、何と言うか、表現し辛い妙な懐かしさを覚えつつ、だが、それ以上に俺が感じたのは、その説が正しいとして———いや長門の事だ、万が一と言えども間違っていないだろう———我が妻にどれだけ心配と負担を掛けているんだ?と言う自責の念であった。
「……ちょっと待て。って事はだ、俺はこの歳になっても、未だにハルヒの妙ちくりん能力に守って貰ってるってのか?」
「いえ、そこまでご自分を卑下される事も無いのでは?」
 その呆然とした呟きに反応したのは、誰あろう、イケメン副団長殿であり、物問いた気な俺の視線を受けて古泉はヒョイっと肩を竦める。
「涼宮さんとしては貴方限定で能力を行使された訳ではない……と愚考致しますが?」
と前置きしてから古泉は嬉々として自説を披露するのだが、あー、例の如く回りくど過ぎて全部書き切れん、済まんが、こんな時間だし概要だけで許して欲しい……とまぁ、本人が聞いたら苦笑するであろう断りを心の中で嘯きながら、副団長殿の仰った有り難い言葉を簡潔に纏めると以下の様になる。


 ———家族を守ろうと考えているのは俺だけじゃなく、そのパートナーであるハルヒも当然同じ事を心の中で誓っている筈であり、況してや、今回は俺達2人の仲が最も拗れ断絶の危機に陥っていた過去の事象が対象だ。そして、結果はと言うと、その身内の窮地に対し家族全員で一致団結、力を合わせて対処した———。


「……その様に解釈すると、この件を境に貴方方家族の精神的絆はより深まる事になるのではないでしょうか? ふふ、羨ましい事です」
「…………」
 そのくどい説明とは裏腹にアッサリとした感想で締め括られた古泉の台詞へ俺は直接反応する事無く、もう1人の異能者へとゆっくり顔を向けた。そして、俺の視線を受けた瞬間、朝比奈さんはニッコリと微笑み大きく頷いてくれる。まるで「その通りですよ、キョン君!!」と相槌を打つ様に……。仲間達の伝えたがっている事を薄々察知しつつ、何やら満足気な団員三人の顔を見渡してから俺は夜空を振り仰いだ。
 そして、徐に目を閉じてから想像してみる。ハルヒとコハルの遣り取りを。


*****


「ねぇ、コハル?」
「何、ママ?」
「ちょっと頼みたい事があるんだけど、お願いしてイイかしら?」
「うん、任せてちょーだい!! で、コハル、何をすればいいの?」
「有難う、助かるわコハル。えっとね実は、パパとママ、大昔にすっごい喧嘩した事があったんだけど、でも、仲直り出来てないの」
「えー、ダメじゃん!! 仲良くしないとっ」
「御免ね。でね、コハルにその仲直りのお手伝いをして欲しいんだけど、頼めるかしら?」
「もちろんっ、おーぶねに乗った気でいていいわよ、ママ!!」
「クスクス、えぇ、全部任せちゃうんだから……はい、だから、“これ”を渡しておくわね」
「??? なぁに、“これ”?」
「ふふ、ゲームの特殊レアアイテムみたいなものよ。ちょっとだけ使えるようにしておいたわ。だから、お願いね、あたしとキョンが仲良くなれるかどうか、コハルに掛かってるんだから」
「はーい」


*****


 コハルの可愛らしい返事と共に脳内映像がフェードアウトし、それと同時に俺の口から再度溜息が漏れた。
「やれやれ」
 その妄想が正しいのかどうか、俺には判断が出来かねる。出来かねるが、まぁ、そんな楽しげな遣り取りをあの2人ならマジで交わしそうだ……と納得してしまう自分が怖い。あ、断るまでも無く、現実の話ではなく無意識下での会話で、んー、精神的感応と言うかテレパシーと言うか、まぁ、そんな感じの奴だぞ? ……説明下手で済まんな。
 って言うか、ぶっちゃけ、こんな会話を普通にリビングで和気藹々とされてちゃ敵わん。


 俺は苦笑を浮かべながら、しかし、ボーナス時の給与計算を完了させた総務的解放感に包まれつつ仲間に向き直った。疾うの昔に駅に着いたにも係わらず、こんな夜遅く何時までも友人を足止めするのも悪かろう。
「あぁ、済まん……いや、何と言うか、気が楽に成ったよ」
「いえいえ、礼には及びませんよ。今まで僕達も貴方に助けて頂いてばかりでしたのでね」
「…………」


 長門や朝比奈さんからの謝意なら素直に頷けるものを、古泉の奴、でしゃばりやがって……。


と相当理不尽な事を考えながら俺はソッポを向きつつ「……そうかい」と必要最低限の返答。そして、「やれやれ」と前置きをしながら気分を落ち着け、苦笑気味に離別の意思を込め挨拶を告げた。
「今回も色々と世話になっちまったな。あー、次回の集まりは非日常的現象とは無縁な平和的祭典であって欲しいものだ」


*****


 その挨拶にいの一番で反応したのは朝比奈さんである。見目麗しき未来人さんは深々とお辞儀をしつつ豪く感慨深げな声を出した。
「キョン君、今回も、ううん、今まで無理言って御免なさい……。そして、本当に……本当に……今までお疲れ様でした……有難う」
「止してくださいよ、朝比奈さん。別に俺は嫌々遣ってた訳じゃないんで」
 俺は手を顔の前で振り振り美しき先輩の謝意を受け流し軽口を叩く。朝比奈さんの「変数入力はこれで最後」と言う台詞を思い返しつつ。
「……それに、これで時間旅行が出来なくなったかと思うと些か残念ですね」
「ふふっ、キョン君ったら」
 俺の冗談は未来人的美人さんの心の中の何かを溶かしたらしく、強張っていたその美貌は目に見えて明るくなり、そして、朝比奈さんはふわっと柔らかい笑みを浮かべて別れの言葉を口にする。
「キョン君、それじゃ……又ね。涼宮さんにも宜しくお伝え下さい」


 その優しげな挨拶に俺が反応を返すよりも早く、滅茶苦茶珍しい事に長門が率先して口を開いた。
「今後情報改変は発生しないと私は推測する」
「……何故だ?」
「貴方との婚姻以後、涼宮ハルヒの所有する情報改変能力は順調に減衰中。又、それに伴い活動頻度は日々減少している。何らかの切っ掛けで、常人と変わらぬ範囲に収斂すると思われる」
「はは、そうか。そうなのか。……あぁ、だからか、ヤスミがこれで最後ですと言ってたのは?」
「そう」
と端的に肯定する司書さんの顔を眺めつつ、「長門が明言するんだったら今日から安眠出来そうだな」と軽口を叩く俺なのだが、真面目な長門さんはそれにも律儀に反応。
「安心して。万が一にでも異変が発生した場合、私が即座に駆け付け対処する」
 大きく頷きつつはっきり宣言する万能宇宙人っ娘の頼もしい事と言ったら……って、今更説明する必要があるとは思えん。故に俺は一言だけ告げる事にした。
「色々済まんな、長門」
「いい。平穏平寧の維持。それが私と言う固体の役目であり、そして、希望でもある」


 その何と無く幼児が「あたし頑張る!!」と言い張ってる的可愛さのため父性を刺激されたらしい、思わず長門の頭を撫でたくなる衝動に襲われたのだが、それに耐えつつ、念のためにともう1人にも視線を投げる俺の心遣いを誰か褒めてくれ。
「……お前も何か一言言いたそうじゃないか」
「おや、これは気遣わせてしまいましたか?」
「五月蝿いぞ、副団長。んで、こんな時間だしな、無いならこれでお開きにするが?」
 古泉のニヤケ顔から目を逸らしぶっきら棒に言い放つ俺だったのだが、イケメン副団長はそれを意に介さずに、しかし、世にも奇妙な質問を寄越した。


「そうですね……では、1つ質問を」
「何だ、言ってみろ」
「……若し僕が超能力者で無くなったと仮定したら、貴方はどうしますか?」
「は? 済まん、何だって?」
「万が一にでも僕が超能力者で無くなった場合……僕はSOS団に所属する資格がありますか? 普遍的一般人に戻ってしまった僕にも」
「…………」


 やれやれ……又、この男は妙な禅問答を吹っかけてきやがったな。こんな時間にする事でもあるまいに。


 それがその質問を受けた俺の第一印象であったのだが、しかし、古泉の奴は見た事も無い程の真剣さで返答を待ってやがり、仕方が無い、俺も真面目に答えて遣ろうじゃないか。感謝しろよ、古泉。


「まさかと思うが、そんな下らない事で、ずっと悩んでいたんじゃなかろうな、お前?」
「……いえ、僕にとっては非常に重要な事ですので」
「そうか、それは済まんな。……だがな古泉?」


 俺がそこで一旦口を噤むと、古泉は不安そうな表情を浮かべ無言でその先を促しやがり、やれやれ、全くせっかちな男だな。


「いいか、この際だから言っておくぞ?」
「……伺いましょう」
「いいか、俺達は超能力者であると言う理由でお前と友誼を結んでいる訳じゃない。古泉一樹と言うSOS団副団長を任せられる類稀な男だからこそ、いや、はっきり言おう、肩書き云々は関係無く“お前”だからこそ、今の今まで付き合いが続いている、そしてこれからもな。それを忘れるなよ? ……言うまでも無い事だが、俺は勿論、ハルヒだってな」


 ……一体全体、俺の何処にこんな想いが眠っていたのかと疑いたくなる程の恥ずかしい台詞であり、ったく、こんな赤面モノの自己開示を強要しやがって、覚えてろよ、古泉?


 そんな事を思考している最中、古泉はこれでもかと大きく息を吐き出し、それは……安堵の溜息の様に感じられたのだが、その理由に思い当たる節の無い俺は意識するよりも先に問い掛けていた。
「おい、古泉?……お前、マジで一体どうしたんだ?」
 副団長に対し質問を投げるその声は不審色に染まりまくり、だが、それに直接答える事無く淡々と思いを告げる古泉の目が潤んで見えたのは俺の気のせいだろうか?


「いえ、その一言で今までの苦労が報われた思いがします。そして、僕の言動の方向性を決定付けるのは、何時も貴方の一言だと痛感しましたよ」
「…………」


 俺の一言を切っ掛けに何やら決断を下したらしい、古泉は豪くマジな顔付きで「正直に申し上げましょう」と前置きをしてから重々しく口を開く。


「近々僕は超能力者を……卒業する事になります」


 余りにも唐突な告白に「は? ……済まん、何だって?」と返すのが精一杯の俺を余所に、他の3人は表情1つ変える事無くその場に佇み、古泉の衝撃的発言とは裏腹にその雰囲気は平穏そのものであった。そして、古泉は事を成し遂げた様な満ち足りた笑みを浮かべつつ言葉を続ける。


「先程の長門さんの台詞……あれは真実なんですよ」
「ハルヒの能力が弱体化し消えちまうって、あれか?」
「えぇ。僕には判ります……涼宮さんは全てを肯定的に受け入れてくれたんです。嫌な事も含めて、この世の有りと有らゆる事柄を事象を現実を。嘘偽りの無い笑顔を浮かべて」
「…………」
「故に現実を改変するための能力は封印され、今後閉鎖空間が作り出される事も無いでしょう」


 そこで古泉は一端言葉を区切り俺から視線を逸らして夜空を見上げた。俺も釣られて星空へと視線を動かすと、それを待っていたかの如く副団長は静かに口を開く。どんな想いが込められているのか、その声は微かに震えていた。
「閉鎖空間が産まれないなら……それを解決するための超能力者も……必要無くなるのは、極自然な流れですからね」
 何と言うか、長年見守ってきた妹が独り立ちするのを微笑ましげに見送る兄……と言った風情の古泉を茶化す気になれず、俺は口を挟む事無く無言で夜空を鑑賞し続け、それを知ってか知らずか副団長は口を動かす事を止めず、そして、気が付けば、それは俺に対する質問と言う形式を取っていた。


「宇宙広しと雖も、涼宮さんの意識や思考を変革し得る存在は貴方だけです。恐らくですが今回の時間遡行に於いて貴方が告げた“某かの約束”、それが涼宮さんを納得させるか満足させたのでは?……と僕は愚考致しますが如何でしょうか?」

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  1. 2014/01/27(月) 14:43:01|
  2.  そして、夢見る少女は大人の階段を昇る……。
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
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