女神様の絵本箱

「涼宮ハルヒの憂鬱」の二次創作小説ブログです♪ 基本甘々ハルキョンキョンハルメインです(^▽^)/ 先ずはSSリストよりどうぞなのです

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

サンタを応援すると、イイ事があるんだからねっ(高校生ハルヒ視点)

サンタを応援すると、イイ事あるんだからねっ


「続きを読む」からは ……

 ハルハル視点:【サンタさんっていると思うでしょ? (高校時代・前編) 】

……になりまーす(^▽^)/


*****

 ホントに寒い一日だった。

 “日本全体が極寒地方に移動したに違いないわねっ”……って断言出来ちゃう位に身も心も凍りそうな冷たい風が早朝から吹いていた。
 でも、寒いのも当たり前かもしれないわね。
 だって、今日は年の瀬も押し迫った師走の真っ只中、今年も残す所……後僅かなんだもん。
 だからさ、世間も何処と無く浮かれてるの。
 そんな楽しげな雰囲気に釣られて、

「もう直ぐ新しい年に変わるのね」
「今年も色々有ったし、来年はどんな年になるのかしら? 楽しみね!!」

とウキウキしちゃうのは仕方が無いと思わない?

*****

 そんな訳で、昨晩はSOS団の来年以降の活動方針について、携帯越しにキョンと激論を交わしてたんだけどさ、ふと気が付くと、深夜も深夜、時計の針が凄い時間を差していたの。
 徹夜は美容の大敵とばかりに、挨拶もそこそこにして、ベッドに潜り込りこんだあたしだったんだけど、そのせいなのかどうか……朝起きてみるとちょっぴり風邪っぽかったの。
 普段なら気にも留めないんだけど、「こんな時期に寝込んだりしたら、時間がもったいないわね」と、あたしは用心して風邪薬を飲んで登校する事にしたわ。
 でも、お昼を過ぎる頃には平常通りの体調になってて、あたしはホッと一安心、そして、その安堵の溜息と共に、風邪薬を飲んでいた事すらあっという間に忘却の彼方に飛んで行っちゃったの。

 だから、団活の時には、何時も通り元気一杯のあたしだった。

*****

 普段と変わらない団活風景の中、昨日のキョンとの会談で、真っ先に上がった議題を頭の中で反芻しつつ、あたしは腕組みしながら沈思黙考。

 去年は“あんな事”があったし、色々ドタバタしちゃったし……と言う訳で、今年こそは臥薪嘗胆っ、その悪夢の様な記憶を消し去っちゃう位、徹頭徹尾楽しんじゃうんだからね!!

 そんな決意を胸に、あたしは団長席から立ち上がり、声高らかに宣言した。

「と言う訳で、今年も毎年恒例のクリスマスSOS団大感謝祭を開催しますっ」

 その宣言が響き渡る中、「しーん……」って静まり返った部室内を、あたしは満面の笑みを浮かべて見渡した。
 メイド姿のみくるちゃんは何時もの通りビックリお目々状態だし、古泉君はニコニコ楽しそうだし、有希は読書中だし、だから誰も反対しないし、うん、これってば千客万来で完全無欠の満場一致じゃないっ。

 流石はあたしのSOS団だわ!!
 あはっ、皆で世界を盛り上げましょうねっ。

って大きく頷くあたしに、何処からとも無く不満そうな声が飛んできた。
「いやいや待て待てちょっと待て」
 その予想通りの反応を嬉々として受け止めながら、あたしは声の主へと向き直る。
 態とあたしが「一体、何なのよ?」と頬を膨らませて問い掛けると、SOS団唯一の雑用君がパイプ椅子に凭れつつ、顰め面で口を開いた。
「えー、“何時から恒例になったのか?”とかだな、突っ込みどころ満載なんだが、まぁ、それは脇に避けて……ゴホン、あー、ハルヒさん? 貴方、今、満場一致とか仰いませんでしたか?」
「言ったわよ。え? 何か可笑しいかしら?」
「……俺は自分の意思を表明した心算は無いんだが? 一体、お前は何処の時空から賛同する声を聞きつけたんだ?」
「それってば、あんたの記憶が混乱しているだけじゃないかしら? ……若しかして、若年性健忘症?」
「んな訳あるか!!」

 何時もと変わらない軽妙なトークなんだけど……でもね、思い描いていた通りの会話って言っても、キョンとの遣り取りの場合、下手に回りくどい事をすると妙な事になっちゃうのよね。
 ホント、キョンってば、扱い辛いんだから……。

 2年近い付き合いの中で、色々と経験させられているあたしは、頭の中に収められている“キョン取り扱いマニュアル”に従って、ズバリと正面から切り込んだ。
「じゃあ、キョンは、クリスマスパーティに、参加しないのね?」
 あたしがこんな風にあっけらかんと言い放つとは思っていなかったらしい、キョンは珍しく言葉に詰まり弱々しく頭を振った。
「グッ……い、いや、まぁ、そういう訳ではなく」
「それじゃ、賛成で良いの?」
「あー、まぁ、何と言うか……」
 困り切った表情で言い淀むキョンを見遣るあたしの表情は、きっと意地悪なものだったに違いない。
 キョンを困らせているこの状況を、実はちょっぴり楽しみながら、

「くふふ。まさかねぇ、仲間想いのキョン君がねぇ、皆が楽しもうってぇ、前向きなってるのにぃ、反対する訳ぇ、ふふ、無いわよねぇ?」

って可愛く小首を傾げつつ、あたしはニコニコと微笑み追求する。
 ツンツン。
 チクチク。
 そんな効果音が目に浮かびそうな意地悪な問い掛けを受け、本気で困り果てたらしいキョンが、天井を見上げて溜息を吐いた瞬間の事だった。
「まぁまぁ、涼宮さん。彼も本心ではクリスマスパーティを楽しみにしていらっしゃると思いますので」
 絶妙なタイミングで、笑顔を浮かべたままの古泉君が仲裁に入ってくれたの。
 そして、話題の方向を確定させる様に「キョン君、一緒に楽しみましょうね?」ってみくるちゃんがホンワカと微笑み、止めとばかりに読書に集中してた筈の有希までもが———何時の間にやら顔を上げて、ジッとキョンを見詰めながら———「楽しみ」と呟いた。
 息の合った見事なコンビネーション。
 SOS団のメンバー1人1人が、自分の役割をそれとなく果たしてて、本当にピッタリとピースが嵌っているって感じちゃうこの瞬間が、うん、あたしは大好き。
 「これぞSOS団よねっ」ってあたしが独り「うんうん」と満足気に頷いていると、キョンは観念したらしい、ゆっくりと両手を挙げて態とらしく深々とした溜息を吐く。
「判ったよ、降参だ」
「ホントに素直じゃないんだから!! 最初から“楽しみにしてます”って、どーして言えないのかしら?」
「判った判った本気で俺が悪かったって……確かにクリパは楽しみだ」
って苦笑を浮かべてキョンはあっさりと全面降伏した。
 それに対し、優しいあたしが「宜しい。許してあげるわ」って寛大なる恩赦を与えようとした矢先、キョンは急に真顔になって訴え始めるの。
「只な、ハルヒ? 1つだけ頼みがあるんだが?」
「??? 頼みねぇ……いいわ、聞くだけは聞いてあげる」
「まぁ、何だ、ゴホン、今回は出し物をマジで免除してくれ」
「は?」
「……いや、去年のアレでさ、自分がお笑い向きじゃないって、つくづく思い知らされたんでな」
 キョンは本気の本気で縋りつく様な視線をあたしに注ぐ。
 それは強情っ張りなキョンにしては珍しく気弱な表情だった。
 まるで……、

“飼い主に捨てられちゃった上に冷たい雨に打たれショボくれている小犬が、「くぅん」って鳴きながら足元に擦り寄って来て蹲り、あたしの暖かな庇護を欲しがっている”

 ……そんな雰囲気でさ、その滅多に見られない弱々しいキョンに———庇護欲かしら? 母性本能かしら?———内心ドキッとしながら、あたしは大きく頷いて優しく返事を返してあげたわ。

「何言ってるのよ? 駄目に決まってるでしょ♪」

*****

 そして、それから暫くしてからの事だった。
 あたしとキョンは仲良く連れ立って坂道を下っていた。
 もう少しで日が沈もうかって時間帯で、何時もの通り昼は夜に駆逐されつつある。
 見上げれば、其処此処に瞬く星々の姿が散見出来た。
 冬の寒空……どうしてだか、昔っから妙にシンミリしちゃうのよね。
 あたしは内心呟きつつ、空中に向かって「はぁ……」って大きく息を吐き出した。
 白い吐息が一瞬にして掻き消える様は、今日の寒さを象徴しているみたい。
 
 そんな寒空の中、どーして、あたしとキョンが2人で外出しているかと言うと……あたし達がパーティのための買い出し班に任命されているからなの。
 クリスマスパーティ開催が決定されてから、SOS団随一の実務能力を誇る古泉君の仕切りの下、テキパキと作業分担がなされ、あたしとキョンは足りない物を色々と買いに行く事になったって訳。
 何やらキョンが部屋の片隅で、古泉君に小声で文句を言ってたけど、あたしは気にも留めず、ウキウキとコートを羽織って外出準備をし、「寒い」だ何だとグズる雑用の襟首掴んで部室を後にしたの。


*****


 笑顔の皆に見送られて、あたし達は買い出し任務に出発進行。
 別に特に全然理由は無いんだけど、でも、あたしは何でだかニコニコ笑顔だった。
 並んで歩く男の子の横顔をチラリと窺うと、どーやらキョンも機嫌がイイらしい。
 不満げに溜息を吐いているのに、その目付きは優しく、そして、時折右手で口元を覆っている。
 それは機嫌が良い時のキョンの癖だった。
 そして、掌に隠される直前、その口元が柔らかく微笑んでいるのを目敏く見つけ、あたしの気分も急上昇。
 何と無く足取りも軽くなった気がした。
 今にもスキップしちゃいそうなあたしの雰囲気にキョンも気が付いたらしい、
「ハルヒは機嫌が良さそうだな? 俺達だけで買い出しに行かされてるってのに」
って不満そうな口調で呟く。
 嫌がってる自分を演出しているって丸判りの態度なんだけど、あたしはそれに乗ってあげる事にした。
「キョンは後ろ向きに考え過ぎなの。ポジティブに考えれば、“好きな物を買って来てもいい”って事じゃないっ。アレやコレや……ふふ、何を買おうかしら、楽しみだわ!!」
「本当にハルヒは前向きだな……毎日が楽しそうで羨ましいぜ」
 苦笑気味に溜息を吐き、内心「やれやれ」とでも言ってそうなキョンを、ニッコリ笑顔で諭してあげるあたし。
「ホントにもぅ。いい事、キョン? 何時も教えてあげてるでしょ?」
「教える? ……何をだ?」
「楽しみたかったら、先ずは率先して自分から動きなさいって」
「いやな、そうしたいのは山々なんだが……大体に於いて、ハルヒが速攻で動いてるしな」
「もぅ!! そーやって、直ぐに人任せにするっ」
「悪い悪い……まぁ、何を買うにしてもだ、頼むから食材は食べれる物だけにしてくれよ」


*****

 その後も長い長い坂道を下りながら、あたし達は取り留めの無い会話を続けていた。
 でも、そんな他愛の無い会話がとっても楽しいの。

 お参り先等々……冬休み中の不思議探索目的地について。来年に迫って来たあたし達の受験について。キョンの成績アップの方策について。大学進学後のSOS団活動目標について。
 
 次から次へと話題は湧き出て全然尽きる事は無いし、キョンも———時折突っ込みを入れながら———会話のキャッチボールのペースを乱す事無く答えを返してくれる。
 慣れ親しんだと言っても過言ではないこの空間が、あたしは大好きだった。
 でも、ふと……脳裏に素朴な疑問が浮かんでくる。
 
 どーして、キョンと話していると何時までも会話が続くのかしら? 
 どーして、こうも楽しいのかしら? 
 どーして、こんな時間がずっと続いて欲しいって思っちゃうのかしら? 
 ホントに不思議だわ……。

って考えつつその答えを模索していると、あたしの中のあたしが、ニンマリと意味深な笑みを浮かべた。
 まるで、「あんたの“想い”、あたしは知ってるわよ?」って得意気になってる様な笑みだった。

「な、何よ、その笑みは?」
「ふふん。あたし、あんたの“想い”、知ってるんだからね」
「!? あ、あたしの“想い”って、い、一体何よ!?」
「自分だって、それに気が付いてるくせに……あたしの口から言ってもいいの?」
「…………」
「ほら、あちらを御覧なさい。あそこで大切に保管されてるわよ? あんたの“想い”が」
「!?」

 そんな感じで、自分自身に指摘された心の奥底にある“想い”とやらに意識が集中した瞬間、あたしはそれが何であるのか直ぐに理解した。
 即座にあたしの体温はギュギュンと急上昇。
 一気に顔が火照った。
 理由は単純明快。
 だって、それは……何時の間にかあたしの心の中に住み着いてて、日に日に大きくなってるモノなんだもん。
 
 素直に認めたくは無いけど、それもホントの事で、でも、他の人には気が付かれたくは無い、と言いながら、うーん、キョンだけには早く悟って欲しいんだけどなぁ……って、ちょっとっ、そんな訳無いじゃない!!
 
 自問自答してただけなのに、どーしてだか、あたしの心はパニック状態。
 それを誤魔化そうとでも思ったのか、反射的にあたしはキッとキョンを睨み付け、一言文句を叩き付けた。
 “全部、キョンが悪いんだからね!!”……って抗議の意思を込めて。

「べ、別に、あんたの事なんか!? ……か、勘違いしないでよ!?」
「……は? 何だそりゃ?」

 その発言に対してキョンの寄越した反応は本気のキョトン顔で、でも、それがあたしの羞恥心をこれでもかと刺激するの。

 ちょっ!? あたし、何、口走って……!? ぜ、全然、そ、そんな変な気持ちなんて!?

とか何とか、心の中でアタフタ言い訳をしていると、
「おい、ハルヒ? お前、やっぱり、体調が悪いんじゃないのか? 顔、赤いぞ?」
って言いながら、キョンがあたしのおでこに掌をすっと当てた。
 ヒンヤリしているくせに、ポカポカと温かいキョンの手。
 それが自分に触れていると認めた瞬間、何故だか身体が硬直した。
 文句を言おうにも、喉に何かが絡み付き、息をする事すら出来ないあたし。
 そんなあたしの反応を気に留めてるのかどうか、
「おい……やっぱり熱っぽいぞ、無理してるんじゃないのか?」
 キョンは心配そうに話し掛けながら、片手で自分のマフラーを解き、あたしの首にそれをふわりと巻き付けてくれたの。
 行き成り“女の子扱い”されて、ドキリと心臓が本気で跳ね回った。
 更に顔が熱くなる。
 その瞬間、更なる追撃。
 あたしですらすっかり忘れていた微熱の事を、さらりと指摘するキョン。
「朝から少し様子が可笑しいと思ってたんだが……昨日の夜更かしが原因か?」
「え、うん、あ、ううん、えっとね、そ、そーじゃないの」
「何にしてもだ、この時期に無理して体調崩すと元も子もないだろ? 家に帰って休んだらどうだ、ハルヒ?」
 何時に無く優しく声を掛けてくれるキョンは、ホントにあたしの心配をしてくれてるらしい。
 それを十二分に理解しちゃったあたしは素直に返事をする事にした。
「あ、うん、えっと、だ、大丈夫よ、風邪薬も飲んで来たし……でも、あたしの体調の事、気が付いてたんだ?」
「あー、まぁ、何だ。ゴホン。後は俺が買い物をしておくから、お前は帰れ……古泉達には説明しておくから」
 そんな感じでキョンに優しく諭されたあたしは、ポワポワとした暖かなモノに心を包み込まれ、自然と口元が綻びそうになったの。
 
 駄目よっ。
 我慢しなさい、涼宮ハルヒ!!
 キョンにそんな表情を見られるなんて、折角築き上げてきた団長の威厳を失う心算!?

 強烈な羞恥心に急かされて、あたしは慌てて巻き付けられたキョンマフラーに口元を埋める。
 フワフワのモフモフ……。
 キョンの温もりの残っている毛糸のマフラーは殊の外暖かく、何だかキョンの優しさそのモノのように思えた。
 それが肌を通して体内に染み渡っていく。
 その心地良さにホッと一息吐きながら、あたしはキョンの台詞を反芻した。

「やっぱり熱っぽい」「朝から様子が可笑しかった」

 それは、キョンがあたしの事を気に掛けてくれていると判る台詞だった。
 それは、ポロリと漏れたキョンの本音だった。
 それは、あたしにはとても嬉しいものだった。

 見守って貰ってるって思った瞬間、さり気無く気遣われたって悟った瞬間、途端にあたしの心は多幸感で満たされた。
 嬉しさの余り、思わず涙ぐみそうになっちゃったあたしは、より一層深々とキョンマフラーに顔を埋める。
 すこしだけでも落ち着こうと、心の中で数字を数えた。
 10を数えてから顔を上げる。
 何と無く落ち着いた気がした。
 そして、キョンをこれ以上心配させまいとニッコリ微笑みながら、「うん、心配してくれて有難う。でも、大丈夫!!」って言う事にするあたし。
「……本当か? あー、俺の事なら気にしなくて良いぞ?」
「ホントに大丈夫だって!! えっと、そうね……若し駄目だったら、うん、あんたが責任持って、あたしを家まで送り届けなさい」
 団長らしく元気に命令してから、返事も待たず、あたしは何事も無かったかの様に、スッタカスッタカ歩き出す。

 だって、そーでもしないと、何かが溢れちゃいそうだもん……。

 そんなあたしの背後から、何ら変わる事の無い「やれやれ」と呆れ返ったキョンの呟きが聞こえた。
 それを受けて、あたしは条件反射。
 クルンと軽快に振り向き、キョンに声を掛けてあげるの。
 心の中の何かを忘れるために。

「ほら、キョン!! 急がないとっ。きっと待ち草臥れちゃってわよ、みんな!!」

*****


 それからのあたしは何だか妙だった。  
 例えるなら、

“仕事帰りのお父さんから、思いも掛けず可愛らしい縫ぐるみをプレゼントされちゃって、キャアキャア言ってる小学生みたい”

……そんな風に自分自身を冷静に評しながら、実際のあたしはと言うと———そんな理性的自己判断通り———鼻歌は奏でちゃうわスキップしちゃうわ、これでもかとお祭り状態で、最初は「危ない」だの「落ち着け」だのと口煩かったキョンもとうとう諦めたらしい、「やれやれ」と首を振ってからは、微笑んでいる様な苦笑いしている様な表現し辛い、でも、すっごくキョンらしい表情を浮かべたまま無言で付いて来てるの。 
 あたしが先頭をスッタカ歩き、キョンがゆったりとその背後を歩く何時もの行軍スタイル。
 背後を任せっきりにして、前だけ向いて突き進める何時ものスタイルだった。  
 何と無くあたし達らしい雰囲気になったわね……って、たったそれだけで更に嬉しくなっちゃうあたしだったんだけど、それを押し隠し「仕方が無いんだからね!!」って思い込みながら、忠実な雑用に声を掛けてあげようと振り返った時の事なの。
 あたしの視界に幻想的で煌びやかなモノが飛び込んできたのは。
「!?」  
 一瞬でそれに意識を奪われたあたしは———無意識の内に立ち止まり———それをジッと眺めていたの。  
 その様子に気が付いたらしい、「ん? どうしたんだ、ハルヒ?」ってキョンが怪訝そうな口調で語り掛けてきた。
 あたしは「綺麗だと思わない?」って質問しつつ、見詰めている先を指差す。  
 キョンがそちらに向き直る気配に続き、「あぁ、成る程な」って腑に落ちたと言わんばかりの呟きが聞こえた。  
 それに頷き返してからもあたしは口を開く事無く、そして、何故かキョンも無言。  
 2人して脚を止め口を噤んだまま其方を眺め続けるの。  
 そう、美術館で貴重な名画を鑑賞するかの如く。


*****  


 そんな2人の視線の先に有るのは……あたし達の通学路脇に建てられた新築マンションだった。  
 ううん、もっと正確に言えば、そのベランダの一角。   
 其処が手製のクリスマスイルミネーションに彩られていたの。  
 この時期に相応しいイルミネーションだった。  
 個人で作ったにしては手が込んでいて結構お洒落。
 雪降る夜空を、トナカイに引かれた橇に乗ったサンタさんが、シャンシャンシャンと進んでいる構図だった。  
 サンタさんを信じている純真な子供達が思い浮かべそうなデザインって事も手伝って、それはあたしに強烈なインパクトを与えてくれたの。
 だって、中学生に上がるまで……あたしはサンタさんを心の底から信じてたし、絶対こんな風にお空を飛んでいるに違いないって思ってたんだもん。  
 そして、正直に言えば、今でも「居ると楽しいわね」って思ってるしね。  
 そんな感じで心地良い刺激を受けたあたしは、ホワホワしながら、気が付くとキョンに尋ねていたわ。

「ねぇ、キョンはサンタさん、信じてる?」
「ん? サンタ? あー、まぁ、居ないだろうな……と思う」
「うっわぁ、夢が無いわねぇ。あんた、ホーントにSOS団の団員なの?」
「……そう言うハルヒは信じてるのか? 年に一回しか働かない赤服白髭爺さんを?」
「あったりまえじゃないっ。あたしは、今でも居て欲しいって思ってるわよ? だって、ソッチの方が断然楽しいもん。この時期なんか、プレゼントとかの準備で大忙しよ、きっと!!」

って元気一杯に断言するあたしの脳裏では、丸太小屋の中でサンタさんとトナカイ君達が、仲良くプレゼントを袋詰めしている微笑ましい光景が浮かんでいた。  
 それは本当の映像かしら? と見紛う位に現実感バッチリのイメージで、うん、これはきっと地球上の何処かでホントに繰り広げられているに違いないわね……ってあたしは即座に信じ込んだ。   
 
 だってさ、ソッチの方が断然面白いじゃない!!  
 
 あたしはウキウキとそんな事を考えていたんだけど、和気藹々と作業をしながら、でも、実のところ、チームサンタは深刻な話題を取り上げているっぽいの。
 俄然興味を惹かれたあたしは、「一体何事かしら?」と意識を集中した。


*****


「サンタ様? 地球温暖化の影響で、今年の雪も妙な降り方なんですかねぇ……」
「うむ、心配ぢゃなぁ。ドカ雪で積もり過ぎても中に入り難いしの」
「ですよねぇ。僕達も目的地がさっぱり判らなくなりますし」
「うむうむ。かと言って、雪が余りにも少ないと雰囲気が出ないからのぅ。あの雪の無い世界で勤めを果たている時の、空しさ侘しさは筆舌に尽くしがたいんぢゃよなぁ」
「ですよねぇ。雪が降ってないと僕達も橇を引き辛いですし」
「むむむ、程々が一番何じゃが……お陰で年々配達出来る範囲が狭くなってきておるからのぅ。時は有限とは言え、もっと多くの子供達に夢を配りたいものぢゃ」


*****


 「う、うそ……」って単語が自然と転び出る位に吃驚仰天しちゃうあたし。
 自分が勝手に作り上げたシーンだってのをすっかり忘れ、あたしは沈思黙考する。  
 
 まさか、クリスマスの雪の量に……ロマンチックなホワイトクリスマスに、そんな驚愕すべき事実が隠されていたなんてっ。  
 詰まり、多過ぎても少な過ぎても、うん、サンタさんもトナカイ君も困るし、そして、それは世界の子供達が貰えるプレゼントにも影響しちゃう……。  
 クリスマスにプレゼントが貰えないなんて、そんなの可哀想だわっ。

 それは“世界を大いに盛り上げなきゃいけない”SOS団団長としては看過出来ない事実だった。  
 何だか凄い危機感に覆い尽くされると同時に、強烈な使命感が口を自然と動かす。

「これは、由々しき事態だわ……」
「は? 何だって?」
「……ねぇ、キョン? 今年はホワイトクリスマスになるのかしら? って言うか、なるわよね!?」
「??? あー、発言の意図がさっぱり判らんが……何だ? 雪が降らないと都合が悪いのか?」
「もう、バカキョン!! 雪が降らないと子供達が悲しむ事になるじゃないっ」  
 
 一頻り文句を言ってから、未だに怪訝そうな表情を浮かべるキョンに、判明しちゃった“サンタさんとトナカイさんの隠された秘密について”……あたしは事細かに説明してあげる事にした。
 あたしの説明が進むにつれて、何でだかキョンが「やれやれ。又、始まったか……」と言いた気な雰囲気になったけど、そんなん、サンタさん達の苦労の前には塵芥に等しいんだからねっ。

関連記事
スポンサーサイト
  1. 2000/01/01(土) 00:00:00|
  2.  サンタを応援すると、イイ事があるんだからねっ。
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<エッチィSSのご案内 | ホーム | 探し物は何ですか? 見つけ難いモノですか?(目次)>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://megamisanamoehonbako.blog.fc2.com/tb.php/137-4bfebf88
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

プロフィール

宇奈月悠里

Author:宇奈月悠里
ハルキョン&キョンハル大好き人間です!!

アイコンは敬愛するだんちさんから拝借させて頂いておりますっ。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

★★★SSリスト★★★ (2)
★★★独り言★★★ (43)
★★★短編SS(連載中)★★★ (5)
 サンタを応援すると、イイ事があるんだからねっ。 (3)
 とある副団長の平凡な一日??? (2)
★★★長編SS(連載中)★★★ (72)
 死が二人を別つまで……。 (9)
 ねこねこふぁんたじあ (14)
 It’s A “わんderful” World (8)
 もてる男は、ふっ、辛いぜ……(ノ_-。) (8)
 女神様と卓上遊戯 (4)
 “好き”って魔法の言葉だと思わない??? (8)
 みくるちゃん In らぶりーらびっと!! (8)
 そして、夢見る少女は大人の階段を昇る……。 (13)
★★★短編SS(完結)★★★ (19)
 嬉し恥ずかし初デート!? (5)
 探し物は何ですか? 見付け難いモノですか? (5)
 ラブコメって美味しいの??? (5)
 素直なのは良い事です!! (2)
 地球人類危機一髪!? (1)
★★★長編SS(完結)★★★ (35)
 SOS団は狙われてるんだからね!! (17)
 うんうん、笑顔って重要だよね!! (18)
★★★エッチィSS★★★ (1)

FC2拍手ランキング

かうんたー

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。