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女神様の絵本箱

「涼宮ハルヒの憂鬱」の二次創作小説ブログです♪ 基本甘々ハルキョンキョンハルメインです(^▽^)/ 先ずはSSリストよりどうぞなのです

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ねこねこふぁんたじあ①(キョン君視点)

ねこねこふぁんたじあ

・粗筋:
可愛い子猫を団活に招待しちゃったキョン君……それが騒動の発端になるとも知らずに(笑)

*****

「続きを読む」からは …… 

 キョン君視点①:【俺の可愛いハルヒに触るんじゃない!!(盲亀浮木の章
) 】 

……になりまーす(^▽^)/





*****


「キョンよぉ、この占いによると……お前、目茶苦茶女難の相が出てるぞ。今週は特に気を付けたほうがいいってよ」
「生憎だがな、谷口……俺は占いの類、全く信じない性質なんだが?」
「この占い、すっげぇ当たるんだぜ? 何だったらそれを祓う方法も……」
「要らん」
「おいおい。何時も何時も涼宮に振り回されて、年がら年中女難続きだからって、甘く見てると酷い目に合うぞ、キョン」
「限りなくでっかいお世話だ、この野郎」

*****
 
 すっかり秋めいた抜ける様な高い青空を見上げ、空はこんなに広かったんだなとシミジミつつ、俺は何時もの駐輪場に自転車を留めた。
 折角の祝日だってのに、俺はどうして制服を着てこんな所にいるのやら……。
 確か祝日ってのは、国が休んでもいいよと許可をくれている有り難い日じゃなかったか?
 溜息を吐きつつ昨日の事を思い返す。
 俺が此処に居る理由……それはSOS団最高責任者が、
「明日も部室で団活やるわよ!!」
と満面の笑みを浮かべて宣言しやがったせいである。
 当然、俺以外の団員は無言を貫きつつ実質的賛成票を投じ、曲りなりにも苦言を呈したのは俺1人と言う何時もの情景が部室に出現。
 それに対して団長は嬉しそうに仰った。

「賛成票多数により、明日も団活をする事に決定しました。お昼に集合なんだからねっ。いい事? キョン、遅刻は罰金よ!!」


 どうせ祝日に団活するなら、不思議探索の方が遥かにマシなんだがなぁ……と内心苦笑しつつ駐輪場を出ようとした俺は、ひょんな事から有る存在に目を奪われた。

 
それは駐輪場前の歩道をトテトテ歩いていた白い子猫。

 
有り触れたと言っては語弊があるかも知れんが、何処にでも居そうなMIXの子猫だった。
 身体の大きさから言えば生後3~4ヶ月だろう。
 やんちゃ盛りの年頃って奴だ。
 俺が何でそんな子猫に注目したかと言うと、その猫、周囲の人間を全く気にする事無く、歩道のど真ん中を傲然と胸張って歩いていたからなんだ。
 何せ人間様の方が避けて歩いている程なんだぜ?

 
……コヤツ、猫界に君臨する王家の一族じゃなかろうか?

 
と思わず感嘆しちまう位の威風凛々たる姿だった。
 それにも増して、その美しい毛並みに見蕩れてしまった俺。
 その純白の毛が太陽光の下で豪く光り輝いててだな、後光が差してるみたいに感じられ、マジ印象的な子猫だった。 
 更に興味深い事に、何やらこの子猫、周囲を物珍しげにキョロキョロと見渡しては立ち止まり、感心した様に「ニャーン」と一鳴き……そして、歩き出しては小首を傾げる、って仕草を繰り返している。

 ん? 
 あれは迷い猫って奴か? 
 首輪は無いが毛並みが豪く綺麗だからな、飼い猫かも知れん……。

 
等と考えつつ何気なく足を止めて観察していると、周囲をグルリと見回して、その序に俺をその視界に納めた瞬間、子猫はパチクリと瞬き1つ。
 そして、子猫は大きく息を吸い込んで、

「ミ!? ニャーン!!」

と甲高い元気な声で鳴いたかと思ったら、俺の足元へと一目散に猛ダッシュ。
 テッテケ、テッテケ。
 その脇目も振らず迷い無く駆け寄る姿に、俺は思わず跪いてその子猫を迎えてやった。
 何故だか子猫に、
「あ!? キョーン!!」
と呼ばれた奇妙な感覚を感じ、内心「はて、何処かで会った猫かいな?」と小首を傾げつつではあるんだが。
 何せ大抵の猫って奴は警戒心が強く、滅多に見知らぬ人間に近寄って来たりはしないからだ。
 例え、どれだけ興味を引かれようともな。
 って事は、若しかするとシャミセンの仲間か? 
 まさかと思うが、シャミセンの子供って事は……無いな。アイツが興味を引かれるのは睡眠だけだってのは飼い主である俺が保障する。
 そんな俺の自問自答を知らずに、子猫は懸命にスッタカスッタカ駆けてくる。
 俺はその愛くるしい姿に微笑みつつ、駆け寄る子猫の目の前にスッと右手を差し出してやった。
 勿論、「これは何だろう?」って顔をしつつ、スンスンと指の匂いを嗅ぐ姿を想像しながらだ。
 シャミセンの場合も思わず笑みが零れちまう仕草だからな、何気に子猫が遣るとその愛嬌破壊力も凄そうだ。
 念のため、心の準備をしておこう。

 ところが、そんな期待も何のその。
 
 

 その白い子猫は目の前に差し出された俺の指に対し、「ニャンニャン」言いながら行き成りペチペチ猫パンチ。
 指に感じるリズミカルな衝撃は、そのまま内面の衝撃と直結する。

 ……おいおい、俺達ホントに初対面か? 
 猫が初対面直後で猫パンチする何ざ、寡聞にして知らないぞ?

 しかも何やらこの子猫、豪く機嫌がイイらしく人間だったら鼻歌の1つでも歌いそうな程浮かれてやがる。
 嬉しそうに猫パンチを繰り出すその表情・雰囲気・キラキラと輝く大きな瞳が、何処かの誰かさんを髣髴とさせた。
 しかし、我ながら人間って奴は現金な生き物だと思うんだが、自分に懐いてくれているであろう小さな動物に俺は猛烈な愛情を感じていた。
 その直前に感じた強烈な疑問を、完全無欠に雲散霧消させてだ。

 時計を確認すると、集合時間には少しだけ余裕が有りそうだった。
 この子猫に少しだけ付き合ってやるか? と内心考えている間も、子猫は猫パンチだけじゃなく指をハムハムと甘噛みまでしつつ、「ニャオニャン」と甘えた声を出していた。
「お前、豪く可愛い奴だな……」
 俺は苦笑混じりに賞賛の言葉を掛けて、背中を優しく摩ってやる。

 
こんだけフレンドリーなんだ、ペッティング位許してくれるんだろ?

 俺がそんな感じで声を掛けた瞬間、何故か子猫は大慌てで抗議する様にニャンニャカと声を上げたんだが、背筋———特に背中から腰の辺り———をゆっくり優しく撫でてやるとヘニャヘニャと蹲り、気が付けば、寛いだ姿勢で目を細め気持ち良さそうにゴロゴロと小さく喉を鳴らしていた。

 ふっ、当然だろうな。あのシャミセンですら黙らせる俺のペッティングテクだぜ?

と渋く決めると同時に思わず言葉が漏れた。
「……本当に人懐っこい奴だな、お前」
 苦笑を浮かべながらも、しかし、俺は手を休める事無くゆっくりそっとリズミカルに撫でてやる。
 ……それ位気持ち良さそうなんだ、この子猫。
 止めたらそれだけで大暴れしそうな気配すら感じる。
 限界まで弛緩して身体を伸ばしていた子猫は、眼を細めフニャンと一声鳴いて、ゴロンと寝返りをうち無防備にお腹を見せた。
 俺はキランと眼光鋭く子猫を見詰める。

 
ほほぅ、然らば腹をも撫でてやろう……覚悟しろ、子猫よ。

 
その無防備なお腹を、サワサワと優しく円を描く様に撫で摩ってやると、子猫は気持ち良さそうに身を捩り尻尾をピクピク。
 ミィミィニャオニャオと小さく鳴く声は豪く満足げだった。
「そりゃそうだろうな。あのシャミセンですら、如何に機嫌が悪かろうと、コレ一発で仲直りしちまうって必殺技だぜ?」
 そんな事を自慢げに子猫に告げつつ、手はゆっくりと撫で回し続ける。
 このフサフサの毛触り……高級ムートンみたいで猫好きには堪らない一時だった。
 子猫はゴロゴロ喉を鳴らしつつ、撫で擦る俺の手に猫パンチをくれた後、チラリと俺を見上げてまったりとした声で「ニャゴニャーゴ」と鳴いた。 
 ところが、その鳴き声を何故か俺の脳はだな、
「仕方が無いわ。ふぁぁぁ……其処まで言うなら、あむ……今日のところは、ふみ……引き分けにしてあげなくもないわねっ」
と意味不明な翻訳をしやがって……何が引き分けなんだか、どうして団長口調なんだか、俺自身にも理解不能のまま、まぁ、そんな感じで子猫はスゥスゥと熟睡しちまっていた。

 こいつは家猫だな。
 じゃないとこんな無防備な筈無いからな……いや、家猫にしても無防備過ぎる気がしなくも無いんだが。

 兎に角、その辺の詮索は後回しにして……それよりもだ。
「こいつ……どうすりゃいいんだ?」
 駐輪場で無防備にも爆睡モードに突入した白い子猫を、困った表情で見詰め、暫し熟考する俺であった……。

*****

 
周囲を見渡しても飼い主らしい人も居らず、どの家から飛び出して来たんだか、俺には皆目見当も付かない。
「流石に放って置く訳にもいかないだろうな……」
 
仕方が無い。
 一旦部室に連れて行ってから帰りにでも、此処で放して遣ればいいだろうと俺は考えた。
 じゃなければ、「迷い猫預かってます」ってポスターを作るって手もあるしな。
 うむ……これはこれでハルヒの暇潰しに最適何じゃなかろうか? 
 何せ、昨日の今日だ。
 ハルヒは俺の力説の甲斐有って、完全無欠に猫の魅力の虜になっている筈で、その団長様が嬉々として、
「やっぱり猫は可愛いわねっ。うん、皆で手分けして飼い主を探すわよ!!」
と団長席で絶叫している姿が目に浮かび、そんな場面を規定事項として納得しつつ、よっこらせと子猫を抱き抱え立ち上がった。
 素晴らしい抱き心地からして、やはり野良猫では無いな。
 毛並みもそうだが、体重から判断して、しっかりと栄養のあるモノを摂ってるっぽい。
 そして、序に性別判定。
 雌だった。
 
 

 ……豪く元気な奴だったから、雄だと思ったんだが雌かよ。
 どうやら人間界同様、動物界でも雌の方が圧倒的に強くなってきているらしいな。

 俺は何故かハルヒの元気一杯満面笑顔を思い浮かべて苦笑するが……決して俺がハルヒに勝てないとか、尻に引かれているって訳では無いと、声を大にして主張させて頂きたいところである。

*****

 
俺はそのまま、子猫をそっと抱いて長い長い坂を登る事にしたんだが、途中のコンビニでキャットフードを買ってやろうと思い立った。
 ミルクってチョイスもあったんだが、朝比奈さんの事だ、ミルクティ用に買い置きしてあるかも知れんし、何より栄養価的にはミルクじゃ足りないしな。 
 流石にそのまま抱えた状態で入店する訳には行かない。
 珍しくポケットに入っていたブラウン系のシックなハンカチに包んで、鞄にそっと仕舞ってやる。
 流石に子猫と雖も、ハンカチで全身を包み込むには少々無理があるのはご愛嬌って奴なんだが、念のためジッパーは空けておく事も忘れない。
「少しだけ辛抱してくれよ?」
 安心しきってスピスピ爆睡中の子猫さんに一応謝罪。
 そして、コンビニで猫用にキャットフード、自分達用に賞味期限切れ直前でお安くなっていた1Lパックのオレンジジュースを購入し、そのまま鞄を揺らさない様気を遣いながら学校を目指す。
 まるでお城に帰還する道中で眠りこけたお転婆姫を気遣う爺やの心境だった。

 まぁ、小さな命を気遣うのは当然だろ?

と誰かに言い訳しつつ時間を掛け母校へと辿り着き、更に細心の注意を払い部室棟の階段をゆっくりと登り切った直後、
「フニャーゴ……」
と欠伸だか鳴き声だか判別し辛い声が、鞄の中から聞こえた。
 
どうやら子猫が起きたらしい。
 
部室に向かって歩きながら何気に鞄の中を覗き込むと、眠たげな子猫とバッチリ視線が交錯する。
 途端、静かだった子猫が「ニャゴニャゴ」と暴れ出した。
 「此処はどこなのよ!?」とばかりに鞄から身軽に飛び出し、慌てる俺を尻目にクルリンパと1回転。スタッと見事な着地を決めた。
 
 

 ……猫って3ヵ月程度でこんなに運動神経が発達したっけか?
 
 

 そんな疑問を感じて顔を顰めた俺を、エッヘンと言いたげに大きな瞳で見上げた子猫は、その直後キョロキョロと周囲を確認し出した。

 あぁ、お前にとっちゃ未知の場所だろうからな、戸惑うのも……。

と思考していた俺を他所に、子猫は我らが不法占拠中の文芸部部室の扉前まで身軽にスッタカスッタカ。
 そして、まるでシャミセンがやる様に扉をカリカリと軽く引っ掻いた。
「……何で其処に入るって判ったんだ、お前?」
とまぁ、奇妙な違和感を覚えはしたんだが、猫族には妙な感覚が備わっているってのも実体験で知ってるしな……と無理矢理自分を納得させて、「早く開けなさいよ!!」と言わんばかりに「ニャンニャン」鳴き散らし、扉をカリカリ引っ掻く子猫に声を掛ける。
「判ったよ、今開けてやるから慌てるな……」
 我ながら苦笑混じりの声だったが、そこは気にせず人間様の威厳を醸し出す事に集中する。
「ただな、子猫よ、覚えておくといい。人間界にはノックと言う他人を気遣う素晴らしい文化が有ってだな……」
と子猫に言い訳し、俺はコンコンと2度ノック。

 
これをしておかないと、眼福……じゃなく、あー、まぁ、色々と面倒な事になる事が多々あるんだよなぁ。

 
と思った瞬間、何故か猫パンチが1回飛んで来た。 俺は早く開けろって催促だなと判断し、何やら不機嫌そうな子猫の頭を屈んで撫でてやる。

もう少しだけ待ってくれよ?

「はーい、只今ぁ」
 中から俺のノックに反応して、俺の心を天空へと連れさるために地上に遣わされた天使の声が聞こえ、カチャリと扉が開いた。
 出迎えてくれたメイド服姿の朝比奈さんがニコリと微笑んでくれる。
「あ、キョン君、こんにちはー」
「こんにちは、朝比奈さん。早いですね?」
 そんな挨拶を交わし、俺は部室へと1歩脚を踏み入れた。
 室内を確認すると、出迎えてくれた朝比奈さんと、定位置でニヤケている副団長しかいない。

 
ハルヒは兎も角、長門が俺よりも遅いだと? 有り得ん……。

「えぇ、次に来られるのは貴方ではなく、長門さんだと僕達も話していた所……」
 古泉は何時もの笑みを浮かべつつ、しかし、台詞を言い切る事無く俺の足元へと視線を移動させる。
 ふと見れば朝比奈さんもジッと同じ場所を見ていた。
 俺も釣られて其処に顔を向ける。
 その視線の先で、あの子猫がチョコンと行儀良くお座りして、キョロキョロと周囲を物珍しそうに見渡していた。
 皆の視線を感じ取ったのか、子猫は「ニャーオ」と元気良く鳴き、スタスタと室内へ物怖じする事無く入室する。
 まるで勝手知ったる我が家と言わんばかりの堂々たる態度だった。

 まぁ、猫が物怖じする様子ってのも滅多に見れる訳じゃないし、その辺は深く突っ込まないでやるのが、万物の霊長たる人間の余裕ってやつじゃなかろうか? 

と意味不明な思考をしつつ、俺も部室内へと足を踏み入れた。
 子猫、先ずは朝比奈さんの足元で「ニャゴニャゴ」と挨拶。
 次いで朝比奈さんの踝付近にスリスリと身体を擦り甘え出した。
「ニャオ!!」
「か、可愛いですぅ」
 早速、朝比奈さんは満面の笑みを浮かべ、屈んで子猫の頭を撫でてあげていた。

 むぅ、笑顔で子猫を愛でるメイド服姿の朝比奈さん。

 写真にでも収めれば、それだけで何かの賞を取れそうな図柄だが、他の人に見せるなんて勿体無い事出来るか!!とばかりに、俺はその風景を自分の海馬のみに刻み込む事にした。

 これだけでも団活に来た甲斐があったってもんだ……。

 子猫も満足げにその愛撫を受け入れ、ニャオニャンと甘えた声を出していて……本気で人懐っこい猫だなと感心する。
 俺は長机に荷物を置き、物問いた気な古泉に今までの経過をザッと説明をしてやる。
 といっても大した事があった訳じゃないんだが。
「……まぁ、そんな訳で放置する訳にもいかなくてな、連れて来ちまったって訳だ」
 朝比奈さんとニャゴニャゴ戯れている子猫を、古泉は微笑ましそうに眺め、
「そうですね、貴方が気に掛けるのも理解出来ます。何やら愛嬌たっぷりの素敵な子猫さんではないですか?」
と俺と同じ見解を述べる。
 まぁ、それを否定出来んから、此処まで連れて来ちまった訳なんだがな。
「ハルヒが来てから、迷子の子猫対策を講じればいいだろ? 在り来りだがポスター作るとかかな?」
「フフッ、確かに涼宮さんが欣喜雀躍する楽しいイベントとなりそうですね、それは」
「ま、仔細に関しては団長様にお任せするのが賢明だろうさ。どう考えても雑用の領分じゃない」
 俺は古泉との話もそこそこに、楽しそうに子猫と遊ぶ朝比奈さんへと声を掛け、それと同時にパック片手に冷蔵庫に近寄る。
「すいませんが、朝比奈さん? オレンジジュースを買ってきたんで入れさせて貰いますよ?」「はーい、どうぞー」
 うっとりと子猫の背筋を撫でている朝比奈さんの許可を貰い、パックを仕舞った後、俺は何時ものパイプ椅子に座った。
 それを待ちわびていたのか、古泉がビニール袋を指差し「一体何を購入されたのでしょう?」と素朴な疑問を投げて寄越す。
「あぁ、子猫用にキャットフードを買ってきたのさ。多分、離乳食も済んでるんじゃないかと思ってな」
と俺は袋から箱を取り出しシャカシャカと振った。
 ところがその音を聞き付けた瞬間、朝比奈さんと戯れていた子猫が「ニャン!?」と一声鳴いて、脱兎の如く俺の足元まで移動し、ズボンに纏わりついてニャンニャンニャニャンと大騒ぎ。「何だ、お前……腹でも空いてるのか?」
と犬のお巡りさんチックに困惑してしまった俺の問い掛けに対し、子猫は胸を張って、
「ニャゴニャ-ゴ!!」
と元気良く返事を返してくれたんだが、俺の耳には何故か、
「当たり前でしょ、少しは察しなさいよ、バカキョン!!」
と聞こえ、猫にまでバカって呼ばれる幻聴を違和感無く受け入れる自分に、そこはかとない悲哀を感じつつ、手近にあった紙皿にキャットフードをザラザラと入れて遣ったんだが……。
 
 それからが一騒動だった。

 
皿に注いでやったキャットフードを、一心不乱にカリコリ喰っていた間は流石に静かだった子猫だが、それで腹を満たし活動エネルギーを150%程充填したらしく、俺や朝比奈さんに古泉を巻き込んで元気一杯動き回り、一時もジッとしやがらん。

 
言葉が通じる分だけハルヒの方がマシじゃなかろうか?

と考えてしまう程振り回された俺達だったが、満腹状態で動き回ったせいだろう、気が付けば子猫は俺の膝の上で、心地良さそうに夢の世界へと旅立っていた。

「……つ、疲れましたぁ」
 俺以上に纏わり付かれていた朝比奈さんが、精も根も尽き果てましたと言わんばかりにパイプ椅子に座り込み、俺や朝比奈さん程相手をせずに済んだ古泉の奴も、
「子猫とはこんなにも元気なものなのでしょうか? これは貴重な体験をさせて頂きましたね」
としみじみと呟く程度には子猫は大ハッスルしてくれた訳だ。

 カーテンや朝比奈さん専用コスプレ衣装が無事なのは、僥倖以外の何物でもないな……。
 

 しかし我が侭一杯の割には、時折こちらの気持ちを斟酌してるのか?と錯覚しちまう行動を取る子猫だった。
 やはり飼い猫なんだろうな……。

 俺も2人の心境に甚だしく同調しながらも、それ以上に心を温かくして貰った感謝の気持ちの方が強かった。
 シャミセンも可愛い奴だが、この子猫もそれに勝るとも劣らない愛嬌の持ち主だ。
 その思いを込めて、膝の上で丸くなって眠る子猫の背筋をソッと撫でてやる。
 子猫がゴロゴロと喉を鳴らすのが本気で愛くるしい。

 ……やばいなぁ、これがシャミセンのやつに知れたら、この浮気者!!と1週間はヘソを曲げちまうぞ。

 脳裏にフンと鼻を鳴らしソッポを向くシャミセンの横顔が浮かんだ。
 まるで、自分の事を忘れるなと言わんばかりの視線を俺に投げ掛けつつ。

*****

 
子猫が眠りに付いてから、やっとこさ通常営業のSOS団になった。
 朝比奈さんは編み物を始め、俺達は海外製トレカで対戦を開始。
 その間も……俺は子猫をゆっくりと撫で続けていた。
 このフワフワな肌触りと時折満足げに喉を鳴らし身を捩る姿、猫好きには堪りません。
 2回戦目も俺の圧勝で終わらせ、次の対戦に突入して間も無くの事。
 俺は山札からカードを引きつつ、ふと感じた疑問を古泉にぶつけていた。
「ん??? そう言えば、猫騒動で忘れていたが、我らが素敵団長様と、万能文芸部部長様はどうしたんだ?」
「そう言われるとそうですね。……確認されては如何ですか?」
 大して気にしてない口調で古泉は返答する。
 ジッとカードを見詰めるその姿、どうやら、その件よりは手札の内容の方が気になるらしい。

 あん? 何で俺がそんな事をせねば如何のだ? 

 俺は場のカードをタップし、手札から呪文カードを使用する。
「いえ、やはり涼宮さん専属担当者を差し置いて、僕如きがしゃしゃり出るのは、おこがましいかと思いましてね」

 
何がハルヒ専属担当者だ? 
 訳判らん事言って俺のミスを誘おうって口三味線か? 
 お前らしくもない……。

「心配だからこそ気にされるのでしょう? 涼宮さんがいらっしゃらない時こそ、素直になるべきではないかと思いますが?」
「さぁて、何の事やらさっぱりだ。何にせよ、アイツの心配をする位なら、地球滅亡の心配をするほうが余程建設的さ……と、済まんな、起こしちまったか?」
 古泉との話し声が大きかったのか、子猫の耳がピクピクと痙攣しているのに俺は気が付いた。

 
瞼も細かく痙攣している所を見ると睡眠と言うより微睡って感じだな……。

「それとも、何だお前? 寝たふりでもして聞き耳でも立ててたのか?」
 俺はそう呟いて耳の後ろをコリコリと優しく爪で掻いてやると、ニュニュだかニャニャだか良く聞き取れない声を上げて、子猫は尻尾をパタパタと振った。
 嫌がってる訳ではなさそうだ。
「ホントにキョン君、子猫さんの扱い上手ですねぇ」
 編み物の手を休めて朝比奈さんがシミジミと呟く。何処と無く微笑ましそうな感じだ。俺は子猫を撫で続けながら返事を返す。
「あぁ、家にはシャミセンが居ますしね……それよりもこの子猫が人懐っこいと言うのが大きいと思いますよ?」
「ふふっ、でもそんなに仲がいいと、涼宮さんが焼き餅焼いちゃいませんか?」
 珍しく悪戯っ子めいた微笑を浮かべ、そんなとんでもない事を朝比奈さんは仰った。
 脳裏に極上笑顔の団長様が浮かび上がり、何故か一瞬で顔が熱くなる。
「なっ!? な、何でそこでハルヒの奴が出てくるんです!?」
「ニ!? ニャニャ!?」
 俺が慌てるのは当然なんだが、何故か子猫も大騒ぎ。
 確認すると、必死になって俺の膝に爪立ててしがみ付いてやがる……あぁ、折角微睡んでたのに、俺が半分方立ち上がり掛けたせいで落ちそうになってるな。
「あっと、済まん」
 俺が子猫に謝りつつそっと椅子に座り直した。子猫の位置も調整し、謝罪の意味を込めて優しく喉元を撫でてやる。
 子猫は猫パンチを1回くれてから、「気を付けなさいよ」と言いた気に小声で鳴き、目を閉じ再度眠りに付こうとしている風情だが……身体がジットしていない所や、時たまチラリと俺を見遣る視線から推測するに、本気で眠る心算は無いらしく、特に耳が活発に動いているのが目に付いた。

 うーん、俺の気のせいか? 
 やっぱり子猫が何やら聞き耳を立ててる気がするんだがなぁ……まぁ、それよりもだ。
 
 俺が朝比奈さんに再度質問しようと口を開き掛けた瞬間、古泉の奴もこの雰囲気に乗せられたのか、
「あぁ、先程の何時素直になるのかと言う質問にも、回答を頂いていませんね?」
と便乗してきやがった。
 俺はフンと鼻先で古泉の戯言を笑い飛ばし、
「何言ってやがる。俺は何時だってこれ以上無い位素直だぞ? これ以上素直に成ったら赤ん坊に逆戻りだ」
と豪語してやったんだが、その発言の直後、
「ニャニャン!?」
と大きな鳴き声を出した子猫が俺へと猫パンチを見舞い、何故かニャゴナーゴと不満げな声を出す。
 気のせいか「あんたの何処が素直なのよ!?」と言われてる気分だ。
 そんな感情が表に出ていたのかもしれない、朝比奈さんがクスクス笑いつつ、
「あらあら、キョン君渋い顔。でも、先に猫さんの方が涼宮さんって誰なの?って嫉妬しちゃいましたねぇ。ふふっ、キョン君、モテモテ」
「……朝比奈さん、勘弁してください」
 俺、何か朝比奈さんを怒らせる事したか? と小首を捻っていると———その想いに同調したのか———たれパンダ状態だった子猫が、「ニャオニャオ!!」と慌しく膝から飛び降り、朝比奈さんへとテッテケ駆け寄る。
 そして、呆気に取られた俺達の視線の先で、その膝に身軽に飛び乗ってニャンニャカ騒ぎ出し、それは……我を忘れた教育ママが、担任教師に猛抗議を敢行中!! と言えなくもない雰囲気だった。

 
……おいおい、何だってんだ、一体?

 
その思いは朝比奈さんも同様だったらしく、キョトンと子猫を見詰め、俺にアドバイスを求めてきた。
「えっと、キョン君? 子猫さんは何を怒ってるの?」
「……どうして俺にそんな事を聞くんですか、朝比奈さん?」
「あのね、アレだけ仲がいいから、キョン君だったら判るのかなぁって」

 
……時折朝比奈さんが判らなくなるのは、こういう遣り取りの時だ。
 天然なのか、それとも、未来では当たり前なのか判断に苦しむ俺であった。

「いや、それより朝比奈さん? 未来では猫語を翻訳する機械とか薬とか有るんじゃないですか? 是非とも、それを使ってですね……」
「???」
「えっと、未来にはネコ型ロボットとかが存在してたりしませんか?」
 何故か呆気に取られた表情を浮かべる朝比奈さんに対し、俺は実例を挙げて説明を加えてみたんだが、流石はドラえも●、未来人にも通用する認知力だった。
「あぁ、そう言う事? でも、機械は高いし、あ!? ……ゴホン。それ、禁則事項です」
「で、ですよねー。でもですね、俺だって現代的一般人ですし、猫語が判る訳じゃ……」
と言い掛け俺は絶句する。
 突如として騒いでいる子猫のニャンニャカと姦しい鳴き声が、

「みくるちゃん!! もう1度言っとくけど……か、勘違いしないでよっ? どーして、あたしがキョンに嫉妬したりしなきゃいけないの!?」

と聞こえた気がしたからだ。
「…………」

 
……ふぅ、いかんな、どうやら俺は相当疲れているらしい。
 それとも寝不足だろうか? 
 さっきも猫語を勝手にハルヒ語に翻訳してたっけな、俺の脳は。

「どうされました? 何やら渋い顔をされてますが……若しや涼宮さんの事がそれ程心配ですか? それならば尚の事、僕達を御気になさらず電話の一本でも入れられるべきでは?」
「断固として断る……それよりも、お前、何故か今日は其処に拘るな」
 俺は渋い顔をして、何やら熱心に電話を掛けるよう勧めてくる古泉に疑問を投げ返す。


 こいつ、一体何を企んでやがる?

「いえいえ、涼宮さんがいらっしゃらないこの現状。貴方には是非とも素直になって頂きたく……と言うのは冗談で、涼宮さん無しの団活と言うのは珍しいと思いまして」
「……そうか? カマドウマや終わらない夏休みに、可笑しく成り掛けた撮影会、他にもイザ鎌倉って時には未来人に宇宙人&超能力者で大集合だっただろ?」
と言う俺の至極マトモな突っ込みを、古泉は柔らかな笑みで回避した。
「あぁ、もう少し細かく申し上げますと……その様な非日常的現象に関係無くですね、日常的団活に於いてと言う意味です」
「あぁ、成る程な。大体に於いてハルヒの奴が、自分で言い出した団活に来てないってのが……」と俺はそこで言葉を切った。
 さっきまでアレほど騒がしかった子猫の鳴き声が聞こえない。
 確認すると、子猫は朝比奈さんの膝に乗っかり、その肩に片手を乗せた抗議の姿勢のまま、何故か俺達の方をキョトンとした表情で見ていた。
 古泉もその様子に気が付いたようで、クククと笑いながら呟く。
「それ程、子猫さんの心を鷲掴みされましたか……人間だけに留まらず女性におモテになりますね、貴方は」
「……おい。それは褒め殺しって奴か? 俺が何時モテたって言うのか、教えて欲しいんだがな」
 憮然とした口調で言い掛けた俺を差し置いて、子猫は無言で朝比奈さんの膝から飛び降り、俺の膝を経由して長机の身軽に飛び上がった。
 そして、長机の上をウロウロしながら———朝比奈さんの時と同様———古泉に向けてナゴナゴ不満げな声を浴びせる。

 お陰で机の上に広げられていたカード類が、バラバラにされちまったぜ。
 ……折角勝っていたんだがなぁ。
 
 渋い顔をしている俺に対し、古泉が苦笑しつつ助言を求める。
「それで、この子猫さんは何を僕に訴えかけていらっしゃるのでしょう?」「いやいや、一寸待て、古泉? ……それを俺に聞くのは可笑しいとは思わんのか、お前は? 俺はお前と違って超能力者でも何でも無いんだぜ?」
  「ニャオ?」
「貴方も僕の能力が、閉鎖空間限定とご存知な上でそのような事を……それに近頃は貴方のお陰で、涼宮さんも平穏な精神状態でして」
  「ウニャ?」
「……折角の力を発揮出来ないと? ならハルヒを怒らせて、バイトに行かざるを得ないようにしてやろうか?」
  「ミィ?」
「それだけはご勘弁を……」
 互いに苦笑しながら非難めいた言葉の応酬を交わす中、気が付けば子猫は静かに俺達の会話に聞き入り、俺、次いで古泉を見上げた。
 そして、小首を傾げ「ニャオニャン?」と鳴き、俺にはそれが何故か、「あんた達、何言ってるの?」って聞こえた気がしたのは内緒だ。

 
って言うか、さっきから俺の耳は可笑しい、尽く猫語がハルヒ語に変換されるのは何でだ?
 ……うむ、まぁ、いい。後で長門にでも調べて貰おう。
 しかもこっそりとだ。

 
何せ古泉に知られると、
「それほどまでに、涼宮さんに会い焦がれておいでですか?」
とニヤケられる事必定だからな。

*****

 
そんな感じで頼れる万能宇宙人的文学少女の事を考えた瞬間、カチャリと静かに扉が開き文芸部部長がそっと入室してきた。
 ……噂をすれば影ってやつだな。
「よう、長門。今日は豪く遅いじゃないか?」
「謝罪する。事後処理に……」
と長門は言い掛けると同時に、その視線が自らの足元へと流れた。
 何時の間にやら、子猫が長門の足元に移動していて、ミィミィと甘えた声を出し纏わり付いていたからだ。
 それをジッと見詰める視線から、「これは何?」と言う疑問を感じ取り、俺は簡潔に駐輪場で拾ってきた子猫だと説明した。
 その説明を聞き終えた長門は、何かを言い掛けて珍しく口篭り、足元に纏わり付く子猫を凝視してから、部室に居る人間をゆっくり見回し暫し静思黙想。
 何処と無く何時もと異なる様子に、俺は自然と質問を飛ばす。
「ん? どうした、長門?」
 その俺の問い掛けが聞こえたのか聞こえてないのか、長門は1人コクリと頷き、
「上手く言語化出来ない。不必要な情報伝達による現状固定化を招く恐れが非常に強い」
と呟いた。
 そして、子猫を見詰めたままで、何故か朝比奈さんに声を掛ける長門。
「故に、朝比奈みくる」
「はい? ……な、何でしょう?」
「幾つかの道具を貸与して貰いたい」

*****

 
そんな感じで、朝比奈さんから裁縫道具とパッチワークの材料一式に編み物の毛糸等々を借り受け、長門は指定席にチョコンと座り何やら作業を開始した。
 皆の前で、見る見るうちに見慣れたアクセサリーが形作られていく。
 子猫も朝比奈さんの膝の上で、静かにその様子を眺めていた。
 時間にして1分程度で完成したソレは、何処からどう見ても見慣れたオレンジ色のリボンカチューシャで、どうやらサイズダウンした子猫バージョンらしいんだが、「長門は何を考えてそんなもんを?」と小首を捻っていると、ソレに興味を引かれたらしい子猫が、
「ニャニャン!!」
と一声鋭く鳴き朝比奈さんの膝から大ジャンプし、何だ何だ? と思っている内に、テッテケ長門の足元まで高速移動した。
 そして、宇宙人っ子は少しも動じる事無く子猫を優しく抱き上げ膝に乗せ、ニャンニャカ嬉しそうに騒ぐその頭に、淡々とカチューシャを被せた。
「トレードマークは必要」
 その呟きに対し、子猫は嫌がるどころか「ニャ!!」と嬉しそうに鳴き声を上げ、長門へと機嫌良さそうに猫パンチの嵐を見舞う。
「流石は有希ねっ、ぴったりじゃない!!」
とでも言いた気な子猫なのだが……。

 はい? 
 そのリボンカチューシャがトレードマーク!? 
 ……あのー、長門さん? 
 そんな奴、身近にですね、1人しか居ないんですけど……。

 そんな俺の疑念塗れの意識に同調したのか、朝比奈さんも小声で呟く。
「カ、カチューシャがト、トレードマークですかぁ?」
 その震える声を聞きながら、何やら嫌な予感に苛まれた俺が、
「……おい、一寸待て、長門?」
と声を掛ける前に、長門はその落ち着き払った表情のまま顔を動かす。
 順々に俺達の顔をゆっくりと視線で叩いていくその姿、それは「この子猫の正体を理解したかどうか?」……その確認作業の様にも感じられた。
 そりゃあ長くてディープな付き合いだ。
 長門の意図する事は瞬時に伝わり、一気に部室の空気が凍りつく。
 俺だけじゃなく、古泉や朝比奈さんも顔を強張らせているのが判った。
 平然としている長門に、俺は声を掛ける。
 情けない事にその声は震えていた。

「な、長門? まさかと思うんだが、やっぱり……」
「そう」

 俺の問いに短く答えつつ、長門はその子猫をジッと見詰めた後、何やら1人納得し「画竜点睛を欠く」とポツリ。
 そして、ゆっくりと俺へと顔を向け、
「このままでは萌え……訂正する、最も重要な要素が欠落。補完する許可を」
と懇願するんだが、状況の変化に付いていけないまま、「何だ?何が足りないって?」と問い返したその言葉を、無言で跳ね返す長門の視線に、俺は敢え無く根負け。
「何だか判らないが、いいぜ、お前の遣りたいように遣っちまえ」
「……そう」
 長門はそこはかとなく嬉しげな雰囲気を身に纏い、再度針子作業を再開した。
 「ニャン?」と興味津々な子猫を膝の上に乗せたままでだ。
 何やら読書以外では、見た事も無い程の集中力。
 何が長門を其処まで駆り立てるのか? と茫然自失状態の俺達の目の前で、小さな服が見る見るうちに形成されていき、最終的には見慣れた北高セーラー服(子猫サイズ)となった。
 専門業者も真っ青な出来栄えで、流石は長門さんだと言うしか他は無い。
 朝比奈さんの「ふわぁ……す、凄いですぅ」って呆気に取られた呟きに、内心大きく頷く俺であった。

 
 

 辛うじて宇宙的反則パワーを使っていないらしいが、それでも完成までの速度とその出来栄えが、常人レベルを超えまくっているんだよなぁ。

と苦笑しつつ、俺はその事実を受け止める。
 何せ好きにやっちまえって嗾けたのは俺だったしな。
「凄いじゃない、流石は有希ね!?」
とビックリお目々の子猫に、それを着せていく長門。
 こんな状況にも係わらず、何やら幼子が着せ替え人形で遊んでいる情景っぽくてメチャ微笑ましく、子猫も嬉しそうに長門の為すがままだった。
 そして、見る見るうちにセーラー服を身に纏った愛くるしい子猫が出現する。
 何処と無く誇らしげなまま長門は、制服を着込んだ子猫を抱え上げ、その出来栄えを観察している風情だった。
 そして満足したのだろう、「完璧な萌え」と小さく呟き、ミィミィ嬉しそうに騒ぐ子猫と握手を交わす。
 そして、長門と着せ替えの悦びを分かち合っていた子猫は、何やら我慢出来なくなったらしく、「ニャオ!!」と力強い一声を鳴き残し、子猫仕様カチューシャ&セーラー服を付けたまま、長門の膝から飛び降りた。
 呆気に取られている俺や朝比奈さんの視線を物ともせずに、上機嫌でテッテッテと主の居ない筈の団長席へと移動、身軽に飛び乗ったかと思うと、行儀良く座り直し一声鳴く。
 元気一杯の声で。

「ニャニャン!!」

 
それは正しく……団長による団活開始の合図であった。

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