女神様の絵本箱

「涼宮ハルヒの憂鬱」の二次創作小説ブログです♪ 基本甘々ハルキョンキョンハルメインです(^▽^)/ 先ずはSSリストよりどうぞなのです

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うんうん、笑顔って重要だよね!!⑥(導入部)

うんうん、笑顔って重要だよね!!


粗筋:え!? 嘘、キョン君が……ですか!?

*****

「続きを読む」からは ……

 導入部⑥: 【Page:6】

……になりまーす(^▽^)/
 


 未来人が口にした卓袱台をひっくり返す様な爆弾発言を掻き消す様に、
「ヒュオォォォ……」
と物悲しい音を立てて突風が俺達の周囲を駆け抜けた。だが、誰一人それに反応する者は居ない。全員が身動ぎ1つせず朝比奈さんの言い放った台詞の中身を吟味しているよ
うだった。
 斯く言う俺はと言うと、吟味どころか絶賛絶句中だった訳なのだが……いやいや待て待て、朝比奈さんは何て言った? 
「この現時元上で願望実現能力を行使している人間はハルヒじゃない」
だと?

 
……バカな!! ならば何故、古泉や長門と言った希代な連中がハルヒに固執する? その動静に神経を尖らせる? 血相を変えてハルヒの情報を欲しがる?
 
間尺に合わないじゃないかっ。

 混沌とする思考から逃れ、そして、救いを求めるが如く長門と古泉の様子を窺ってみると———先程までの一触即発的状況が嘘の様に———何故か2人とも己の内面世界に浸り沈
思黙考状態で、おいおい、この与太話をお前らが笑い飛ばしてくれないと、この物語の根底的設定が崩れちまうんだぞ? ……と指摘すべく唇を湿らせたその瞬間、谷口の亡骸を抱き抱えた時にも感じた表現し辛い精神的脈動が、再び「ドクン……」と俺の中で蠢く。
 それは先程の奴よりも強く激しかった。
 だからだろうか、それは俺の焦燥感をより一層刺激してくれ、お陰で先程から感じている言い知れぬ不安感が増大しやがる。


 それは……例えるならば……まるで……完全犯罪を目論んでいたにも係わらず……突如現れた名探偵に……少しずつアリバイを崩され……徐々にトリックを暴かれていく…
…真犯人の心境の様であった。

*****

 
何故焦っているのか皆目判らないまま、俺は何時の間にかカラカラに乾いていた喉を無理矢理唾で湿らせ、
「ちょ、ちょっと待って下さいよ、朝比奈さん?」
とこの状況を打破すべく声を出した。そして、未来人が反応する前に俺は言葉を続ける。声が震えるのを押さえ切れないままで。頬を伝う冷や汗が殊の外不快だった。
「い、以前、朝比奈さんだって、ハルヒが根本の原因だと言ってたじゃないですか!! 時空断裂やら何やらと現象を列挙してっ」
 その当然とも言える俺の指摘に対する朝比奈さんの返答はと言えば、「……くくく」と言う暗い嘲笑だった。それは激昂しかけていた俺の精神に冷水を浴びせてくれる。一
瞬で頭が冷えた。何故なら、冷笑を向けられた対象ってのが紛れも無く俺個人だったからだ。当然の事ながら、朝比奈さんから悪意を向けられる原因何ざ全く身に覚えが無い俺である。その困惑たるや、ハルヒがSOS団の結成目的を声高らかに宣言したあの時以上に巨大だった。
 俺は「朝比奈さん……?」と知らず知らずの内に声を掛け、だが、それ以上に言葉を続けられなかった。その理由は単純明快、その呼び掛けと同時に朝比奈さんが俯いたま
まゆっくりと数回頭を振ったからである。心底呆れ返ったと言いた気なその仕草で俺の困惑は濃度を増した。咄嗟に己の言動を振り返り、しかし、やはり朝比奈さんが気分を害する様な記憶を何も見出せず、故に混乱したまま言葉も無く立ち尽くす以外に俺には取り得る選択肢が無い。
「…………」
 そして、俺が押し黙ったため重苦しい沈黙で彩られた世界の中で、朝比奈さんが徐々に顔を上げていく。「まるでアニメかドラマの演出だな……」と頭の隅で考えつつ、その様子を固唾を呑んで凝視する俺なのだが、その物問いた気な視線を跳ね返そうとでも言うのか、未来人
女子高生は顔を上げるや否や真正面から傲然とそれを迎え撃ってくれた。普段の朝比奈さんには似つかわしくない固い意志の篭った強烈な視線だった。それが己を直撃すると同時に、余りの苛烈さ痛烈さに俺は思わず怯み、だが、情け無いと言うなよ? お前らも実際に体験してみれば判るさ……美人から向けられた敵意の篭った視線ってのが、如何に男の精神的動揺を誘発するのかって事を。しかも、それが親しく接してくれていた優しい先輩から叩き付けられたとなると、そのダメージは天井知らずに上がろうってモンだ。
 そんな俺の動揺をどの様に解釈しているのか、能面の如く無表情な朝比奈さんから窺い知る事は出来ず、だが、それを追求する余裕は皆無で、正直に言おう、朝比奈さんの
態度を筆頭にして己を取り巻くこの状況が理解し難いんでな、マジで誰か詳しく解説してくれ……いや、それよりも立場を変わってくれると大変助かるってのが本音であり、まぁ、何だ、もし希望者が居たら至急連絡を請う次第である。

 しかし、朝比奈さんは———密かに現実逃避しつつあった俺を逃がす心算は微塵も無いらしい———全く表情を変える事無くゆっくりと口を開くのだった。
 そして、其処から迸った美しい声はこの世全ての存在を魅了し、だが、その内容が俺を恐怖のどん底に突き落としてくれた。


 何故なら、それはある1人の男を糾弾する内容だったのだ。 


 その男ってのが誰であるのか言うまでも無いだろう……そう、将に俺の事だったのだ。


*****


 昔々ある所に1人の男の子が居ました。
 少々夢見がちな所を除けば特に目立った特徴も無く、至って普通の男の子だったのです。
 只1つ……未覚醒英雄因子を内包している事を除けば。
 しかもそれは———億人に1人出るか出ないか言われる程———貴重極まりない皇帝因子でした。
 ですが、周囲の人間は勿論、未来人でもその事実に気が付いている人は粗皆無だったのです。
 何故ならば、それは目覚める事無く一生を終えていた筈の因子だったのだから。
 だから、男の子は普遍的一般人として人生を全うする筈でした。
 それが……それこそが確固たる規定事項だったのです。

 
でも、それを善しとしないとある非合法時空間組織が存在しました。
 彼らの真の目的に付いてははっきりした事は判っていません。
 ですが、既存の規定事項を快く思っていない事だけは確かでした。
 判り易く言えばテロリストと言っても過言では無いのかもしれません。
 何故なら、彼らは正統政府に徹頭徹尾反抗し幾つもの騒動を起こしたのですから。
 そう……この一件もその1つだったのです。


 そして、正統政府の監視の目を逃れつつその組織が張り巡らせた姦計のため、図らずも男の子は謀略の渦中に巻き込まれてしまう事になるのです。
 規定事項では未然に防がれる事になっていたそれが、何故成功したのかは判っていません。
 ですが、偶然と偶然に偶然が幾つも重なり合い混じり合う事で、その魔の手は男の子まで到達してしまったのです。


 それは一瞬の出来事でした。
 横断歩道を歩いていた男の子は、赤信号を無視し交差点に突入してきた乗用車に跳ね飛ばされたのです。
 一見すれば普通の交通事故……でも、実の所はその組織の謀略でした。
 目的、それは保有者を生命的危機に陥れ英雄因子の覚醒を強引に促す作戦でした。
 結果、その子は意識不明の重体となってしまいます。
 三日三晩に亘る懸命の処置にも係わらず、周囲の人々の祈りも空しく、男の子は衰弱していきました。 
 残念ながら、当時の医術レベルでは手の施しようが無かったのです。
 ですが、命の灯火が尽きようとした将にその時、男の子の魂は最後の力を振り絞り「死」を拒絶しようとしました。
 その生命体として当然の行為を誰が非難出来るでしょう?

 ですが……。


 その消え逝く魂魄の最後の抵抗が奇跡を起こしてしまいました。
 運命の変転、それは目覚める筈の無い英雄因子の覚醒を意味しました。


 規定事項からの逸脱……。
 新たな時間軸の創造……。
 それは九分九厘の未来人にとって忌避すべき事態でした。


 しかも……。
 所有者の境遇に同情でもしたのでしょうか? それとも保持者の怒りに同調したのでしょうか? 
 ……その英雄因子は目覚めるや否や全能力を開放してしまいました、しかも完全に暴走状態で。
 不幸な事にその状態を宥め慰められる宰相因子の持ち主も周囲に居ません。


 「能力」の無制限開放が齎したもの、それは史上類を見ない程の大規模情報操作だったのです。


 一気に改変が起こりました。
 有りと有らゆる事実や出来事や環境が変えられていきます。
 本人も含めて誰もが認識出来ない様にと記憶や記録を改竄されて。
 全てがその子にとって都合の良い形へと。


 そして勿論の事、その改変の中には男の子が連れ添うべき宰相因子保持者に関するモノもあったのです。


 ……そうでした、その子の事を語らなければなりませんね。


 その保有者は女の子でした。
 明朗活発で笑顔が素敵な誰からも好かれる女の子でした。
 自然と人の輪の中心に居る様な愛くるしい女の子でした。


 ですが、その改変は女の子の性格と境遇と運命をも一変させました。
 それ程にもその子に施された変更は強引なものだったのです。
 若しかすると男の子が感じた恐怖心が顕在化してしまったのかも知れません。
 それとも覚醒した仲間が欲しかったのでしょうか?


 とまれ、女の子が保持する宰相因子の目覚めを促すため、その子が無意識の内に感じていた不安不満は限界以上に煽られました。
 一般人では到底耐えられない程の精神的圧力。
 女の子が精神を病まなかったのは幸いだったと言うしかありません。
 無意識下に巣食っていた不安感を限界以上に煽られた女の子は、それから逃れるために因子を強制覚醒させてしまいました。
 悲しいかな、それ以外に精神的圧力を回避する術がなかったのです。
 しかし、その結果、その子の性格や嗜好までもが変わってしまう事になりました。
 今までとは打って変わって周囲を顧みない言動を取るようになってしまった女の子。
 単なる我が侭では済まされない数々の言動。
 当然ながら周囲からは奇人変人のレッテルを張られてしまいます。
 女の子の周りからは潮を引く様に友人達が立ち去って行ったのも当然といえるでしょう。
 そうなのです……女の子は孤独に彩られた世界へ自らを閉じ込めてしまったのです。
 例えるならば、皇帝因子保持者と出会うまでの間、周囲から隔離されるに似た状況でした。
 その結果、その哀しい境遇は男の子と出会うまで続くのです。


 
 それ以外にも様々な情報操作が行われました。
 そう、例えば……大規模時空断裂と言った……。

 それでも、男の子の無意識的防衛本能は警戒心を薄める事はなかったのです。
 その警戒心が更なる大規模改変を発生させました。
 そして、結果的にこの修正が数多の人々を欺く事になるのです。

 それを一言で説明すると……能力発信源を隠す事でした。


 そうなのです、あらゆる組織から自分自身の存在を隠蔽するため、因子は巧妙な工作を施したのです。
 改変能力を発現させる際、男の子から直接発生させず、一端他の子を経由する形を取りました。
 傍から見れば、まるでその子が改変を起こしている様に見せかけたのです。
 それに選ばれたのは、何を隠そう、宰相因子保持者の女の子でした。
 多分、2人の精神的親和性が高かったからでしょう、無理矢理女の子を経由し能力を行使しているにも係わらず、殆ど改変効果が低下する事はなかったのです。
 故に観測者から見ると女の子が情報操作を行っている様に認知されました。
 事象を観測していた人々はその女の子が事の中心人物であると判断し、最重要人物と認定します。
 観測体制の焦点がその女の子に集中していったのは当然でしょう。


 その結果……女の子が注目されればされるほど、男の子の存在は光に掻き消される様に、歴史の闇の中に消えていくのです。


 そうなのです。
 全ては男の子の、皇帝因子の目論見通りとなったのです。


*****


「…………」
 朝比奈さんの昔話風暴露話が終わりを迎えたにも係わらず、口を開く人間は誰も居なかった。俺は勿論、古泉や長門さえも黙ったままだ。それは当然だろう、今の話を聞い
てあっさりと納得出来る人間が居るなら、はっきり言おう、ソイツの方が可笑しいのだ。特に高校入学以来の騒動の数々を体験していれば尚更だろう。

 ははは、何だって? 俺がこの物語の中心人物? ははは……やれやれ、有り得んだろ!?

と鼻先で笑い飛ばしたい衝動に俺は駆られた。

 だのにだ……。
 
 それを上回る未知なる不安が俺を包み込み、俺の喉はカラカラだった。
 俺の体は、例えるならば“保身のために吐いた嘘”がバレルかどうかの瀬戸際的切迫感———あの表現し辛い緊張感だ———に包み込まれた様で、持ち主の意思を無視して固まっ
たままである。
 だが、そんな俺の動揺を無視して朝比奈さんは勢い良く言葉を紡ぐ。
 まるで今まで溜まっていた鬱憤を晴らすが如くに。
 親の敵を目の前にして鬱屈していたモノを叩き付ける様に。
「巧妙と言うよりも狡猾だったよ、この工作は。……九分九厘成功してたからねぇ」
 その侮蔑成分満載の呟きに反応したのは、何故か当事者である筈の俺ではなく、知的好奇心の権化たる古泉だった。
 「俄かには信じがたいですが……」と妙に平坦な声を出す古泉は、腕組みをしながら右手で前髪を弄る奴独特のポーズを崩さなかった。そう、それは古泉が考え事を纏めて
いる時の癖でもあり、その明晰な頭脳はフル回転しているに違いない。
「確かに初期段階では……僕達機関の分析でも“実際には彼が中心人物では無いか?”“某かの隠蔽工作の恐れあり”との疑問疑念が提示された事があります……極少数でし
たし即座に異端認定され記録から抹消されましたがね」
「そうそう、それそれ!! くくく、将にその異端文書が私達の時代に発見されたのさ。まぁ、学会ではあっさりとトンデモ説扱いされたけどねぇ」
 「そうでしょうね」と苦笑気味に返答する古泉に頷き返しつつ朝比奈さんはからかう様な口調で続ける。
「でもね、色々と追い込まれていたうちの組織はそれを笑い飛ばせなかったんだよ。心底藁にも縋る思いでそれを徹底的に精査し……どうやら其方の方が真実に近いらしいと
結論付けたんだ。コレを利用すれば、“達成不可能と思われていた最終目標”に辿りつけるかも知れない!!ってんで上層部は天地が引っ繰り返ったかって位に大騒ぎだったよぉ」
 未来人の暴露話は知識欲旺盛な古泉を刺激したらしく、超能力者は「ほう?」と感心した風に呟きつつ身を乗り出し、長門も身動ぎせずに耳を欹てているようであった。それに勢いを得たのだろう、
「時間も無いし、くくく、細かい流れは追々説明するとして……」
と朝比奈さんは聴衆である俺達に噛んで含む様な口調で解説をしていく。
「英雄因子には密偵宰相皇帝の三種類があるってのは言っただろ? それらの働きには古今東西変わらぬ一定の規則があったのさ。それは水が高きから低きに流れるが如く英
雄学の基本中の基本、根本的常識って奴でね」

*****

 そこで一端口を閉じた朝比奈さんは唇を湿らせながら俺を流し見た。そして、その冷たい視線を俺に固定したまま説明を再開する。まるで殊更俺に内容を強調する様に。
「密偵は宰相に、宰相はそれを皇帝にと情報を開示。受け取った上位者はそれを取捨選択した後、使用する能力の方向性や規模を規定するってのが不文律だとされてたのさ」
「…………」
「皇帝因子と雖も宰相因子からの助言無しでは改変能力を使用出来ない、宰相因子も密偵因子からの報告が無ければ上奏出来ない……言い換えればそれはストッパーみたいな
モンでね、
“それが無いと皇帝因子保持者の願望が無秩序に現実化し世界が滅茶苦茶になる恐れがある。だから、それは神が設定した規則規律であり、逸脱した例は古今東西皆無である

ってのが英雄学での定説なんだよ」
 俺達が無言で聞き入っているのをどの様に解釈したのか、満足気に頷きつつ朝比奈さんは、
「くくく、そうそう、例えば、そこでくたばっている谷口君……」
と地面に横たわっている谷口を指差し、「詳細は省くけど彼が密偵だってのは明確な事実なのさ」と言い切った。そして、その指先をツイッと動かし俺に向けたかと思うと、
朝比奈さんはボソリと嘯く。
「だから、彼の言動を受けて改変実行者である涼宮さんの思考を修正、詰まりは改変を抑制制御しているように見えたキョン君は紛うことなき宰相因子保持者だと認定されて
たんだよぉ」
「…………」
 誰もがその未知なる知識に聞き入っている中、朝比奈さんの説明は淡々と続く。
「判り易く言うと……2人の会話で密偵と宰相の遣り取りとされている事例が幾つもあってねぇ。例えば、入学直後に谷口君がキョン君に校庭落書き事件を教えた事。例えば
、例の映画撮影の際、キョン君に決定的な一言を言わせる切っ掛けを与えた事……とまぁ、くくく、2人の関係を確定する事例には事欠かなかったのさ」
と言いながら自虐的にヒョイッと朝比奈さんは肩を竦め、それに反応した訳でもないだろうが、物思いに沈んだまま古泉はボソリと呟いた。
「成る程……。改変……そう言う事ですか……英雄学……ふむ、面白い」
「ふふっ、流石は古泉君……頭ごなしに否定しないところが憎いねぇ」
 心底感心した様な声を出す朝比奈さんであったのだが、古泉はそれを契機に我に返ったらしい、ゆっくりと顔を上げつつ何やら真顔で尋ねた。
「彼の正体は判りました。それよりも、その英雄学に於いてですが、因子、特に密偵の役割とは……その時代の人類が抱いた無意識的願望集合体の明文化と考えて宜しいのでしょうか? 例えば、時代の流れを大
きく変えたいと言った……」
「……これだけの情報からそれを導き出すのかい? 流石は古泉君だ……くくく、長門さんと同じく正統政府が危険視していたのも当然だねぇ」
とこれまたシミジミと朝比奈さんが感心し、そして、突然出て来た自分の名前にキョトンとしつつ、
「ほえ? ユキリンが危険? ……私、別に怖くなんか無いよ、ね?キョン君?」
と長門さんは突如として立ち尽くしていた一般人に行き成り同意を求めてくれ、———朝比奈さんの奇妙奇天烈な暴露話で混乱していたにも係わらず———俺は条件反射で言葉を返
す。
「やれやれ、少なくとも現時点で俺は命を狙われてるんでな……朝倉並みに危険人物だよ、お前は」
「えっ、嘘!? 朝倉涼子と同列!? 酷っ、キョン君、酷っ……だから、朝倉涼子と違って楽に殺ってあげるって言ってるのにっ。プンプン!!」
「……そういう問題じゃねぇ」
「え? んと……じゃあ、苦しんで苦しんで死にたいの、キョン君は? やっぱり変わってるんだね?」
「何でそうなる!?」
 これまた反射的に突っ込みを入れた俺なのだが、そんな地球人類と宇宙人端末との心温まる交流を余所に、未来人と超能力者は英雄学とやらの考察を続けていて、小耳に挟
んだだけだが、その内容の電波感たるや……あー、あれだ、某オカルト雑誌信者同士の会話ってこんな感じなのか?

*****


「……成る程、英雄因子は人類の進化進歩にとって必要不可欠ではある……しかし、余りに世界へ与える影響の触れ幅が大きいため、胎児の段階で保持者を選別した後、保有
者は政府の完全管理下に置かれるシステムが確立している……と」
「建前上はそうなるんだがねぇ、まぁ、物事には表と裏があってさ……」
「ほほう、それは一体!?」
「TPDD……タイムプレーンデストロイデバイス……アレを使うとね、人体に甚大な悪影響を与えるんだよ、実は。どれだけ改良しても時空飛翔時に傷ついちまうんだ、遺
伝子が……」
 小馬鹿にした様な口調で告白する朝比奈さんの顔を凝視したまま古泉は黙りこくり、それを何故か面白そうに眺める未来人であった。
 だが、超能力者の心は知的好奇心に毒
されたらしく、それを完全に無視して疑念交じりの呟きを口にする。それは古泉の思考が漏れたものであったようであった。
「……遺伝子が?……傷付く……政府が完全管理……朝比奈みくるを消し去る?」
「…………」
「……成る程……そうか、そういう事ですか、朝比奈さん?」
「くくく、どうしたんだい、古泉君?」
 そこまで誘導した事を自覚しつつ、それを敢えて韜晦しニヤニヤとした笑みを浮かべる朝比奈さんに視線を固定したまま、「恐らくですが……」と古泉は淡々と前置きしてか
ら言葉を続けた。
「恐らくですが……因子保有者を判別管理運用する課程で発見されたのでしょう? 因子保有者がタイムループに適した遺伝子を内包していると」
「ふふっ……それで?」
「貴女の話が真実だと仮定すると……因子保有者は非常に貴重な筈。おいそれと無駄には出来ないでしょう。……ならば、話は簡単です……創ってしまえばいいのですよ、因子
保有者を、タイムループ専用として」
 妙に感情を押し殺した様な平坦なその声を耳にしつつ、未来人はニヤリとした邪悪な笑みを浮かべ無言でその先を促す。それが伝わったのであろう、古泉は一度大きく息を
吸い込み、そして、言葉と共に一気に吐き出した。
 そこにどの様な感情が篭っているのか俺には判らない。それを促した朝比奈さんの思いについても俺の理解力の範疇外だ。
 だが、その内容は俺の精神が強烈な憐憫の情に打ちのめされる程……人倫に悖る凄惨なものであった。


「朝比奈さん……貴女は……それ専用として創られたクローンですね、違いますか? ……朝比奈さん?」


Page:6


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  1. 2015/01/03(土) 00:43:47|
  2.  うんうん、笑顔って重要だよね!!
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