FC2ブログ

女神様の絵本箱

「涼宮ハルヒの憂鬱」の二次創作小説ブログです♪ 基本甘々ハルキョンキョンハルメインです(^▽^)/ 先ずはSSリストよりどうぞなのです

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

“好き”って魔法の言葉だと思わない???⑥(キョン君視点)

“好き”って魔法の言葉だと思わない???


・粗筋:運命の日を迎えたキョン君ですが、未だに覚悟が定まらない様で……(笑)


*****


「続きを読む」からは ……

 キョン君視点⑥:
【これが“今がその時”ってヤツなんだろうさ(高校生のデートに何でこんな大袈裟なオープンカーを用意する必要があるってんだ!?)】

……になりまーす(^▽^)/


*****

 ふと気が付けば———副団長が暗躍してくれたアノ忌まわしき団活から———何時の間にやら数日が経過していた。そのお陰と言う訳ではないのだが、有り難い事に今日の俺は日々悩まされている通学と言う名の苦行から解放されていてだ、いや、別に不登校になった訳ではなく、単純に「本日旗日なり」ってだけで、しかし、勉学に勤しむ事を義務付けられ強制されている学生にとって、それらの責務から開放されるってのは至福の時であり、況してや、旗日プラス土日と言う恵まれた日程のお陰で三日も登山をしなくて済むとなると気分が高揚しちまうのも仕方が無いとは思わないか?

 そう、敢えて再度説明しておくが、今日はその待ちに待った三連休の初日なんである。

 普段の俺ならばささやかな幸せを噛み締めじっくりと味わいつつ、菩薩の如き大らかな気持ちで以って大抵の事は笑って見過ごすのだが、今の俺の顔に浮かんでいる表情はと言うと、お世辞にも喜楽を示しているとは言い難い代物だった。
 その理由は明々白々、折角の三連休だってのに———例の団活の決定事項を免罪符に掲げた古泉が中心となって練り上げられた———SOS団主宰とされる各種イベントが目白押しでな、その売れっ子芸能人に匹敵するであろう過密スケジュール表を目にすれば、どれだけ楽観的な人間でも悲嘆に呉れる事請け合いで、そして、止めとばかりに、人の迷惑も顧みず朝っぱらから副団長が我が家に押し掛けて来たかと思うと、開口一番、
「時は金なりと申します。さぁ、準備を整えて早速涼宮さんを迎えに行きましょう」
とニヤケ面のまま強烈なプレッシャーを掛けてくるこの状況、幾ら人間が出来ている俺でも顔を顰めざるを得ないと胸を張らせて頂こう。
 で、己は正義道を邁進していると信じ切っているらしい副団長殿はと言うと、人に挨拶を返す暇も与えず、手にしていた小振りなアタッシュケースを押し付けやがり、反射的に受け取りつつ俺は思わず問い掛ける。
「……何だ、こりゃ?」
「あぁ、御安心を。爆発物と言った危険物の類の物ではありませんので」
「危険物? あのな……平和で一般的な家庭を殺伐とした非日常世界に巻き込む心算か、お前は」
「滅相も無い。中を確認して頂ければ一目瞭然なのですが……有り体に申し上げれば、今日のデートに於いて貴方に身に付けて頂く一張羅となります」
「…………」
 耳にしたくない単語に釣られたらしい、思わず突っ返したくなる衝動に駆られ、だが、それをなけなしの克己心を総動員、大きな溜息1つで許してやる俺はやはり人間が出来て居るんだろうな……明日にでも朝比奈さんに褒めて貰おう。
 とまぁ、内心で己自身を慰めながら、自分を取り巻く環境を鑑み抗議するだけ無駄だと諦観しつつ、せめてもの抵抗とばかりに俺は小声でブツクサ文句を呟き、それで何がどうなるモンでもないと改めて悟ると同時に、首を振り振り一張羅とやらに着替えるべく自室を目指し重い足取りで階段を昇るのであった。

 何? 
 情け無いだと?
 やれやれ……思い返してくれ、この理不尽極まりないシチュエーションが発生した切っ掛けの1つにだ、ハルヒが言い放った「団長命令」と言う忌まわしき単語があってだな、ゴホン、しがない雑用の立場で万が一にも逆らってみろ、心優しき団長様の事だ、市中引き回しの上磔獄門程度の事はマジで遣りかねん。

 ってな訳で、ご覧の通り、渋々ながら古泉が主体となって立案した計画に沿って行動しているのだが、まぁ、何だ……何分強要されてる感が半端ないんでな、動作そのものが緩慢になるのは仕方の無い仕儀であると見逃してくれると有り難い。
 とは言え、抵抗しようにも着替えそのものはものの数分で終わってしまい、こんな時は高校がブレザーで助かったと思うべきか、学ランだったらネクタイの締め方が判らなくて右往左往したかも知れん。
 そんな益体にも付かない事を考えて現実逃避を試みると同時に、ハルヒに対して恨み言めいた感情も感じている俺であった。

 大体だな、ハルヒの奴が「アノ単語」を口にするだけで、こんな状況からは開放されるってのに、全く要らん意地を張りやがって……。

 等と自分自身の言動を棚に上げながら相当理不尽な事を考えつつ、しかし実の所、俺は姿身に映し出された己自身の姿格好に頭を抱えていたのだ。
 だが、しれっと人様の部屋に侵入してきた副団長殿は人の気も知らずに「いやぁ、お似合いですよ」と気さくな口調で語り掛けてきやがり……やい、古泉? 一体なんだ、アルマーニだかアルマジロだか知らんが、この入社式やら結婚式どころか王族主催の園遊会に出席しても全く違和感なさそうな超高級フォーマルな服装は?
「流石は機関の極秘データですね、しっかりと実寸した訳でもないのにピッタリではないですか!!」
「おい……」
「それにコーディネイトした森さんの美的センスも流石の一言です。元が良いとしても、ふふ、これ程映えるとは」
「……待てや、古泉?」
「そして、この短時間でこの仕上がりっ、政財界を通じて多方面からイタリア本社に圧力……おっと、直接交渉した甲斐があったというものです」
「……あのな」
「御安心を。少々強引な手段を使用したのは事実ですが、それも後ろ指を指される程悪辣では御座いませんので」
等と古泉さんは平然とした顔付きで言い放ってくれ、だが、一体全体何を安心すればいいのやら……そのスケールの大きさに平凡的小市民でしかない俺は益々顔を顰め、と同時に、封印している筈の単語が自然と口を吐く。
「やれやれ……お前らが何を考えてどんな事を企んでいるのか知らんが、何時も何時も大袈裟なんだよ、機関の計画ってのは」
「何を仰います!! 貴方と涼宮さんの初デートですよ!? ……結成以来待ち望んで幾星霜、機関構成員が総動員されるに足る重大イベントではないですかっ。若し万が一にも、これが失敗した暁には一体全体何人の首が飛ぶ事か!!」
「……だから、大袈裟だと言ってるだろ? それに、デートじゃないと何回言ったら理解するんだ、お前は」
 普段の冷静さは何処へやら、妙に力み返る古泉から視線を逸らし思わず目頭を押さえながら、それと同時に、昨晩の我が家で繰り広げられた大騒動を思い返す俺であった。

*****

 一体誰から情報を得たのか、我が妹は今週末に某団長と某雑用が2人っきりで出掛けざるを得ない危機的状況に追い込まれている事を知っており———断っておくが、あくまで出歩くだけであり、断じてデートとやらでは無い。繰り返すぞ? 断じてデートでは無い———、んでもって、完全に無関係且つ完璧に部外者な筈なのにだ、夕飯までの憩いの一時を自室でまったり過ごしていた俺に断る事無く、行き成り人の部屋に乱入したかと思うとシャミセンを小脇に抱えつつ大はしゃぎしていてだ、まぁ、それは良いんだが、何時も言ってるだろ、人の部屋に入る時にはノックしなさい。
「はーい。でもぉ、凄いねぇ……シャミ、聞いた? キョン君とハルにゃんがデートするんだって!!」
「にゃお?」
「ふわぁぁ、デートかぁ……凄いねぇ、世界が違うねぇ、高校生ってやっぱり大人なんだねぇ」
「あー、妹よ? 感心している所を悪いんだがな……さっきも言ったと思うが、デートと表現するには些か語弊があってだな、ゴホン、あくまでもこれは俺とハルヒのプライドを掛けた勝負であって……」
「判ってるよ、キョン君!!」
「……絶対理解して無いだろ、お前?」
と我ながら疲れた声で突っ込みを入れた途端、何を閃かせたのか、妹は「パァァン」と派手に手を打ち合わせ満面の笑みを浮かべた。
「あっ、そーだ!! あたし、お母さんに言って来るっ」
「何だとっ、ちょっと待て!?」
 引き止める暇も有らばこそ、脱兎の如く俺の部屋から飛び出しつつ隣三軒程度には聞こえるであろう大きな声を出す妹であった。

「おかあさぁぁん!! キョン君がねぇ、ハルにゃんとぉ、明日ぁ、デートだってぇ!!」

 ……その後の騒動に付いては多くは語るまい。

 妹の絶叫を耳にした瞬間から、赤飯だ鯛の尾頭付きだと血相を変えて浮かれ騒ぐ母親だけでも持て余し気味だった所に、珍しくノー残業とやらで早めに帰宅して来やがった父親さえもこの話を聞くや否や、秘蔵の日本酒を開けるだの親戚中に連絡するだの……やれやれ、何なんだ、この一家は。

*****

 昨晩の狂乱を思い返した結果、酷くなった頭痛対策にとこめかみを揉んでいたのだが、その雰囲気を態と無視し、何時もの如く古泉は爽やかな反応を示しやがる。
「素敵なご家族ではありませんか? いやはや、羨ましい限りです」
舞台俳優の如く大袈裟に両腕を開きつつ感嘆した風な声を出す古泉を睨み付け、
「あのな、息子が休日に、ハル……あー、その、何だ、クラスメートと出歩くってだけだぞ? しかも周囲から強制されてな……。なのにビデオだカメラだと大騒ぎしやがって。ったく、七五三を初めて迎えた幼児って訳でもないっての」
 更に顔を顰めつつ溜息混じりに愚痴を零した俺なんだが、副団長殿はサラリと追い討ちを掛けてくれた。
「あぁ、カメラで思い出しました。申し訳ありません……実は貴方に伝達し忘れていた項目がありましてですね」
「……聞きたくは無いが言ってみろ」
 嫌な予感を覚えつつも俺は渋々許可を出し、晴れやかな笑顔のままで古泉は「では、お言葉に甘えまして」と前置き1つ。
「貴方と涼宮さんの事です、例の単語を口にしたしないで揉める可能性を考慮して……」
「…………」
「ふふ、長門さんに映像記録を撮る様にお願いしてますので」
「は?」
 意味が判らず妙な返事をしてしまった俺だったのだが、口篭ったのも一瞬、古泉の告げた内容を理解するや否や、我知らず大きな声を出していたのだった。
「いやいや待て待て!!」
「おや、どうかされましたか?」
「どうかされましたか?……じゃない!! なんでそんな恥ずかしいモンを記録されねばならんのだ!? って言うかお前ら付いて来る心算なのか!? どんな羞恥プレイだ、それは!?」
 周囲を憚る事無く絶叫した俺の反応を予想でもしていたのか、柳に風といった体で副団長はしれっと言葉を続ける。
「御安心を。そこは長門さんと僕に朝比奈さんが一致協力してですね、我々の姿を決してお2人の目に晒さない様配慮致しますので」
 「そういう問題じゃないっ」と猛抗議する俺を無視しつつ、古泉は腕時計に目を落とし、そして、これまた平然と告げやがる。
「あぁ、もうそろそろ出発しなければ約束の時間に遅刻してしまいますね。では、外出の準備を」
「…………」
 それは望まぬ見合いの直前になって渋りまくる箱入りお嬢様を華麗にあしらう老獪な執事の如き口調であった。

*****

 状況を理解しているのかどうか、何故か「付いて行く」と騒ぎ纏わり付く妹を容赦無くリビングに放り込みホッと一息吐きつつ、だが、暗い顔をしたまま俺は古泉の持って来た革靴———これも海外有名所の高級品でやんの———を履いた。これまた計った様に憎たらしい程ピッタリとフィットしやがり、その事実が又俺をイラッとさせてくれる。
「やれやれ」
と無意識の内に呟きを漏らしながら、古泉に促されて外へと歩き出す俺。
 しかし、そんな感じでこの世の理不尽さを嘆いていた俺を出迎えてくれたのは相も変らぬ自然の営みであった。玄関を潜ると同時にサラリとした風が頬を撫でてくれ、その心地良い感触に心を癒されつつ俺はふと空を仰ぎ見る。
「…………」
 文字通り抜ける様な青空だった。意識どころか魂すらも吸い込まれそうな程の澄んだ空色だった。その透明感溢れる純粋なる青色を見ていると、心の穢れが流されて行く様な気がする。そして、己が如何に矮小な存在なのかを実感させてくれ、結果、俺は平常心を取り戻したのだった。

 そうだな……。
 高々ハルヒと計画通りにあちこち歩くだけじゃないか。俺は何時もの様に泰然自若を保てばいいんだ。あぁ見えて、実はウッカリ者のハルヒの事だ、妙な所でポロリと例の単語を口走る様な気もするし、って事はだ、それまで俺は広い心で古泉達の計画を楽しんでやれば良いのさ。

 やはり自然ってのは偉大だなぁとシミジミしつつ、俺は深呼吸一発、心の中の蟠りを全て吐き出す。そして、意識改革に成功し冷静になれた俺は、先に道路に出ていた古泉の後をゆっくりと追った。有り難い事に副団長の姿を目にしても先程までの様に苛々感は湧き上がらない。

 そうさ、古泉だって任務やら何やらで大変なんだろうし、まぁ、何だ、偶には奴を気遣ってやっても罰は当たらんだろ?

 そんな仏陀に比する大らかな気持ちで以って、腕時計を確認しつつ何かを待ち侘びる風情で左右に視線を走らせる副団長に、歩を進めながら俺はノンビリと声を掛ける。
「何だ、どうした? 誰かを待っているのか?」
「……ふふ、漸く落ち着かれましたか?」
 チラリと人の顔色を窺うや否や、俺の内面的変化を敏感にも感じ取ったらしい、幾分ホッとした雰囲気で古泉は振り返り、だが、敢えて俺は「何をどうやったら落ち着く様な状況だっての」とソッポを向いたのだが、副団長殿はそれも想定内ですと言いた気に肩を竦めながら、さらりと返答する。
「えぇ、予定では後数分で此方に迎えの車が……あぁ、来ましたね、アレです」
 平然とした体で指差す古泉に釣られて其方を向いた俺はソレを視認した瞬間、絶句すると同時に、回れ右して自宅に逃げ込みそうになった。そんな俺を気遣う事無く、まるで銀色に輝くゴーストのように、その車は文字通りエンジン音すら立てる事無く粛々とアスファルト上を進む。
「…………」
 快晴の元、それは……その強烈な存在感を燦然と輝くメタリックシルバーの車体で以って周囲に誇示していた。先程獲得した筈の平常心が吹き飛ぶのを感じつつ、僅かな音すら響かせず目の前で静かに停止した車をマジマジと見入る俺に、古泉さんが得意げな口調で解説してくれた。
 この解説好きめ……。
「機関のコネを総動員して準備しました。彼のロールスロイス社の名声を確立した名車の最初期モデルだそうです。可能な限り当時の部品を使用しているこの世に一台限りの逸品との事ですが、どうですか? お気に召して頂けたでしょうか?」
「…………」
 その問いに答える余裕が無いまま、王侯貴族が愛用するに相応しい———詰まりはこんな日本の片田舎に相応しくない———高級クラシックオープンカーを、俺は無言で睨み付けていたのだった。
 完全無欠の門外漢である俺ですら、この車が高級品と言うかビンテージ物だと言うかそんな雰囲気を容易に感じ取れるんだ、周囲の人間の反応が如何なるものか想像出来ようってもんであり、事実、少し離れた橋の袂で井戸端会議中であった奥様方が声を潜めつつ此方をチラチラと伺い、そして、それに加わる人数が加速度的に増えていくのを目の当たりにした俺は、これ以上晒し者になりたくは無いとばかりに、慌てて古泉に抗議する。
「ちょっ、おまっ……何だ、この車は!? 高々高校生のデートに何でこんな大袈裟なオープンカーを用意する必要があるってんだ!?」
「おおっ、遂にデートとお認めになられましたか!!」
「……あー、それは言葉の綾だ、ゴホン、見逃せ。って言うか、それよりも、これは何だ!? しっかりと判り易く説明しろっ」
 血相を変え俺は眼前で停車中の海外製高級車を指差したのだが、その最中も周囲に集まる物見高い野次馬さん達は増加の一途を辿り、いや、マジで勘弁して下さい。
 特段、望んだ訳でも悪事を働いた訳でもないのに観衆の注目を一身に集めていると言う事実、その居た堪れなさと言ったら言葉も無い程なんだが、古泉は周囲の喧騒を全く気にする事無く平然と答えた。
「先程もお答えしましたと思いますが、お二方に最高のデート環境を提供するために繰り広げられた幾万の人間による活動の結果の一端がこれなのです」
「…………」
「ご安心下さい。我々の計画に不備等有り得ません。完璧です。例え如何なるロイヤルファミリーであっても満足させる自信が御座いますので、貴方は大船に乗った心算で泰然としてくだされば結構です」
「勘弁してくれよ……ん?」
 その瞬間だった。
 古泉の自信満々な顔をマジマジと見ていた俺の脳裏に「ピキピーン」と警告音が響いたのは。
 と同時に、俺は先日渡された予定表の内容を思い出した。その分刻みのタイムスケジュールに改めて顔を顰めながら、何と無く自分が着ている高級スーツと眼前で停車中のビンテージクラシックカーを交互に確認……そして、俺の第六感が何に対し懸念を抱いたのかを理解する。
 嫌な予感が強くなった様な気がした。
 「ゴクリ」と喉を鳴らしてから、俺は相も変わらず爽やかな微笑を浮かべている副団長にそれをぶつけた。
「あー、余り聞きたくはないんだがな?」
「何でしょう、僕に答えられる事でしょうか?」
「俺の記憶が確かなら、今日の予定に食事やら何やらが有った筈だよな?」
 恐々確認する俺の台詞をどう解釈したのか、古泉は嬉しそうに「しっかりと覚えて下さってる様で祝着至極」とか何とか。だが、切羽詰っていた俺は、そんなお為ごかしを華麗にスルーし、ズバリと核心を突いた。
「まさかと思うが、其処も一般人お断りの三ツ星高級料理店だとか……いや、待てっ。それよりもだ……こんな訳の判らんVIP扱いが今日一日延々と続くんじゃないだろうな?」
「ふふ、どうでしょう?……それはこの先の“お楽しみ”と言う事でご容赦下さい」
 恐ろしい事に、人が感じた懸念を否定しやがらない古泉を更に詰問するべく口を開きかけた矢先、ナイスなタイミングで副団長の携帯が軽やかな呼び出し音を響かせる。
「…………」
 古泉が「失礼します」と断りを入れつつ携帯を引っ張り出すのを、俺は暗い目で見つめた。何故ならば、その軽快なリズムは俺の心を寸毫も弾ませる事は無く、寧ろ俺にとっては、完全に逃走路が閉じる効果音の様に感じられたのだ。
 何となれば、古泉の携帯が鳴るって事は、大体が非日常現象絡みであり、過去の経験に照らし合わせると、それは俺が東奔西走せざるを得ない状況の発生を意味してきたからである。俺の内面で形成された悲哀、それは何と言うか、裏切りによって垓下に追い込まれた挙句、周囲を囲む敵軍から聞こえてきた故郷の歌を耳にした瞬間、諦観してしまった項羽のそれに匹敵すると言えば理解して頂けるかも知れんな。
 んでもって、そんな俺に出来る抵抗と言えば弱々しく首を振る事だけであり、そして、思い出して欲しい……恐ろしい事に今日という日はまだ始まったばかりなんである。

 全く以って「やれやれ」だ。
関連記事
スポンサーサイト
  1. 2015/03/21(土) 00:16:35|
  2.  “好き”って魔法の言葉だと思わない???
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<独り言(2015/03/21) | ホーム | 独り言(2015/01/13)>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://megamisanamoehonbako.blog.fc2.com/tb.php/158-49b05b70
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

カレンダー

11 | 2018/12 | 01
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

プロフィール

宇奈月悠里

Author:宇奈月悠里
ハルキョン&キョンハル大好き人間です!!

アイコンは敬愛するだんちさんから拝借させて頂いておりますっ。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

★★★SSリスト★★★ (2)
★★★独り言★★★ (47)
★★★短編SS(連載中)★★★ (5)
 サンタを応援すると、イイ事があるんだからねっ。 (3)
 とある副団長の平凡な一日??? (2)
★★★長編SS(連載中)★★★ (76)
 死が二人を別つまで……。 (9)
 ねこねこふぁんたじあ (14)
 It’s A “わんderful” World (8)
 もてる男は、ふっ、辛いぜ……(ノ_-。) (8)
 女神様と卓上遊戯 (4)
 “好き”って魔法の言葉だと思わない??? (12)
 みくるちゃん In らぶりーらびっと!! (8)
 そして、夢見る少女は大人の階段を昇る……。 (13)
★★★短編SS(完結)★★★ (19)
 嬉し恥ずかし初デート!? (5)
 探し物は何ですか? 見付け難いモノですか? (5)
 ラブコメって美味しいの??? (5)
 素直なのは良い事です!! (2)
 地球人類危機一髪!? (1)
★★★長編SS(完結)★★★ (35)
 SOS団は狙われてるんだからね!! (17)
 うんうん、笑顔って重要だよね!! (18)
★★★エッチィSS★★★ (1)

FC2拍手ランキング

かうんたー

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。