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女神様の絵本箱

「涼宮ハルヒの憂鬱」の二次創作小説ブログです♪ 基本甘々ハルキョンキョンハルメインです(^▽^)/ 先ずはSSリストよりどうぞなのです

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うんうん、笑顔って重要だよね!!(キョン君視点C)

うんうん、笑顔って重要だよね!!


粗筋:やっとこ伏線回収……(;^_^A

*****

「続きを読む」からは ……

 キョン君視点C: 【俺はハルヒの笑顔が、笑顔だけが見たい(後編)】

……になりまーす(^▽^)/

*****


 今、俺は新校舎二階の廊下を脇目も振らず全力で疾走していた。放課後になって間もない頃合のせいだろう、未だに多くの生徒が校内に残っている中をだ。周囲の迷惑を顧みない全力走行を目の当たりにし、廊下に屯する生徒達が「一体何事?」とでも言いた気な顔付で脇に避けていく。
 その猛ダッシュぶりを教師にでも見つかった場合、語気荒く呼び止められた挙句に、九分九厘の確率で長々と説教を喰らうであろう事は明白なのだが、有難い事にその様な面倒な存在に遭遇する事は無く、しかし、その幸運に対し謝意を述べている余裕は皆無であり、それは何故かと問われれば、己自身の迂闊さに対して、有りっ丈の罵詈雑言を叩き付けている最中だからだと正直に答えよう。
 そうなのだ。
 去年一年を振り返ってみろ、ハルヒが巻き起こした非日常的騒動の数々、それを平和裏秘密裡に収束させるべく、俺は何度東奔西走したと思う? 
 ……それなのに、今回だけは大丈夫とばかりにノホホンと普遍的学生生活を満喫している何ざ、俺の学習能力はミジンコ以下か!? 
「…………」
 やばい、自分で非難していてなんだが、悲しくなってきた……のだが、落ち込んでいる暇は無い。そう、ついさっきの事である、俺は鶴屋さんと約束したではないか、「朝比奈さんの事は任せて下さい」と。「心配しないで下さい」と。
 俺の昼行灯的行動のせいで、あの天真爛漫な先輩にあそこまでの深刻な悩みを抱かせてしまったのだ。きっちりとハッピーエンドに持っていかないと、俺の立つ瀬が無い。
 自然と緩くなっていた速度をマックスまで引き上げ、そして、校内地図を思い浮かべつつ、左右に視線を飛ばすと同時に一人ごちる。
「ったく、アイツはどのルートを通ってやがる?」


*****


 さて、ここまでくれば、もうお解かりであろう、俺が誰を探しているのかを。
 俺が追い求めているのは、そう、毎度毎度騒動の中心に居やがる学校未公認組織SOS団団長涼宮ハルヒその人であった。

「??? 放課後だし、部室に行けば苦労無く会えるんじゃね?」
って突っ込みは至極尤も何だが、今回のケースだと、それでは不味いだろうってのがSOS団雑用の見立てなんである。何故ならば、先程認識させられた“現在進行形的現実改変”が「SOS団自主製作映画用ハルヒ謹製シナリオ」に即しているのは間違い無く、そして、それが既成事実化し固定化されてしまうのは、ハルヒが部室に入った瞬間……より細かく言えば、あいつが異能者達に、
「これが決定稿なんだからね!!」
とでも宣言しつつ用紙を鼻高々モードで手渡すまでだと俺は予想し、恐らくそれはそれ程ずれた見解でもないと思われ、そうするとだ、残された時間は限りなく少なく、畜生、追い付けるかどうかは甘く見て五分五分ではないだろうか? 
 そして、捕捉に失敗した後の事は考えたくも無い、ってか悩むだけ無駄だろう。
 何せ今回の改変が決定化した場合———あぁ、例のシナリオの中身を思い出して頂きたい———常なら事態を収拾するための切り札とでも言うべき長門や古泉や朝比奈さんが敵に回る訳で、それはこの改変を修正する術が無くなる事と同義であり、結果、俺やハルヒの死を意味するに等しいのだ。
 だから敢えて言おう、ぶっちゃけそんな事で、SOS団を瓦解させる何ざ俺は承服しかねるぞ!!
 ……と息巻いてみたものの、仮に追い付けたとしてだ、最終最強呪文である筈の、
「これはフィクションです」
に対し、団長様が耐性を身に付けてしまっていると言う冷然たる事実を前に、何をどうすればハルヒの異能を落ち着かせられるのか、皆目見当もつかないと来たもんだ。
 だが、しかしである。
 そこはそれ、発想の転換をしてみると……職員室前で鶴屋さんや国木田に出会わなかったら、更に言えば、あの時岡部に頼まれ事をされなかったら、現実改変が密かに世界を侵食している事にも気付かず、故に阻止出来る可能性すら皆無だった訳で……ふむ、そうだな、そう考えると、幸運の女神はまだ俺を見捨てていないって事だよな?


 とまぁ、幾分前向きな気分になったところで、ここまでの流れを確認してみようと思うのだが、如何だろうか?


*****


 「勉強を見て欲しい」と俺に泣き付かれたハルヒは、善は急げとばかりに次の日の放課後には早速勉強会を開催してくれたのだが、何故か授業を受けるよりも内容を理解し易く、相変わらず重要なポイントを厳選した無駄の無い指導方法には感服するしかない……ってか、下手すりゃうちの教師達よりも洗練されてるんじゃないか、これ?
「あんたが難しく考え過ぎなの。こんなん誰が教えたって覚えるべきポイントは変わんないわよ。シンプルイズベストって言うでしょ?」
と簡単に言われてもなぁ、理解している奴からすればそうかも知れんが、そうで無い人間からすると将に魔法の如し、自力ではどうにも埒が明かない気がするぜ。
「褒めても何にも出ないわよ。でも、あんたの事だから、一気に詰め込んでも理解が追い付かないわよね……うん、今日はここまで!!」
との団長様宣言を最後に本日のタイマン勉強会はお開きになり、自分から頼んだにも係わらず過労により知恵熱を発したらしい頭を振り振り、溜息を吐きながらカバン片手に席から立ち上がりつつ、当然、団長様も部室に同行するもんだと思い静かに待機していると、ハルヒはカバンを引っ掴むと同時に、
「最後に確認したい事があるから、先に行ってて頂戴っ」
と言い残してさっさと教室を飛び出しちまい、その口を挟む暇すら与えない俊敏な行動、将にハルヒの真骨頂であるのだが、それを理解して居ながら何故か感じてしまった一抹の寂しさと共に侘しく教室を出た所で、我らが愛すべき担任岡部教諭がジャージ姿の男子生徒と廊下で立ち話をしている場面に、俺は遭遇したのだった。
「…………」
 戸惑ったのは一瞬の事だった。
 流石に担任を無視する訳にもいかず、かと言って声を掛ける事にも躊躇いを覚え、ならばと軽く目礼しつつその脇を静かに通り過ぎようとした矢先、その気遣いもなんのその、
「お? キョンか……あぁ、済まんが、一つ頼まれてくれんか?」
とその岡部の方から声を掛けられ、マジで動揺する俺。
「??? 頼み、ですか?」
「そんな嫌な顔をするなよ。お前、今日も例のサークルに参加するんだろ?」
 スポーツマンらしい爽やかな笑顔を浮かべた岡部は、手にしていた書類ケースを持ち上げながら、「その行き掛けにな、職員室の俺の机にコレを置いて来てくれると助かるんだが?」と要件を告げつつ、急遽ハンドボール部に出向かざるを得ない用事が出来たのだと、その理由を説明してくれる。岡部と立ち話をしていたのは、ジャージの色からするとどうやら三年生で———この人が部活の件で我らが担任を呼びに来たのだろう———まぁ、部室に行く途中の道すがらでもあり、無下に断る様な事案でもなく、俺は「その位なら」と手を差し出したのだ。


*****


「失礼しました~」
と我ながら愛想の良い挨拶と共に一礼しつつ俺は職員室を後にする。そして、安堵の吐息を漏らしながら扉をゆっくり閉めながら、「職員室と言う存在が、生徒にかくも精神的圧迫感を与える要因とは何か?」等とどうでもいい事を考察していると、いきなり背後から両肩をバンッと元気良く叩かれ俺動揺。
「!?」
 心臓を跳ねさせつつも反射的に振り返り、直後、敬愛すべき最上級女生徒が、俺の両肩に手を乗せながら満面の笑みを浮かべているのを見出し、ホッと安堵の溜息を吐く。
「何だ鶴屋さんじゃないですか、ビックリさせないで下さいよ……」
 鶴屋さんの人懐っこい笑顔に釣られて俺も笑みを浮かべつつ、冗談めかして文句を言ってみたのだが、名誉顧問に「御免御免っ、何だかボンヤリしてたから、つい悪戯心が悪さをね!!」とニパッとした人好きのする笑みと共に片手で拝まれ、俺は即座に全面降伏、瞬時に話題を変える。
「ははは、構いませんよ、ボンヤリしていたのは事実ですしね。……もしかすると鶴屋さんも職員室に用事が?」
「まぁね、鶴にゃんも三年だし、そすっと、模試やら受験やら推薦やらって面倒い存在が次から次へと目白押しなんだよねっ」
 受験等々と言った聞きたくも無い単語を耳にし、「た、大変ですね……」と答えるのが精一杯な俺に、鶴屋さんは「にゃはは、今の内に青春を楽しみ給えっ、青少年!!」と有難いアドバイスをくれたのだが、それに謝意を述べるよりも先に、俺は周囲を見回してから何気無く尋ねていたのだ。


「あれ? 今日は朝比奈さんとは一緒じゃないんですね? もう、団活に行っちゃいましたか、朝比奈さん?」


 だが、世間話的気楽さで口にしたその一言が、事態を激変させるトリガーになっているって事を、この時の俺に予測しろと言う方が無理な注文である。
 何と成れば、朝比奈さんの名前が出た瞬間、鶴屋さんは見た事も無い程沈痛な表情を浮かべたかと思うと、突然俺の手首を握りしめると同時に、小首を傾げるや否や酷く沈んだ声で呟いたのだ。
「ちょっと、キョン君……こっちに来て欲しいっさ」
 そして、俺の返事を待たずに、常に無い強引さで以って人通りの激しい職員室前から———人目を避ける心算なのか———人気の無い生徒相談室前まで、グイグイと連行する鶴屋さんなんだが、一体全体何なんだ? その重苦しい雰囲気さえなければ「もしや告白か!?」等と嬉しい妄想にも浸れたのだが、どうやらそんな冗談を言える状況ではなさそうだ。
 状況に流されるまま生徒指導室の扉を背にした俺は、真正面に位置する深刻な顔付の上級生に恐る恐る尋ねる。
「えっと、あの……鶴屋さん? 一体?」
「んっとね、その、何て聞けばいいのか、分からないんだけど……」
と前置きをしつつ、伏し目がちに鶴屋さんは「ねぇ、キョン君? この前のみちるちゃんの事を覚えてるっかなぁ?」と脈絡の無い事を仰り、俺更に困惑。
「??? えぇ、忘れようにも忘れようが無いですからね、あれは」
 素直な感想を述べながら、実の所、名誉顧問の真意を測りかねていた俺が、遅まきながら、その意図を察したのは、次の様な問い掛けがなされたからであった。


「あん時と同じ事が、みくるに起こってたりするのかな、最近……」


*****


「はい?」
 俺の最初の反応が間の抜けたモノになったのは不意を突かれたからであり、だが、名誉顧問の発言の意味を理解した瞬間、脳裏に浮かんだのは、ハルヒがシナリオに書き起こしていた朝比奈さんのクローンだか何だかの悪女めいた言動であり、あのインパクトを思い出し思わず眉を顰める俺の様子に気が付かないまま、鶴屋さんは床に向かって語り掛けるが如く顔を伏せ気味に口を動かし続ける。
「ハルにゃん達が何時もの様に何か面白い事やってて、それに巻き込まれてみくるの様子が可笑しいのかなぁって思ったんだよね、最初は」
「…………」
「でも、みちるちゃんの時以上に、みくるのようでみくるじゃないんだよ、今のみくるは……」
 淡々と告げる鶴屋さんの言葉は、俺の肝胆を寒からしめるに十分な威力を秘めていた。
 恐らく、鶴屋さんの常人離れした直観力と、ハルヒの願望実現能力の存在、そして、例のシナリオの内容を知っている人間なら同じ反応をするだろう。
 そして、俺はその数少ない人間の一人だった……。
 しかし、だからこそ、ここで俺は慎重になった。
 その理由は唯一つ、改変が実行されていると言う実感が皆無だったからだ。
 あれからこっち、自分の目で改変されてる実例を見た訳でも、古泉達から何か異能的な相談をされた訳でも無く、ハルヒはハルヒで———去年の映画撮影時の如く———超ハイパーハイテンションって感じでもない。それに、下手に突いてみたはイイが、藪から蛇ならぬドラゴン辺りが出かねないからな、ハルヒの場合は……。
 かと言って鶴屋さんが抱く不安感を慮ると、突き放すのも忍びなく、ならば、適当な慰めの言葉を述べるべきか、口から出まかせのままお茶を濁すべきか、それとも……。
「…………」
 情けない事に最適解を見いだせないまま、口籠りまごつく俺を他所に、鶴屋さんは怖い位に淡々と言葉を続ける。
「それに、あん時とは違って……面白い事にはなりそうにないんだよ、うん、きっと皆が皆、悲嘆に呉れそうな予感がするっさ」
 それは避けようの無い世界の破滅を渋々告げる予言者の如き沈痛さを含んでいて、今一危機感を持てていない俺の心をも締め上げてくれた。だが、残念な事に、それを肯定するにも否定するにも情報が少な過ぎる。


 一旦、この場を収めて古泉や長門に確認した方が良さそうだが……。
 長門に古泉か……。
 …………。
 ……ん? 
 何だ、今、一瞬何かが引っ掛かったな、一体何だ?


「…………」
 その微かな違和感を追い求めるが如く、俺は無意識の内に周囲を見回し、そして、廊下に立ち止まり此方を伺っている国木田の姿を、鶴屋さんの背中越しに発見した。
 何時からそこに居たのか全く気が付かなかったのだが、どうやら国木田は階段を下り切り廊下に降り立った直後、俺達の姿を見つけたらしい、珍しく戸惑った様な表情を浮かべているのが印象的だ。
 何故か解放され救われたような気分になりつつ、
「よう、国木田……どうした」
と俺は普段通りに声を掛け、鶴屋さんも反射的に振り返りながら「国木田君?」と名前を呼ぶ。そんな俺達の反応から何かを察知したのか知らないが、あからさまにホッとしつつ、国木田はこちらへと歩を進めながら鶴屋さんには目礼、
「深刻そうな雰囲気だったから、声を掛けていいのか迷っていたんだけど……良かったのかい、キョン?」
と何時もの飄々とした雰囲気で尋ねる。特段隠す事も無いので、俺も鶴屋さんも笑いながらそれを肯定し、だが、続いてなされた国木田の問い掛けが、俺の笑みを凍り付かせてくれたのだった。
 何故ならば、それに含有される事態の深刻さを理解出来るのは、宇宙広しと雖もSOS団雑用たるこの俺だけだったからだ。
 そう、国木田は、俺に、こう、尋ねたのだ。

「ねぇ、キョン? 涼宮さんって天文学に興味あったんだね、知らなかったよ」

「……済まん、何だって? 天文学だと?」
と鸚鵡返しに返しつつ、天文学から連想されたのは、勿論、昨日のハルヒの発言だった。


「未知の彗星が現れた事にするわ!! 丁度みくるちゃん達も受験でしょ? だから、その箒星に皆で願掛けに行くって訳っ。完璧よね!!」


 …………。
 おいおい、待てよ、ハルヒさん? お前、まさか……。
 ってか、鶴屋さんの杞憂がマジ物になってるって事か!?

 
先程のノホホンとした気分を吹き飛ばされつつ、九分九厘アイツが遣らかした事を予想しながら、聞きたくも無いのにその先を促すと、その辺の事情を知らない国木田はあっさりと返事を寄こした。
「うん、さっき天文部に顔を出してたらさ、行き成り涼宮さんが飛び込んで来て……」
 そんな出だしで事の顛末を語ってくれたのだが、その進行に合わせるかのように、俺の頭痛が悪化し続けるのも仕方が無いと言えよう。
 その国木田発言を簡潔にまとめるとだ、以下のようになるのだが……。


*****


 野暮用で天文部の友人を訪ねた国木田を出迎えたのは、祭りでもあったのか、何やら盛大に盛り上がっている部員達であった。
 聞けば……何でも昨日まで絶対に存在していなかったと断言出来る未知の彗星が突如木星近辺で発見され、天文界隈はプロアマ含めて上に下にの大騒動らしく、関連ネットやら何やらも天変地異でも起きたのかって位に阿鼻叫喚の嵐なんだと。
 卒業生からの伝手でこの事を知った部員達が、その前例の無い異常現象に飛び付き、あちらこちらから情報収集しながら、「これを今度の文化祭のテーマにする!!」と意気込んでいる最中、そこに何故かハルヒが前触れも無く飛び込んで来て、挨拶も無く言い放ったんだそうだ。


「ねぇ、ちょっと聞きたいんだけどさ……近々映画撮影に使えそうなデッカイ彗星とか見つかったりしてないかしら?」


*****


「で、たった今発見されたって部員から教えて貰った涼宮さんは、規模や見える方角を確認すると、“これでストーリーは確定ね!!”って嬉しそうに出て行ったんだよ」
「…………」
 飄々と説明してくれる国木田には悪いんだが、俺は深刻化する頭痛に顔顰めている最中でだな、いや、それよりもだ、アイツ、マジで何てことしやがる……と文句を付けたくなりながら、まぁ、何だ、最も身近に控えて居たにも係わらず、それに気が付けなかった己の不明を恥じる方が先か?


「自作シナリオの内容+鶴屋さんの懸念+国木田情報=ハルヒの願望実現能力の暴走確定」


と言う数式が脳裏で乱舞、そして、これを認識し対処出来るのが、これまた俺しかいないと気が付かされた訳で、あー、まぁ、何だ、テンプレめいた行動になるんだが、団長様を止めないと酷い目にあいそうである。
「やれやれ」
と首を振りつつ、対策云々の前に、今回のケースで最悪な結果はなんだろうと考え始めた矢先、遅まきながら先程の違和感の正体を悟る俺であった。


 今回に限って、何故、何時もの如く長門や古泉から警告めいた相談がなされなかったのか……。
 それの答えは単純明快、連中の性格やら背後設定やらが、例のシナリオに即したモノに改変されつつあるからで、思い出してみろ、アレの中での連中は俺やハルヒを喜々として殺害しようとしていた正真正銘の敵であった訳でな、って事はだ、ぶっちゃけ、改変が実行されつつある何て重要な情報を、確実に阻止するべく奔走するであろう人物———つまりは俺だ———に渡すだろうか?


 自問に返答する前に冷たい物が背筋をゾワゾワと伝わり、俺は身震いした。
 ヤバい、非常にヤバい。
 去年のクリスマス前の騒動を超えるヤバさである。
 何せあの時は非日常的騒動が世界から消え去る程度だったのに対し、今回は己とハルヒへ身の危険が迫っているのだ、その上、俺達を狙ってくるのが、頼りになる筈のSOS団の仲間達だってのが、笑うに笑えない。


 鶴屋さんから相談されていた時に抱いていた非当事者的思考は、疾うの昔に四散し、近年稀に見る程の危機感が体内で育まれていく。
「…………」
 ふと頬に視線を感じ、反射的にそれを目で追うと、その先には縋る様なか弱い表情を浮かべた鶴屋さんが佇んでいた。まるで外出先で母親と逸れ、その心細さの余り泣き出す寸前の幼稚園児を髣髴とさせる姿だった。
 そんな鶴屋さんを目の当たりにした直後、俺の中で義侠心が目覚める。
 俺やハルヒの命云々はさて置き、ぶっちゃけ、女性に助けを求められて奮起しない男がいるだろうか? 況してや相手は日頃お世話になっている名誉顧問だぜ? ここでやらなきゃ何時やるってんだ?
 俺は深呼吸一回、可能な限り頼りになる男っぽい笑みを浮かべつつ、先輩に声を掛けた。密かに決意を固めつつ。
「鶴屋さん?」
「キョン君……」
「心配しないで下さい。朝比奈さんの事は俺が絶対になんとかしますから」
 そこに含まれる不退転の覚悟を感じてくれたのだろう、鶴屋さんはパチクリと瞬きをしたかと思うと、フッと肩の力を抜きながら微かに微笑み、そして、小さく頷いてくれた。俺はそれに頷き返してから、その遣り取りを黙って見詰めていた級友を振り返る。
「国木田、済まんが頼みがある」
「……なんだい、キョン?」
「鶴屋さんを頼む。どうやら俺は、俺にしか出来ない事をやらざるを得ないらしい」
 何だかんだで長い付き合いだ、何も問い返す事無く国木田は「……判ったよ、うん、キョンは心配しなくて良いから」と短く返してくれた。
「済まんな、この借りは後日返すぜ」
 心からの謝意を述べつつ、俺は団長様を探し出すため、そして、その願望暴走を止めるべく、一気に走り出したのだった。

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  1. 2016/07/17(日) 23:27:56|
  2.  うんうん、笑顔って重要だよね!!
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
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