女神様の絵本箱

「涼宮ハルヒの憂鬱」の二次創作小説ブログです♪ 基本甘々ハルキョンキョンハルメインです(^▽^)/ 先ずはSSリストよりどうぞなのです

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みくるちゃん In らぶりーらびっと!!:起(キョン君視点)

みくるちゃん In らぶりーらびっと!!


・コメント:

 こちらが企画ブログ投稿作になりまーす☆ヽ(▽⌒*)


*****


「続きを読む」からは ……

 キョン君視点①:
【認めたくは無いものだな、己自身の、若さ故の過ちと言うものを:起】


……になりまーす(^▽^)/



*****

 秋が日々深まっていく中、文化祭をどうにか無事に終わらせ、ホッと一息吐けたと思ったのも束の間、何の因果か、俺は何やら希代な騒動に巻き込まれちまう羽目になったのだが……それは学祭の余韻が収束に向かい、校内が落ち着きを取り戻していく最中に発生してくれた。

 そう、まるで何処かの誰かが、
「文化祭が終わっちゃって、ホント詰まらないわっ。世の中はもっと面白くないといけないんだからね!!」
とでも望んだかの様に。

*****

 一応説明しておくとだ、今回の文化祭は———前回の如く世界の物理法則が引っくり返りそうになる事も無く———至って普通の学祭であった。
 まぁ、奇妙奇天烈な事態に頻発された暁には、俺の柔な精神が持たん訳だが、それはさて置き、文化祭が終了した後、俺が何時も通りの平穏無事な日常を満喫している傍らで、お祭り大好き&平々凡々嫌いな事に掛けては頑迷固陋極まりない我らが団長様は、これでもかと暇を持て余している風情だった。
 それを俺達にアピールする心算なのか、団活の最中に深々と溜息を吐きつつ、
「あーん、ホンッットに、暇ねぇ……」
とハルヒは団長席で不満気に呟きながら、———アンニュイな雰囲気も何のその———「よいしょ」と言う元気な掛け声と共に、胡坐を豪快に掻き直した。
 セーラー服の女子高生が校内で人目を気にせず胡坐を掻く……風聞によると女子高では良くある風景らしいが、いやいや、此処は曲がりなりにも共学でな、うむ、コイツには恥じらいと言うか、女の子的何かが欠落しているに違いない。
 スカートにも係わらず、公共の場で豪傑の如く足を組むハルヒを横目で観察しながら、俺は内心で「恥らうハルヒ? そんなん有り得ないだろ?」と1人納得しつつ、口に出しては、
「文化祭も無事終わった事だし、いいじゃねぇか、“全て世は事も無し”で」
と髀肉之嘆を託つ団長様を慰めていた。
 発言の趣旨としては……5割が本音であり、残りの成分構成は「変な事を思い付くなよ」と言う懇願である。
 しかし、そんな一般人の心からの希求を、ハルヒさんはあっさりと一蹴。
「文化祭は文化祭、団活は団活でしょ? どーしてこんな当たり前の事が理解出来ないのかしら」「しかしだな、普段の団活ってのは、大抵こんな感じだと思うんだが?」
 俺は反論しつつ、長机の上に作られている山札からカードを一枚引く。
 ドンピシャでカンチャンが埋まった。
「おっと、揃っちまったか」
 引いてきたカードを手札に入れるや否や、俺は捨て札を裏返しに捨て山に置いた。そして、コンボを決めるが如く次々と手札をオープンしていき、対面に座る副団長殿に「悪いな、古泉、ジンだ」と告げる。
 この時、俺と古泉が興じていたのは“ジンラミー”であり、カード(日本的表現を借りればトランプだ)に於いて、これ程タイマン向けのゲームがあろうか? 更にだ、古来から伝わるSOS団の伝統に則り、罰ゲームとして敗者は勝者にコーヒーを奢る事になっている訳で、少ない財布の中身をこれ以上減らす事罷りならん……となりゃ、めがっさ気合が入ろうと言うものだ。
「流石ですね、そんな薄い所を引かれるとは」
 あっさりと手札を空にした俺に対し、古泉は笑顔のまま両手を上げ、降参の意思表示。
 そして、自らの手札を長机に晒しつつ、3枚のカードを指でなぞった。
 確認すると、確かに俺が引いた1枚以外は古泉の手札の中に暗刻となって固まっていやがり、よくもまぁ、1発で引いたもんだな。
 何やらツキが廻ってきた的予感に包み込まれた俺は、それに促されたらしく、シャッフルを古泉に任せ、ハルヒへと顔を向けつつ話題を蒸し返す。
「まぁ、何だ……」
「何よ?」
「俺と古泉がこうやってゲームに熱中し、窓際では長門が読書に没頭……」
と言いながら、指定席で膝の上に広げている分厚い洋書を貪る様に読み耽っている長門を指し示す。
 それに釣られてハルヒが同じ方向を見たのを確認してから、「……んで、朝比奈さんが給仕に集中してて」と、ガスコンロの前で真剣な表情を浮かべ、薬缶から吹き出る湯気を凝視しているメイド姿の朝比奈さんを振り返る俺。
 そして、見た訳ではないが、ハルヒも朝比奈さんに視線を投げ掛けていると確信しながら言葉を続けた。
「お前が団長席に座り、何かを企画し……」
「…………」
「……って言うのが、普遍的SOS団的スタイルだろ?」
 強ち間違った事を言った訳でもない筈なんだが、どうやら、それは団長様のお気に召さなかったらしい、何故かハルヒはプン剥れてソッポを向いた。
「普遍的とか、何時も通りとか、そーゆーのが詰まらないって言ってるの!!」
「……あのな。年がら年中、騒動に巻き込まれてみろ、大変なんだぞ、色々とな」
と自らの実体験を振り返り重々しく頷いていると、ハルヒは何やら怪訝そうな表情で以って「何よ、大変な事って?」と聞き返し、しかし、俺がその回答を口にする直前、団長様は眉を顰めつつ更なる質問を投げ掛けてきた。
「それに……何だかその言い方だとさ、キョンはそーゆー事に四六時中巻き込まれてるみたいじゃない?」
 不審気な団長様にジト目で睨み付けられ、俺は即座に話題を暈しに掛かったんだが、まぁ、その理由に付いては、説明の必要はあるまい? 
「んな訳あるか。俺が言いたいのはな、物事にはメリハリが必要不可欠だって事だ。こんな風にノンビリした時間があるからこそ、イザ事件って時にはだ、そのインパクトが弥増すんだぜ?」
「…………。ふんだ、バカキョンに、言われなくても判ってるわよ」
 小さな声で呟いたハルヒではあるが、俺の言い分にも納得出来る要素でもあったのか、文句も言わず大人しくパソコンの電源を入れた。
 どうやら、暇潰しにネットサーフィンでもする心算らしい。
 ハルヒの表情を窺い、騒動の種を完璧に消去したと確信しつつ、俺は溜息と共に古泉へと向き直った。
 副団長は笑みを深くしながら、微かな声で「流石ですね」と賞賛したらしいが、俺はそれを無視して、何時の間にやら配られていたカードを拾い上げる。
 そして、カード内容を確認するや否や、グルッと部室内を静かに見渡しつつ俺は満足気に頷き、人知れず心の中で呟いた。
 そうさ、俺は、団活を、普段と何等変わらない団活を満喫したいのさ。
 何せ……これこそが、この世界が平穏無事である事の証なんだからな。

*****

 しかし、そんな平和極まりない日常が変化を来したのは、それから暫く後の事であり、勿論、我らが団長様がその元凶である。
 その時俺と古泉は雑談を交わしつつジンラミーを続けていた。
 何だかんだ言いながらも、俺がコーヒー2杯分の権利をゲットした直後、ハルヒの感極まった様な「かっわいー!!」と言う絶叫が響き渡り、反射的に振り返った団員達が発見したのは、恍惚とした表情を浮かべる団長様だった。
 画面に視線を釘付けさせているハルヒの様子に興味を惹かれ、俺が質問を飛ばそうと口を開く直前、団長様は朝比奈さんを手招き。
「みくるちゃんみくるちゃん!! ちょっとコッチ来てっ」
「は、はーい」
と可愛らしい声で返事を返し、素直な朝比奈さんは怪訝そうな表情を浮かべながらも、トテトテと団長席に近付く。
 そして、「これ見て!!」と言いつつ、少しだけ身体をずらしたハルヒの横から、ヒョッコリとディスプレイを覗き込み、朝比奈さんも「うわぁ」と言う感嘆の声を上げた。
 2人の反応に困惑しながら、「ど、どうしたんです、朝比奈さん?」と尋ねる俺。
 朝比奈さんはウットリとした表情を浮かべたまま、ホワホワとした口調で以って返事を返してくれる。
「兎さんです、ふわぁ、モコモコしてて可愛いですぅ」

*****

 そして、ハルヒの新たなる呼び掛けに応じた長門を始め、お呼ばれしていない俺や古泉すらも団長席の周りに群がり、結局、SOS団総出で画面を覗き込むと言う何やらシュールな図柄が展開される。
 そのディスプレイ上では動画が上映されていて、どうやら其処は、猫カフェならぬ兎カフェの店内を写したものらしい。
 店内の至る所を我が物顔で所狭しと兎がチョコチョコと動き回る様は、うむ、男である俺でも微笑ましいと感じちまう代物であり、況してや、可愛いモノ好きな女の子にとっては、より強烈な影響を与えるで有ろう事は想像に難くない。
 実際にハルヒや朝比奈さんは浮かれ騒いでキャピキャピと感想を言い合い、無表情魔人長門ですら微妙に笑みを浮かべているっぽい。
「ああんっ、この動画をもっと早く見付けてれば、文化祭の出し物、こーゆー感じのカフェにしたのに!!」
「あぁ、それ、いいですねぇ。兎さん、可愛いですもんねぇ……」
 ポワポワした雰囲気の2人を横目に、俺は古泉に話し掛ける。
「しかし、兎カフェなんつぅ店がこの世にはあるんだな……初めて聞いたぞ、俺は」
「そうですね、猫カフェは既に市民権を得たと言っても過言ではないですから、耳目を集める手段としては中々良い着眼点では?」
「やれやれ……全く、この手の事を始めさせたら日本人は無敵だな」
と些か呆れ返っていた俺を、行き成りハルヒがヒョイと振り返った。
「へぇ、キョンも“萌え”がやっとこ理解出来るようになったのね?」
「???……そうなのか、この感覚が“萌え”ってヤツなのか?」
「そうよ、その感覚が“萌え”なの!! あんただって、みくるちゃんに“萌える”でしょ?」
「まぁ、何だ、“萌える”と言うか何と言うか、いやいやその前に……朝比奈さんと兎を同格に語るな」
 「朝比奈さんは畏れ多くも天使だからな」と言う厳然たる事実を言外に匂わせると、ハルヒさんは何をどう解釈したのか、突然腕組みをして「うーん」と唸り始めた。
 眉を寄せ目を閉じ、何かを考え込んでいるらしい。
 豪く深刻なその様子に俺達が顔を見合わせていると、ハルヒはポツリと呟いた。

「ねぇ? ……みくるちゃんと兎ってば、どっちが“萌える”のかしら?」

*****

 団長様の独り言に対し、誰もが反応を返さない……いや、返せない中、しかし、ハルヒは何時もの如く空気を読まずに自らの世界に入り込む。
「これは……中々に難しい問題だわ」
等と1人頷きつつブツブツと呟くハルヒに対し、俺は確認の意味を込め、一句一句をしっかりと区切りながら問い掛けた。
 「聞き間違いだよな?」と言う願いを込めて。

「……済まん、朝比奈さんが? 兎が? 何だって?」

 しかし、ハルヒさんは俺のささやかな願いを粉砕する勢いで返答を寄越す。
「だーかーら、みくるちゃんと兎は、どっちがより“萌える”のか……って聞いたの!!」
「…………」

 聞き間違いじゃないのかよ……。

 先程の深刻な様子とその余りに下らない質問とのギャップに、俺が強烈な脱力感を覚えていると、———天啓を閃かせたアルキメデスの如く———ハルヒはキラキラと目を輝かせエンジン全開状態で鼻息が荒い。
 いいから、ちょろんと落ち着いてくれ。
「これはっ、人類にとっても、相当重要な真理じゃないかしら、ね? キョン!?」
「……いや、どっちでもいいだろ?」
「良くは無いわよ!! これを解明したら、うん、ノーベル賞でも受賞出来ちゃうんじゃないかしら!? 少なくとも国民栄誉賞は確実ねっ」
 団長席に座っているハルヒは、大袈裟な身振りを交えてそれらしく主張するんだが、俺の見立てでは“イイ暇潰しを考えた”的反応以上には見えない。

 僅かな時間すら大人しくしていられんのか、コイツは……。

 呆れ返った俺の反応が弱いのを察知し———何時もの如く同調者を増やす戦法に切り替えたらしい———ハルヒは即座に副団長へと話を振った。
「どうかしら、古泉君!? この考えは!?」
「流石は涼宮さんです。大変素晴らしいかと」
「おい、古……」
「あはっ。それじゃ、うん、善は急げよねっ」
 イエスマンの笑顔に促されたハルヒは、———俺の発言を遮るが如く———勢い良く立ち上がり、ググッと握り拳を胸の前で作りやがる。
 先程までのメランコリックな様子をリセットし、一気に元気なった団長様を前に、俺は溜息を吐きつつ、———このパターン化しつつある流れ、それが大抵は大騒動に直結していると言う経験を踏まえ———いともあっさりと同意しやがった古泉を睨み付けていると、その辺の雰囲気を無視してハルヒは、
「みくるちゃん? 早速実験するわよ?」
とニコニコと嬉しそうに、SOS団のメイドさんに告げる。
 話の流れに付いていけず、キョトンとしていた朝比奈さんは、突如ハルヒに声を掛けられ、ビクッと身体を痙攣させた。
「え? え? ……あ、あのー涼宮さん?」
「んん? 何? みくるちゃん?」
「えと、実験って、何をするんですかぁ?」
「もう、みくるちゃん? しっかりと人の話を聞きなさい」
「済みません……でも、わたし、“萌え”って意味が、よく判らなくて」
 ハルヒの勢いに呑まれたらしくメイド朝比奈さんは恐縮しつつ、許しを請う様に上目遣いで団長様を見上げた。
 その弱々しい視線を轟然と胸を張って受け止めたハルヒさんは、
「それはこれから教えてあげるわ!! ……幸いな事にね、実験に必要な要素は全て部室に揃ってるし」
とか何とか意味不明な事を満面の笑顔を浮かべたまま言い出し、当然の事ながら、それを十全に理解出来た奴は皆無だと思われる。
 しかし、その癖、誰もが疑問を提示しない中、何となく使命感に駆られた俺は嫌々ながら質問を口にした。
 授業で受けた理科だ化学だと言った各種実験シーンを脳裏に思い浮かべつつ。
「済まんがハルヒ? 意味が判らん。実験だと? 何をする心算だ……って言うか、この部屋にある備品で、そんなんに使えそうなのは、ガスコンロ位だぞ?」
 しかし、その当然の問い掛けは……何故だか団長様に多大なる困惑を付与したらしい。
「??? ……ガスコンロ? そんなん何に使うのよ? みくるちゃんを煮ちゃう心算なの、キョンってば」
と言うハルヒの怪訝そうな呟きは、俺をも異次元世界へと引き込んでくれた。
「は? 煮る……だと? 朝比奈さんを?」
 思わず質問に質問を返しつつ、どうやら、ハルヒが考えている“実験”と、己の思い浮かべたソレの間に、月と地球程度の距離が横たわっていそうだと悟った俺は、遅まきながら根本的な事を尋ねる事にした。
「済まんが、実験ってのは一体全体何をする心算なんだ、先ずはそこから教えてくれ」
「だーかーら、みくるちゃんと兎のどっちが“萌える”かしら……って話でしょ!?」
 1+1=2を理解出来ない小学生低学年に呆れ返る担任教師の如き表情を浮かべ、ハルヒは幼子の様にプン剥れるんだが……正直に言おう。さっぱり意味が判らん。
 皆目見当も付かんのだが、しかし、ここでしっかりきっかり把握しておかなければ、将来的に自分自身が確実に困る事になるってのは、畜生、絶対的真理的必然なので……屈辱を飲み込み、俺我慢。
「……済まんな、物分りが悪い雑用で。出来れば噛み砕いて説明してくれると助かるんだが?」
 有りもしない己の非を認めつつ下手に出ると、途端にハルヒの機嫌は復活した。
「もう、仕方が無いわね♪ イイ事? もっと観察力を養いなさい……」
「観察力だと?」
「そう、観察力!! ちょっと注意して見ればさ、直ぐに判るわよ?」
 胸を張るハルヒの言葉に従い、俺が部室を見回していると、しかし、我慢出来なくなったらしい団長様は、あっさりと答えを口にする。
「オッホン……イイ事、キョン? 部室の中で実験に使うと言えば、アレしかないじゃない!!」と嬉しそうに声を発しながら、ハルヒさんは右手を勢い良く振り上げ、部室の片隅をズビシッと指差した。
 朝比奈さんは勿論、俺達全員が釣られてその指先を目で追い、そして、そこにSOS団専属マスコット御用達コスプレ衣装群を見出したんだが……。
「???」
 俺達がその数多の衣装を黙然と眺める中、ハルヒさんは得々と説明を続ける。
「みくるちゃんを実際に兎さんにしちゃいたい所だけど、まぁ、それは次回までの課題として、ゴホン、兎と言えば、うん、バニーに決まってるの!!」
「は?」
 余りの理論の飛躍に意識が付いていけず、思わず口がパカッと開いてしまう俺なんだが、反対に躁状態の団長様の口は素晴らしい速さで動き続けた。
「ふふん……詰まりね、今みくるちゃんはメイド服で、デフォルト状態な訳でしょ?」
 「……え? わたし、メイド服がデフォルトなんですか?」とビックリしている朝比奈さんを余所に、エッヘンハルヒは己の考えている実験とやらを説明していく。
「そんな訳で、先ずはメイド服のまま校内を1周して群衆の反応を見るの」
「え?」
「で、その次はバニースタイルに着替えて歩き回ってさ、皆の様子を観察する訳」
「…………」
「でさ、結果、どっちの方がどれ位盛況だったのかを分析すれば、うん、兎とみくるちゃんのどっちが“萌える存在”か判るって寸法よ……ふふん、どーかしら、キョン?」
「…………」

 いやいや、「ふふん」とか「どーかしら?」とか得意気に聞かれてもなぁ……。
 「あはは、お前は馬鹿か?」としか言いようが無いんだが?

 声を発する事すら出来かねる茫然自失状態で、どうにか心の中で返答していると、その反応をハルヒは何時もの如く自分に都合の良い様に解釈しやがった。
「そこまで感動するなんて……ふふっ、団長の凄さを思い知ったみたいね」
「は? ……いや、あのな?」
「さぁ、みくるちゃん? キョンも納得した事だし、早速実験に行くわよ?」
「ぴっ!? え? え? こ、この格好で……ですかぁ!?」
と可愛らしい悲鳴を上げた朝比奈さんの腕をグワシと掴み、ハルヒ、廊下目掛けてスッタカスッタカ歩き出し、俺大慌て。
「こらこら待て待てちょっと待て!!」
「何よ、うっさいわね」
「あのな……俺は納得もしてないし、その前に理解すらしてないっての」
 決然と宣言しながら俺はハルヒと扉の前に割り込んだ。
 そして、団長に腕を掴まれ涙目状態の朝比奈さんに微笑を向ける。

 安心して下さい、朝比奈さん。
 俺は貴方の盾としてっ、我が侭ハルヒの暴虐をっ、見事防いで見せましょう!!

 我ながら男気溢れる笑顔だったと思う、朝比奈さんも潤んだ瞳で嬉しそうに見詰めてくれた。
 その“あぁ、キョン君って何て頼りになるのかしら”的視線を受け、うむ、俺のヤル気も急上昇。
 しかし、ハルヒはそんな俺の心情なぞに、これっぽっちも注意を払わず顔を顰めやがる。
「折角、イイ暇潰……ゴホン、素晴らしい実験を思い付いたのに、邪魔する心算なの?」
「……お前、今、暇潰しとか言い掛けなかったか?」
「そ、そんな訳無いでしょ!? い、言い掛かりだわ。冤罪よっ。変な事言うと謝罪と賠償を要求しちゃうんだからね!!」
 慌て気味に喚く団長様を呆れ顔で見詰め、「そうか? 俺は確かに……」と言い掛けた俺を遮り、ハルヒは「オッホン!!」と偉そうな咳を1回。
「いい事、キョン? あたしは純粋に“萌え”を追及すべく……」
「嘘を吐け。どうせ、朝比奈さんにコスプレさせる格好の口実を思い付いたとか、そんな不純な動機なんだろ?」
 珍しく俺が正面切ってズバリと切り込むと、団長様は「グッ」と言葉に詰まり……しかし、その直後、“負けてなるモンですか”的キツイ視線で俺を射抜きつつ、大技でカウンターを喰らわせてくれた。

「じゃ、じゃあ、キョンはみくるちゃんのバニー姿……見たくは無いの!? 見たいでしょ? 見たい筈よねっ? いいえ、絶対に見たいに決まってるわ!!」

 人の欲望を決め付けつつ言葉鋭く絶叫すると、人の鼻面にズビシと指を突き付けやがり、畜生、今度は俺が言葉に詰まる番だった。
 何せ、「朝比奈さん」と言う単語と「バニー」と言う単語が組み合わさった瞬間、あの魅惑的バニー姿が脳裏で再生されたからだ。
 モワンモワンと浮かんでは消える人様に説明出来かねる桃色に染まった映像の数々。

 いかん、又、色々と持て余しそうだぜ……。

 俺は思わず若き情熱に身を委ねちまう所だったんだが、ハッと我に返りチラリと朝比奈さんの様子を伺うと、「信じられません……」「うそ……キョン君が?」と言いた気な感じの呆然状態で、ヤバイッ、このままだと俺は朝比奈さんを厭らしい目で見た男として軽蔑対象になっちまう!
 それはどれだけ楽観的に考えても、今後のSOS団的活動に支障をきたす事請け合いで、俺は朝比奈さんに向き直るや否や、弁明を開始していた。
「ちっ、違うんですよ!! 朝比奈さんっ、俺は決して……」
「……キョ、キョン君」
と怯えた様に口許を片手で隠しながら———俺の視線から逃れるためか———朝比奈さんはスッと顔を背け、その仕草が俺の必死さを爆上げさせてくれる。
「本当です、朝比奈さん!! 俺は決してコスプレマニアじゃないですしっ……朝比奈さんは俺にとって天使ですし、そんな厭らしい目で見た事は1度も……」
 朝比奈さんは俺の真摯な訴えに心動かされたのか、上目遣いに俺を伺いながら、「キョ、キョン君……」と小さく呟く。
 その瞳は、将に「わたし、信じていいの?」と縋る様な光に満ち溢れ、俺が勢い込んで「勿論です!!」と頷く直前、
「みくるちゃんっ、キョンの言う事、信じちゃ駄目よ!!」
とその状況を快く思わない人物の横槍が入った。
「え?」
「ちょっ、ハルヒ、おま……何を……」
 俺と朝比奈さんの驚愕した声が重なる中、
「以前バニーになったみくるちゃんをキョンが止めなかったのは何故?」
「昔、みくるちゃんのコスプレについてキョンに相談した事があるの。その時のキョンの嬉しそうな顔ったら……」
等々、俺が無視しておきたい事実を得々とばらすハルヒ。
 そして、そこは異性と同性の差なのか、朝比奈さんは何故か団長様を信用する事にしたらしく、その美貌が嫌悪感に歪む。

 いやいや、朝比奈さん? 
 ……ハルヒを信用するって事は、メイド服のまま校内パレードになるんですよ? 
 更に言えば、ぶっちゃけバニー確定ですけど、いいんですか?

 何やら警察官よりも誘拐犯を信用しようとする小学生低学年を説得する気分を味わいつつも、しかし、ここで引く事は俺の培ってきたイメージの失墜と同義であり———当然、看過出来る事では無く———俺はハルヒに朝比奈さん拉致を諦めさせるべく奮闘する事にした。
 上記の理由により俺が意地になるのは当然なんだが、完全無欠に俺が朝比奈さんの味方になったと悟った瞬間、ハルヒさんも意地になったらしい。
 やれやれ、ならなくてもいいのに……。
「ホンッッット、み・く・る・ちゃんがっ、絡むと意地になるわね、あんたは!!」
「当たり前だ、朝比奈さんは俺にとって天使なんだからな」
「むっ。……ふーん、いいわよぉ? そこまで言うなら、あたしも引かないんだからっ」
「やれやれ。だからな、何で、そこで意固地になるんだ、お前は」
「いいから、其処を退きなさい!!」
「断固として拒否するっ」

 何が何でもメイドさん校内引き廻しを実行すると言う傍迷惑な決意を固めた団長様と、それを断固として阻止しようとする雑用の不毛な争い。

 渦中の朝比奈さんは俺とハルヒに挟まれ、オロオロするばかりで———いや、それはそれで可愛いんだが———何の役にも立たず、副団長は副団長で「夫婦漫才を独占鑑賞……恵まれてますね、僕は」と言いた気な笑みを浮かべ、ゆったりとパイプ椅子に座ってるだけだし、古泉、お前、後で校舎裏に来い、この野郎……。

 と言う訳で、この騒動を仲裁する第三者機関は存在せず、ん? 長門は……だと? 
 はっはっは、多分、お前らの想像通りだと思うが……、俺とハルヒが言い争いを始めるや否や、文芸部部長様は我関せずと読書を再開されてて、“本に集中する宇宙人っ娘”と題される彫像の如く、身動ぎ1つしないんでな、当てにする方がお門違いだろ?

 だが、そんな俺の失礼な感想を聞き付けた訳でもないとは思うんだが、俺とハルヒの朝比奈さんを巡る実り無い綱引きを終了させる切っ掛けを与えてくれたのは、何を隠そう、文芸部部長が本を閉じるパタンと言う音であり、それが本日の団活終了の合図だと理解しているハルヒはアヒル口の保持したまま、「……あたしっ、帰る!!」と言い捨てて部室を後にしてくれた訳で、済まんな、長門……助かったぜ。

 だが、結論から先に記せばだ、これでこの騒動は終わった訳ではなかった。

 そう……SOS団団長殿が———雑用の抗議程度で———己が遣ると決めた事を諦める筈も無く、はっはっは、実は去年の様に、朝比奈さんが拉致られるのを座視していた方がだ、遥かにダメージが少なかったと言う事実に直面し、俺は涙する事になるんだが……未来人でもないんだ、それに気が付けってのも無理な注文だとは思わないか?


  【認めたくは無いものだな、己自身の、若さ故の過ちと言うものを(承の巻)】 …… に続きます。
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  1. 2000/01/01(土) 00:00:00|
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