女神様の絵本箱

「涼宮ハルヒの憂鬱」の二次創作小説ブログです♪ 基本甘々ハルキョンキョンハルメインです(^▽^)/ 先ずはSSリストよりどうぞなのです

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女神様と卓上遊戯②(導入部)

女神様と卓上遊戯


「続きを読む」からは ……

 導入部②:【本家本元のRPGって言うのはだな……(後編)】

……になりまーす(^▽^)/


*****

 ハルヒの「愉しむ為?」って疑問系の呟きに反応し、古泉はニコヤカに言葉を続ける。

「えぇ、愉しむためです。僕はTRPGをゴッコ遊びと言いましたが……追加しますと、我々は1つの物語を共同で作り上げて行く仲間でもあると言えるでしょう。ですので、僕は先程映画作りに似ていると説明したのです」
ってな事をサラリと言ってのけた古泉は、更に説明を加えるため立ち上がりホワイトボードへと歩み寄った。

 成る程、会話だけではなく視覚にも訴え掛けようって魂胆だな。

「一般的なTRPGに措いては……皆さんは“ゲームプレイヤー:GP”と呼ばれ、僕は“ゲームマスター:GM”と呼称されます。それを映画作成に当て嵌めますとこうなります」

 ホワイトボードに、どう贔屓目に見ても達筆とは言い難い字体が書かれていく。

 ☆プレイヤー   = 俳優(主演男優・主演女優)&観客。
 ☆ゲームマスター = 俳優以外全て。

 皆の視線がホワイトボードに突き刺さり、暫し無言の時間が過ぎる。
 そして、それを破ったのは1つの質問だった。
「あ、あのー、は、俳優さん以外全てってどういう意味でしょう?」
 オズオズと手を挙げ質問するのは朝比奈さんだ。この手の事にはしり込みする朝比奈さんにしては珍しい。
 古泉もどうやら同じ思いだったらしく、驚きを隠そうとはせず、しかし、嬉しそうに返答を返す。
「はい。具体的に言いますと……監督・演出・脚本・音響・大道具・小道具・主演俳優以外の出演者等々になります」
「えぇ!! そ、そんなに沢山こなせるんですかぁ?」
とビックリお目々状態の朝比奈さんを柔らかい瞳で見詰め、古泉は気負う事無く「慣れれば結構楽しいものです」と笑顔で述べた。
 そこに「先生、質問」ってな感じで勢い良く手を挙げ、ハルヒが追加で尋ねる。
「GMって言うのは、まぁ、古泉君に任せるとして……ねぇ、古泉君? プレイヤーの欄に書いてある観客って何?」
「流石は涼宮さんです。早速そこに着目されるとは……」
 これまた嬉しそうに古泉がハルヒを褒め、自分の席へとゆっくり戻って行く。
「それに関しましても、実際に体験された方が判り易いかと思いますので……そうですね、朝比奈さん? お願い出来ますか?」
「…………。えぇ!? わ、わたしですかぁ!?」
 ニコリと微笑む古泉に突然話を振られ、朝比奈さんは同情したくなる位大慌て。
 そんな朝比奈さんに俺は「難しい事はありませんよ、朝比奈さん」と優しく諭す。
「俺も最初は戸惑いましたが、まぁ、何とかなりますから」
「キョ、キョン君……」
 むぅ、そんな雨に濡れ切った子犬が救いを求める様な視線を送られると、俺の中の義侠心が疼くじゃないですか。
「古泉、あんまり難しいシチュエーションじゃなくだな……」
「確かにそうですね……」
 古泉は暫し考え込んだ後、例の似非新興宗教教祖スマイルを浮かべ朝比奈さんに告げた。
「これはゲームの中の話です。それを前提にですね、僕が説明する状況を想像して、自分ならどういう行動を取るのか……若しくはこう言う行動を取りたいと、僕に告げて下さるだけで構いませんので」
「は、はいぃぃ……が、頑張りますぅ」
 現時点で涙目状態の朝比奈さんだが、健気にも何とか頑張ろうと言う気合も感じられる。

 流石は努力家の朝比奈さんだ。
 ハルヒとは別の意味で全力で事に当たる人だからなぁ。

としみじみと感心していると、古泉が何やら設定を考え付いたらしい。
 優しく微笑み教師めいた雰囲気を漂わせ古泉は、ソレを朝比奈さんに解説していく。
「今回の状況としては、殆ど現実世界と同じと考えて頂いて構いません。ゲームの中の朝比奈さんも北高の生徒で、SOS団に所属しています」
「は、はい……」
「只ですね、我々SOS団は……実は正義の味方でして、学園の平和を守るために、日夜身を盾に悪と戦ってるのです」
「えぇ!! そ、そうなんですか!? し、知りませんでした……」
 ビックリしている朝比奈さんを尻目に、ハルヒが興味津々に俺に囁く。

 爛々と輝く瞳が眩し過ぎだっての……。

「あら、そーゆーのもいいわね? ……キョン、実際にやらない?」
「…………」

 どうしてゲーム内の話を、現実の俺達に当て嵌めようとするんだ、お前は?

 「勘弁してくれよ」と本気で思いながら、出来るだけハルヒを刺激しない様にと素っ気無く返事をする俺。
「俺はこれ以上内申点を下げられたくないからな、パスその1だ」
「ホントにヘタレねぇ。大学なんて行かなくても、正義の味方からオファーがあるかもしれないじゃない、ヘタレキョン」
「俺は、稀有壮大な夢よりも堅実な現実を選ぶのさ」
 只でさえ奇妙奇天烈な環境にいるんだ、これ以上の追加コンテンツは勘弁願いたい……と切実に願い「ほら、話が進んでるっぽいぞ」とハルヒを突付いて、古泉へと意識を移させる。
「それで……本日、朝比奈さんは団長である涼宮さんから、生徒会の調査を命じられたのです。裏で何やら悪事をしているに違いないと」
「ふぇぇぇ、た、大変な役目ですぅ……」
「むっ、流石は古泉君!! ふっふっふ、あたしも前から連中は悪の手下だと思ってたところなのよ。みくるちゃん、しっかりきっかりしゃぶり尽くす様に調べ倒して、連中の悪事を白日の下に晒すのよ!!」

 だからな、ハルヒ? それは古泉の即興設定であって……あー、まぁ、いいか、お前も楽しそうだしな。

 ニンマリ笑うハルヒの楽しげな雰囲気に当てられたのか、俺はそれ以上の追及を放棄し、古泉の台詞へと意識を集中させた。

 要らん事を口にして、火に油を注ぐ様な真似だけはしたくないからな……。

 その古泉の設定では、朝比奈さんは首尾良く無人の生徒会室へと潜入出来たらしく、今、朝比奈さんは悪事の証拠となる書類検索に勤しんでいる所と言う事だった。
「そ、それでしたら……わ、わたし、頑張って書類を捜してますぅ」
「うんっ、いいわよ、みくるちゃんっ。それでこそSOS団のメンバーだわ!!」
「……と朝比奈さんが頑張られているところでですね、ちょっとした運試しをお願い出来ますか?」
 突然「運試し」と言われて朝比奈さんはキョトンと古泉を見返す。
 ハルヒも何事かと息を飲んで、古泉の次の言葉を待ち受ける。
 そんな問い掛ける様な視線をヤンワリと受け止めつつ、古泉は説明する。
「TRPGではですね、キャラクターが何らかの行動を行い、それに対しGMが成否判定が必要であると考えた場合、大抵は行為判定と言われるモノを行います」
「???」
 古泉の説明を聞いても、朝比奈さんのキョトンとした表情に変化は起きなかった。
「現実世界を例にとってもですね……我々が行動したとして必ずしも成功するとは限りませんよね? 例えば……」

・人に頼み事を試みたが、それが上手く行くかどうか?
・発車間際の電車に首尾良く飛び乗れる事が出来たのか?
・テストで上手く英文を作れたのか?
・徒競走でライバルに勝つ事が出来たのか?

 古泉の上げた幾つかの例を聞き、ハルヒも朝比奈さんも納得したと言わんばかりの笑顔を見せた。
 その笑顔を嬉しそうに眺め古泉は続ける。
「この様な能動的行動以外にもですね……欲しい本が書店に置いてあるかどうか? と言った本当の意味での運試しをする事もあります」
「成る程……だから、ランダム要素って話になるのね?」
「えぇ、そこでですね、一般的なTRPGでは、このような各種ダイスを用います」
と古泉は巾着袋の中から更に小さな巾着袋を取り出し、そして、その中身を長机の上にザララと広げた。
 それは色んな種類のプラスチック製サイコロだった。
 色も象牙色やクリスタル系、更にはドキツイ原色を使ってあるモノと様々で、それ以上に圧巻だったのが……その種類の豊富さだ。
 一般的に知られている6面体ダイスだけではなく、4面体や8面体に10面体、果ては20面体なんつう物まである。
 ハルヒや朝比奈さんが、それらを1つ1つ手に取り歓声を上げていく。

「ふわぁぁ……キラキラしてて可愛いですぅ」
「すっごーい。綺麗だわっ、それに変な形!!」

 ふと気が付くと、長門ですらワインレッドの20面体ダイスを指で摘みジッと見詰めていたりする。
 まぁ、確かに綺麗だし物珍しいもんな、こいつら。
 俺も初めて見た時に興味津々だった事を覚えているので、偉そうな事を言えた義理ではないしさ。

「で、古泉君!! これ、全部使うの?」
「いえ、最近の物ですと……この10面体ダイスを用いるスタイルが主流ですね」

と古泉は黒地に白抜き数字の書かれているシンプルな10面体ダイスを手に取り、それを朝比奈さんに手渡した。

「では、朝比奈さん? 確認ですが、貴方は現在無人の生徒会室で秘密裏に書類を探しています……」
「は、はい……見付けるまで頑張りますぅ」
「えぇ、了解です。それではですね、一生懸命書類を捜している朝比奈さんが、廊下の音を聞き取れるか判定をしてみましょう」
「え、あ、はい。……えぇ!? 音ですかぁ!? も、若しかして誰か来たんじゃ……」

 オッカナビックリ状態の朝比奈さんに、ニコリと微笑み掛け古泉は告げた。
「それでは、その10面体を振ってみて下さい。1~5が出たら音を聞き取れ、6~10なら聞き取れなかった事にしましょう」
「は、はい……えーい!!」
 朝比奈さんは目を瞑り手にしたダイスをコロコロと転がした。
 全員の視線が回転する黒いダイスに集中する。
 コロコロ……ピタッ。
 ダイスが停止した。
 0を上に向けて。

 0=10。

「あら、流石はみくるちゃんっ、最大値を出すなんて!!」
「いやな、ハルヒ? さっきの古泉の説明を思い出せ……5以下が成功だ」
「そうですね。残念ですが、朝比奈さんは外で発生している音を聞き取れませんでした」
 古泉が両手を広げ、然も残念そうに首を振る。
 相変わらず胡散臭い動作なんだが、失敗したと言われて動揺している朝比奈さんは勿論、傍で見ているハルヒもそれに気が付いた様子は無い。
「も、若し誰か来てたら、ど、どうしよう? どうしましょう、涼宮さぁん……」
「み、みくるちゃんっ、あのいけ好かない会長とかだったら……捕まって国外に売り飛ばされちゃうかもっ。早く逃げなさい!!」
「えぇ!? わたし……売られちゃうんですかぁ!? 嫌ですぅぅ。わ、わたし、に、逃げますね!!」
 アタフタしている朝比奈さんをジッと見詰めながら、「残念ですが、それは許可出来ません」と古泉は淡々と告げた。
 部室内に朝比奈さんとハルヒの悲鳴が響く。
 ハルヒ何ざ古泉に喰ってかかろうかって勢いだ。
「古泉君!! みくるちゃんを苛めるなんて罰金物の大罪だわっ。しっかりと納得出来る説明聞かせて貰えるんでしょうね!?」
「まぁまぁ、ちょっと落ち着け、ハルヒ? 古泉が何か言いたそうだぞ?」
 古泉は激昂しかかっているハルヒを前に怯む事無く頷いた。
「えぇ、理由はですね……“ゲームの中の”朝比奈さんと、此処にいらっしゃる“現実の”朝比奈さんは別の人物であると言う事です」
「……え? 別の人物?」
 ハルヒが呆気に取られた表情で鸚鵡返ししたんだが、それが俺の時と同様の反応で、ちょびっと嬉しかったりしたのは内緒だぜ?
「はい。幾多の映画がありますが……例えば、登場人物の背後から怪しげな人影が近寄っているのにその人が気が付かない。と言う演出は多いですよね? それと同じです」
 ハルヒは難しい顔をして「うーん、13日の金曜●とかそーゆーのかしら?」と呟いている。
 俺が「そうだ」と肯定してやると、ハルヒは何やら納得したようなしてないような微妙な表情を浮かべた。
「ですので、銀幕内の“主演女優である朝比奈さん”は物音に気が付かず、映画館で鑑賞している“観客である朝比奈さん”はそれを知っていると言う状況ですね」
「…………」
「勿論、涼宮さんや他のプレイヤーも、観客としてそれを見ていると言っても過言ではありません」
 そして、古泉は「続けますね」と宣言して状況説明を再開した。
 顔を朝比奈さんへと向け口を開く。
 そして、態とだと思うが……淡々とした口調、且つ無表情のままで状況説明。

「朝比奈さんが必死に書類を探しているその時、廊下をペタリペタリと歩く人影が……」
「あうあう……こ、怖いですぅ。わ、わたし、ど、どうすれば?」

 怯えオロオロしている朝比奈さんに、ハルヒが何やらアドバイスしようとするのを、俺は「まぁ、待てって」と視線で押し留めた。
 ハルヒも「何で邪魔するのよ、あんた?」と睨み付ける。

「俺達は観客なんだぜ?」
「そ、それがどーしたのよ? 団員の危機を黙って見過ごせって言うのあんたは!?」
「今のお前の行動は……映画館のスクリーンに向かって、危ないって喚いてるのと同じなんじゃないのか?」
「ぐっ……」

とまぁ、珍しく俺がハルヒを遣り込めている貴重な場面を余所に、古泉の説明は続いていく。

「その人影はゆっくりと生徒会室に近寄り、静かにドアノブを握りました」

 部室内が静まり返り、響くのは態と淡々と説明する古泉の声だけだ。
 朝比奈さんは勿論、ハルヒや長門もジッと古泉を見詰め声を潜めて説明に聞き入っていた。

「音を響かせずにゆっくり静かにドアノブが捻られ、そっとドアが開いていきます。そして……」

 古泉は無表情のまま朝比奈さんを見詰める。
 その視線を受けて今にも卒倒しそうな表情を浮かべ、朝比奈さんはドギマギしていた。
 暫し、古泉が押し黙る。
 痛い位の静寂が周囲を支配。
 そして次の瞬間、古泉がニコリと笑った。

「……どうでしょうか? 皆さん、観客として楽しんで頂けましたか? これが演じつつ観ると言うTRPG特有の楽しみ方です」

 朝比奈さんが大きく息を吐き緊張を解いた。
 ハルヒもホッとしたらしく、椅子に腰掛け直す。
 そして、如何にも感心しましたと言わんばかりに古泉に感想を述べた。

「すっごく、ドキドキしちゃったわ。みくるちゃん大ピンチ!!って感じで……で、古泉君、一体誰だったの? 生徒会室に来たのはさ?」
「いえ、深くは考えていませんでした。先生であるかもしれませんし、生徒会の役員だったのかもしれません」

 古泉は悪びれる事無くあっさりと内情を白状した。
 「即興で考えた事ですのでお許しを」と謝罪する事も忘れないのは流石である。
「で、でもぉ……キョン君? 今みたいになったら、同じ行動を続けないといけないんですかぁ?」
 恐る恐る朝比奈さんが俺に質問を投げ掛ける。
 「あぁ、俺もそんな疑問を感じて古泉に質問したなぁ」と懐かしく感じつつ、俺はマイエンジェルに教わった事を教えて差し上げる。
「いえ、そこはプレイヤーの自由で構わないそうですよ、朝比奈さん」
「???」
「さっきの状況なら“知らん振りをしつつ書類を捜す”か、“あぁ、此処には何も無さそうだから、別の場所を探そうと移動する”とか……でいいんだよな? 古泉?」
「えぇ、構いません。そこはプレイヤーの考え1つです。プレイヤーは演技者だから他人を楽しませようと考える人もいらっしゃいますし、シナリオの流れを読んで行動を決める人もいらっしゃいます。言い古された言葉ですが人それぞれですね」
「ふーん、正解はないのね?」
 何やら感心する事頻りのハルヒに、古泉は頷き返答する。
「えぇ、正解はありません、強いて言えば、皆を愉しませるのが正解と言えるでしょう」
「……じゃあさ、正解がないんだったら、他の人がアドバイスとかするのも有りなんじゃないかしら? さっきのみくるちゃんに逃げなさい!!って言うとかさ」
「そうですね、それも人それぞれです。完全に禁止し———先程の朝比奈さんの例でしたら———他のプレイヤーを退席させるマスターもいらっしゃるようですし……」
「ぴぃ……そ、それは困りますぅ」
 古泉の説明を聞き、既に半泣き状態の朝比奈さんだった。
 その表情を見遣り、落ち着かせるためか、ニコリと笑いながら古泉は告げる。
「只、僕の見解を申し上げますと、まぁ、状況にもよりますが、基本的に話し合う事は良い事だと思っています。参加者全員で話を作り上げていく事に必要な過程ではないかと感じていますので」

*****

 そんな古泉の説明をフンフンと聞いていたハルヒが、小首を傾げつつ静かに問い掛ける。
「TRPGは映画作りに似ているって古泉君は言うけどさ……脚本と言うか台本とかはどーするの? それを知らないと、あたし達ってば、行動出来ないわよ?」
 流石は涼宮さんですと言いた気に深々と頷いた古泉は、

「シナリオはありますよ。但し、それを知っているのはGMだけですが」

と微笑みつつ説明をするんだが、ハルヒはその返答を聞き、また難しい顔をした。
 腕組みをしつつ、ウーンと唸ってから一言。

「でも、それじゃ……あたし達がそれの通りに動くのって凄く難しくない? 例えば、そのシナリオ通りに動けなかったらどーするのかしら? ドラク●とかだと話が決まってるでしょ? それから外れる事出来ないじゃない?」
「流石は涼宮さんです。その点もTRPGの面白いところですね」

 そして、古泉は嬉しそうに説明を追加して行く。
 古泉の台詞を纏めると、シナリオで予定されていない事に対応するのは“アドリブ”と言い、GMの楽しみの1つでもあるらしい。

「プレイヤーはシナリオを知らないので、次に何が起こるのかドキドキしながらプレイ出来ます。GMはプレイヤーの予想外の行動に驚きつつも、それに臨機応変に対応するのです。GMの腕の見せ所と言えるでしょう」

 その“アドリブ”の具体例を古泉は1つ上げた。
 実際に古泉が体験した話らしい。

*****

 あるファンタジーRPGシナリオでの事。
 GMは2つの村を用意した。
 この村は互いを嫌っており事ある毎に対立していた。
 そんなある日、とうとう武力衝突寸前まで事態は拗れ、そこにPC達が現れたと言う設定だったそうだ。
 シナリオ設定上では、そのどちらかの村に協力して他方を攻め落とす話だったらしい。
 PCと対敵した村には同レベル&同規模のNPCパーティが協力。さぁ、皆さんどう攻めますか? と言うのが当初の予定だったのだが……。
 PC達は争いは良くないと、互いの村を行き来し代表者を説得した後、スポーツで決着を付ける方向に話を持っていったそうだ。
 想像していなかった解決策にも係わらず、GMも喜んでPC達の導き出した解決案を受け入れたと言う事である。

 そして、その後、その2つの村では争い事が起きる度に、スポーツで決着を付ける様になったそうな、目出度し目出度し……でそのシナリオは完結したそうだ。

*****

 古泉の話が終わると朝比奈さんは「イイ話しですぅ」とポワワンと感動し、ハルヒも「へぇ」と感心していた。
「得てしてTRPGではこの様な事が起こります」
「そーなの?」
「えぇ……何故なら、GMは1人ですが、プレイヤーは複数人ですよね? 色々と相談も出来るとなれば、三人寄らば文殊の知恵と申しますから」
「でも、自分の作った話を無理矢理変更させられちゃったら、面白くないんじゃないかしら?」
 当然と思われるハルヒの指摘に古泉は深く頷く。
「それも人それぞれであると言えますね。上手にプレイヤーを誘導しシナリオに乗せる人も居れば、アドリブを優先する人も居る。どちらがイイのかとは一概には言えません」
とそこで一旦話を切り、お茶を啜ってから古泉はしみじみと話を続けた。

「この様に感覚感性が決め手となる事例には、難しい面も確かにあります」
「え? どーゆー事かしら?」

とハルヒは身を乗り出しつつ古泉に尋ねる。

「例えば、音楽を例にとってみますと……クラシックの好きな人にデスを勧めたとして、受け入れてくれるでしょうか? 他にもメタルにロックにブルース・演歌等々人の嗜好は多種多様です」
「判るかも……絵画や本に漫画・映画もそーよね? あたしが好きでも、他の人にそれが伝わるかと言うとそーでもないし」

 何故かシンミリと呟くハルヒの横顔は少し寂しそうだった。

 ……そうだよな、俺だって谷口や国木田と漫画家や作家の好き嫌いで言い争う事だってあるしな。

 そんな俺達の同意を聞いていたのだろうか、古泉は遠くを見詰め俺達全員にゆったりと語り掛ける。

「将にその通りなんです。……TRPG。気のあった仲間と協力して1つの話を作り上げた瞬間、本当に心地良い感動と興奮を味わえますよ?」
「…………」
「今、自分は此処に居る人達と感覚感性を共有していると言う高揚感……それは趣味を同じくする同好の士との熱い会話を愉しむが如くです。あの一体感は1度味わうと病み付きになる事請け合いですね。だから、僕はTRPGを遣り続けているのかもしれません」

 ニコニコと微笑む古泉の説明を静かに聞いていたハルヒは、何やら我慢出来なくなったらしい。
 バンと机を叩き勇ましく立ち上がる。
 全身からヤル気オーラが滲み出ているのが察知出来た。
 序に瞳も爛々と光り輝き、後光に包まれたかの如く、ハルヒの周囲だけ光度が高いってのは気のせいだろうか?

「判ったわ、古泉君っ。その挑戦、受けてあげるわ!! 是非とも体験させて貰おうじゃないの、その病み付きになるってのをっ」

 ハルヒは挑戦するように古泉にズビシと指を突き付け、ニヤリと挑発する様な笑みを浮かべた。
 古泉も珍しくその視線を正面から受け止め、ニコリと自信満々に微笑む。

「えぇ、喜んで……。皆さんと時と意識と感性を同化する事が出来るとは、将に光栄の極みですからね。それでは、早速ルール説明とキャラクター作成に入りましょうか?」
「掛かって来なさい!! 返り討ちなんだからっ」

 ……いや、返り討ちにして如何する心算だ、お前は?


 【“トーキョーN◎VA”か……(前編)】 …… に続きます。
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