女神様の絵本箱

「涼宮ハルヒの憂鬱」の二次創作小説ブログです♪ 基本甘々ハルキョンキョンハルメインです(^▽^)/ 先ずはSSリストよりどうぞなのです

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女神様と卓上遊戯③(トーキョーN◎VA編)

女神様と卓上遊戯


「続きを読む」からは ……

 トーキョーN◎VA編①:【“トーキョーN◎VA”か……(前編)】

……になりまーす(^▽^)/



*****

“トーキョーN◎VA”は……、

有限会社「ファーイースト・アミューズメント・リサーチ」

の著作物である事をここに明記します。


*****


 本編に入る前にルール解説らしき文章が続きますが、SS本編では、ルールがあーだとか、判定がどーだって事は……殆ど書かない心算ですのでご安心を。

 本編SSの雰囲気と言うかそんな感じのモノを、汲み取って頂きたかったものですから……。
 ですので、最後に一言。

 「これはリプレイではない……敢えて言わせて貰おう!! “ハルキョン&頑張れSOS団”的SSであるとっ」


******

「それでは、今から僕達が愉しむゲームを紹介しましょう……それが、この“トーキョーN◎VA”と言うゲームです」
 
 

 古泉が胡散臭い位に仰々しく、A4サイズのルールブックを指差した。
 先程まで、俺がザッと流し読みをしていた奴だ。
 皆の視線がその本に集中する。
 それを確認したのか、古泉がルールブックを手元に引き寄せ、更なる説明を加えていく。

「簡単に説明しますと、このゲームではダイスは使用しません。その代わりに使用するのが……コレです」

と古泉が巾着袋から取り出したのは一組のカードだった。
 日本風に言えばトランプって奴だな。
 あぁ、古泉曰く……トランプってのは切り札って事だそうだ。

「えぇ!? このダイスって奴、あたしも沢山コロコロ転がしたかったなぁ」
 何故か不満そうに口を尖らせ、ハルヒはダイスを掌の上で転がしていた。
 そのハルヒ特有のアヒル口を、俺はちょっぴり微笑ましく思いつつも、
「まぁ、何だ、今回は我慢しろ。次回には、古泉の奴がそれを転がす奴をやってくれるさ」
と宥めてやると、暫し考え込みハルヒは何やらあっさりと納得してくれた。

 ……怖い位素直だな。何か裏があるんじゃなかろうか?

と疑ったが、そのウキウキしている表情が「違うわよっ、バカキョン!!」と訴えていた。
 解読を試みると、どうやら今から遣るゲームへの期待感で、頭が一杯って事らしい。
 それを感じ取ったのか古泉も平謝り。
「申し訳ありません、涼宮さん。次回必ずダイスを使うゲームをお持ちしますのでご容赦を」
「じゃあ、何時も頑張ってる古泉君に免じて、許してあげるわ」
とハルヒは笑顔で古泉の提案を受け入れ、古泉は次回もGMをする事が確定となった。
 「まぁ、適度に頑張れや古泉」と激励しつつ、内心俺もどんなゲームをコイツが持ってくるのか楽しみになっていた。

 っと、それよりも今やるゲームの方が重要だな。

*****

 そして、古泉はパラパラとルールブックを捲りつつ、
「ゲームキャラクターを作成する前に、簡単に世界背景を説明しますね」
と言い出した。
 何でも特殊な世界で、それを知っていた方がキャラクターが作り易い筈ですとの事だった。
「“トーキョーN◎VA”はですね、我々が生きている現代社会と時間的に繋がりのある近未来の話です」
「へぇ、未来の話なの? ……じゃあ未来人に会えるのね!? どんな未来なのかしら!?」
とハルヒが滅茶苦茶興味津々に身を乗り出し、その直後、反対に朝比奈さんが「ひっ……」っと息を呑んで真っ青になる。

 ……まぁ、未来人とか何とかハルヒが言い出せば、心中穏やかではないだろうなと同情し、迂闊な古泉へ苦言を呈したくなった。

 その内面の感情が視線となって古泉に突き刺さったんだろうと思う。
 古泉がそっと俺⇒朝比奈さん⇒ハルヒと視線を動かし、少々慌て気味の似非スマイルを浮かべて優しく言い繕う。
「あくまで仮定の話ですよ、涼宮さん」
 そこに絶妙なタイミングで長門が「そう。これはフィクション」とフォロー。
 この辺のコンビネーションは、長年寄り添った老夫婦に匹敵する物があるかもしれんと感心する。

 そうだよな……ハルヒの意識を現実へと向けさせる仲間だもんな、俺達は。

 そんな周囲の雰囲気に押される様に、ハルヒはソッポを向きつつ呟く。
 口は何故かアヒル口。
「な、何よ、皆して……そんな事、当たり前じゃないの」
 その呟きと同時、止めとばかりに俺は古泉に話を進めるよう促した。

「で? そのフィクションで仮定且つ想像空想上の未来を扱ったゲームがなんだって?」

 古泉は俺の発言を皮切りに、“トーキョーN◎VA”での世界設定を語り出す。
 それは次の様な話であった。
 

*****

 ……近未来のある日、唐突に未曾有の天変地異が人類へと襲い掛かった。
 誰もが予期せぬ天変地異だった。
 突如、地球が地軸を揺らすポールシフト現象を発生させたのだ。
 天は荒れ狂い、大地は裂け、海は咆哮した。
 人類如きでは到底太刀打ち出来ない、全地球規模での災害が地上を覆い尽くした。
 無数の人命が儚く消え、幾多の建造物が崩れ落ち、瓦解した国家も数知れず……将にこの世の地獄とも言うべき事態が地上に出現する。
 このまま人類の歴史も終焉を迎えるのかと誰もが諦めかけた瞬間、始まった時と同様に終わりも唐突に訪れた。
 地軸が新たな位置を定め、以前と同じ様に安定してくれたのだ。
 それにより辛うじて人類は絶滅を免れる事が出来たのだった。

 その後、誰言うと無くこの悪夢の7日間を“災厄:ハザード”と呼ぶようになる。

 しかし、たった数日に渡る地球の首振り運動、たったそれだけの事で、人類は既存の社会を構成出来ない程の壊滅的な打撃を受けていた。

 いち早く“災厄”の発生を掴んでいた極一部の国家以外は。

 そして、更なる天災が人類に降りかかる。
 
 それは上空に舞い上がった多量の粉塵を原因とする氷河期の到来であった。
 一気に地球上の平均気温が20度以上低下した。
 新たに赤道直下に移動した地域を除いて、ヨーロッパ・アフリカ・中東・インド・ロシアが分厚い氷の下に覆われていく。
 それにより人類は更に生存圏を縮小せざるを得なかった。
 海抜が100m近く低下し大陸棚が地表に顔を出したにも係わらずだ。
 何故なら、それらを加えたとしても、人類の生存に適する環境を保持し得ていたのは、“災厄”以前の4割以下に低下していたからだ。
 
 その生存に適した地域とはズバリ新たな赤道上。

 常春状態の気候が続く将に楽園と言い習わしても誰もが頷く地域だった。
 現代の地図上で言えば東経140度ライン。
 詰まりは日本は東京からフィリピン近海、オーストラリア、南極を経て南米北米を経由し再び東京へと戻るラインだった(日本を中心とした現代地図を、そのまま90度東に傾けた地図を思い浮かべて下さい)
 各地からその生存に適した地域へ、人々が怒濤の如く流入した。
 生き延びるために。
 食料を得るために。
 只でさえ“災厄”の影響で、食料が不足していた所への新たな人口増加だ。
 それは当然の如く、深刻極まりない食糧危機を齎した。
 未曾有の天変地異を生き延びた人々が、次々と餓えにより事切れていき、それを救済する術を国家機構は持たなかった。

 ただ1つ、日本を除いては……。

 赤道上に移動し、常春の温暖な気候下に位置した日本。
 何故か日本は“災厄”の被害が殊更小さい国家だった。
 更には、バイオテクノロジーを応用した培養食料に代表される未知の技術を、秘密裏に確立していたのだ。

 まるで“災厄”を予期していたかの様に……。

 しかし、日本が日系企業を通して各地に無償放出した合成食料がなければ、更に多くの命が失われた事は疑いようの無い事実だった。
 それだけではない。
 復興のために必要不可欠な物資の提供も行ったのだ。
 多くの日系企業が人々に資金を提供し機材を貸し与えた。
 あらゆる階層の人間がその恩恵を蒙った。
 辛うじてハザード以前の政治体制を保持する国家も含めてだ。

 しかし、新たな衝撃が人類を襲う。
 ホッと一息吐く暇も無いままに。

 その世界の救世主と目されていた日本が、突如として全世界に向けて……「鎖国」を宣言したのだ。
 
 「如何なる人間も日本本土へは入国させない」と淡々と宣言する日本政府。
 その対象者は難民だけに留まらず、現時点で国外に居る人間全てが対象だった。その人物が例え日本国籍を有していてもだ。

 人類共通の非常事態にも係わらず、難民救済を放棄し自己保身を優先するこの非常識な宣言に対し、数多の人々が非難の声を上げた。
 しかし実際問題として、最大食料供給元に表立って反抗出来る国家は存在しなかった。
 瓦解し疲弊した多くの国家に対して、“災厄”の被害の少なかった日本の国力は桁外れであったのだ。
 その経済力だけではなく軍事力に於いても対抗出来る国は無く、非公式に食料禁輸を仄めかされては、日本の鎖国政策を黙認するしか方法はなかった。

 積年の悩みの種であったエネルギー問題も、太陽光を利用する巨大エネルギー衛星アマテラスによって霧散させた日本は、何時しかこの時代唯一無二の超大国となった。

 世界情勢に一切口出しする事が無い超大国。

 見ざる言わざる聞かざるを実践するのが、この時代の日本と言う国であった。

 その沈黙の超大国日本の代弁者となったのが各種日系企業だった。
 この時代の企業は弱体化した国家の掣肘を受ける事無く、多国籍企業化し純粋に利益だけを追い求める巨大なモンスターとなっていた。
 日系企業は食料供給・資金提供・機材貸与といった人類復興に欠かせない命綱を握り、各地にその影響力を浸透させていったのだ。
 
 世界中の富が日本に集まり、世界中が必死に復興しようとしている中、日本だけが栄え技術を磨いていく歪んだ状況が何時果てるとも無く続く。
 
 それを快く思わない国家群との間に2度の代理戦争が発生したが、どちらも日系企業のバックアップを受けた地域が勝利するに及び、表立って歯向かえる国家は居なくなった。

 触らぬ神に祟り無しとばかりに、日本を無視する事を世界は選択した。

 実際問題、彼らが必要としたのは日本そのものではなく、日系企業が提供する資金であり資材・技術だったのである。

 そして、“災厄”以後数十年が経過。
 未だ地球規模での復興は成し遂げられず、沈黙の超大国日本の影響力は日々増大する一方であった。
 その内情を知る人間が外部に居ないにも係わらずだ。

 その影響を受けて……福利厚生は忘れ去られ、富める者は益々富み貧する者は益々貧する、そんな人間社会が地球上に出現する。
 強者が弱者を喰い物にする事がまかり通る、将に文字通り弱肉強食の時代が到来したのだ。


 そんな時代に作られたのが、“トーキョーN◎VA”と言う都市だった。


 干上がった東京湾に作られた広大な計画都市にして世界最大の貿易都市。そして鎖国国家日本における唯一の玄関口でもあった(但し、実際に入国を許される人間は殆ど存在しないとされる)

 世界有数の大企業群に直接管理される自由都市“トーキョーN◎VA”。
 ある人は魔都と呼び、又、ある人は希望都市とも呼称する。
 希望と絶望、生と死が入り乱れるこの街に、純粋な意味での行政機関は皆無であった。
 故に、戸籍を筆頭に有りと有らゆる行政サービス・社会保障が存在しないのだ。
 生きるのも死ぬのも自由。
 来る者拒まず去る者追わず。
 全てが自己責任。
 それが“トーキョーN◎VA”の流儀であった。

 人々は自らの知恵と勇気と力で、生き延びる事が求められる。

 “トーキョーN◎VA”とは、そんな時代を題材にしたゲームなのである。

*****

「“トーキョーN◎VA”か……」
 俺は古泉の長饒舌が終わると同時にポツリと呟いた。

 所謂サイバーパンクって奴か、中々ハードな世界みたいだな。

 フト気になり周囲を見渡すと、何故かハルヒはよりヤル気になってやがるし、朝比奈さんは現時点で「わたしには無理ですぅ」と云わんばかりの表情だった。
 長門? ありゃあ通常営業だな。
 違うとすればそのルールブックを凝視する視線が、飢えたハイエナっぽくて少々怖いって事位だ。ルールブックも本といえば本だしな……と何となく納得していると、「世界観としてはですね……」と古泉の奴が幾つか既存の作品から例を挙げた。

 漫画なら“AKIRA”や“攻殻機動隊”。
 小説なら“魔界都市新宿”シリーズ。
 映像系なら“ロボコップ”のデトロイトや“バッドマン”のゴッサムシティ。
 ……等々。

 待て待て。
 お前が出したのはドレもコレも、世紀末的廃頽の香りがする中、人々が必死に生き延びようとしている世界ばかりじゃないか?

「その点に気付かれるとは流石ですね」
「お前に褒められてもなぁ……」
「キョン、話の腰を折らない!!」
「へいへい」
「……ゴホン。宜しいですか?」
「あぁ、済まん……話を進めてくれ」
「将に貴方が仰る通りでして、“トーキョーN◎VA”とは、各個人や様々な企業・組織の思惑が複雑に絡み合うこの危険な世界で、自らの生き様やポリシーを何処まで貫けるか? と言うハードボイルド的なゲームであると言えます」

 ニコリと微笑み、補足的な事をサラリと言い切る古泉の台詞に何かを触発されたらしい……ハルヒは決然と立ち上がり、握り拳も勇ましく大声で所信表明。
「判ったわ、古泉君!! あたし、何者にも屈しないで生き抜くわっ。遣りたいように生きちゃうんだから!!」
 ハルヒがググッと気合を入れて行くのを横目に見ながら、
「……それ、今のお前とどう違うんだ?」
と素朴な疑問を感じたんだが、そっと見逃してやる事にする。俺は空気が読める大人なんでな。
「了解しました。僕も協力させて頂きますよ」
「古泉? 色々と面倒だから、協力するな」
「なっ、何であんたはっ、一々っ、そーゆー言い方をするのよ!?」
と激高するハルヒを、珍しく完全に無視して古泉は説明を続ける。
「ゴホン……それでですね、通常のRPGで言う所のクラスや職業を、このゲームでは“スタイル”と呼び習わします。それは、職業や生き様・ポリシーと言った概念を集合させた物であるとご理解ください。極論しますと、そのキャラクターの存在理由であると言えるかもしれません」
と古泉はこれまた幾つかの例を挙げた。

 ☆ 腕を頼りに1人生き抜く流離のギャンブラー。
 ☆ 世界最速を目指すレーサー。
 ☆ 寡黙なスナイパー。
 ☆ 裏世界を牛耳ろうと試みるフィクサー。
 ☆ 組織に忠誠を尽くす企業人。
 ☆ 路地裏で人の運命を占う占星術師。

「“トーキョーN◎VA”ではですね、その“スタイル”を3つ選択する事で、例に上げた様なキャラクターを表現するのです」
 古泉が説明するには“スタイル”と呼ばれるモノは22種類あるらしく、全て大アルカナを題材に設定されていると言う事だ。
 
 大アルカナ、詰まりはタロットカードだな。

 ルールブックを見ると、それぞれのスタイルの説明欄に、正位置と逆位置の意味が事細かに記載されていた。
「成る程、これを組み合わせて、どういうキャラクターかを表すって事か……」
 俺が広げるルールブックをヒョッコリと横から覗き込み、ハルヒの奴は何気に質問を飛ばした。
「へぇ……じゃあ、あたしね、探偵みたいなの、やりたいんだけど出来るのかしら、古泉君?」
「えぇ、勿論です。〔フェイト〕と呼ばれる“スタイル”が、そのものズバリ探偵を表現していますよ」
「そうなんだっ、じゃ、あたし、それやる!!」
 「あたし唾付けた♪」と言わんばかりに、周囲の人間を見渡し元気良く宣言するのは、将にハルヒの面目躍如と言ったところだった。
「誰も取ったりしないから安心しろ」
 俺はルールブックを読み進めつつ、ハルヒに素っ気無く返答してやる。
「何よ、その言い方は!! ……んじゃあ、あんたは何をするのよ?」
「……それがな、色々有り過ぎて困ってる所なんだが」
 俺が困惑交じりで本音を漏らすと、古泉がやんわりと助け舟を出してくれた。
「確かに、通常のモノとは少々異なりますからね。普通のRPGですと……筋力が高いから戦士にしようとか、知力が高いから学者を選択すると言う決定方法を取りますから」

 ……あぁ、成る程。
 言われるとそうかもしれんな。
 先に何をやりたいのか決めるなんて遣り方初めてだぞ? 

「なぁ、古泉? 先に能力値とかを決めさせて貰えないか? それを参考にするからさ」
と俺としては至極マトモな提案をした心算だったのだが、古泉の返答は俺の予想を超えた物だった。
「申し訳ございませんが、今回のセッションでは能力値は用いません」
「……は? 能力値を使わない?」
 俺の呆気に取られた返答に対し、ニコヤカな古泉の説明が返って来た。

 “トーキョーN◎VA”は現時点で、第4版まで出版されているらしい。
 だが、今回使用するのは第2版(1995年発行)の中の“クルード”と呼ばれるシステムだそうだ。
 その“クルード”って奴は、能力値どころかキャラクターのパーソナルデータ(身長や体重、年齢といった肉付け部分だな)と、判定時の特殊な事例を除くと数値を一切使わないって話だった。
 キャラクターレベルや技能レベル・武器のダメージの類にすら使用しないらしいんだが……それ、ホントか?
 更にだ、ニヤケ副団長の話を信用すると、“クルード”だけなら“トーキョーN◎VA”に慣れていれば、モノの30秒でキャラが完成するらしい。

 ……マジかよ?

 俺の反応を見て、暫し考え込んだ古泉はハルヒに向かって提案した。
 どうやら、曲りなりにもTRPGを知っている俺でさえ戸惑ってるってのに、少々焦りを感じたらしい。
「涼宮さん? 涼宮さんは探偵を遣りたいと決められてますよね?」
「えぇ、それがどーかしたの、古泉君?」
「どうでしょう? 先ずは涼宮さんのキャラクターを作りながらですね、それを参考にして、皆さんに作成に関するルール説明をしていくというのは?」
「ん? いいんじゃないかしら? 古泉君がイイと思う方法であたしは構わないわよ?」

 ……どうやら、ゲームが出来ればどうでもいいらしい。

 こういう細かいところに頓着しないのもハルヒっぽいな。
 あぁ、誤解がないように言っておくが、イイ意味で言ってるんだぜ、俺は。と誰に対してか言い訳してる俺を余所に、ハルヒのキャラクター製作が始まった。

*****

 古泉は団員全員にキャラクターシート(“N◎VA”では“プロファイルシート”と言うらしい)を配りながら、ハルヒに声を掛ける。

「それではですね、先ずは、涼宮さんが遣りたいと考えていらっしゃる探偵像からお聞きしましょう」
「あたしが遣りたい探偵像?」
「えぇ、探偵と一口に言っても様々なタイプがありますよね?」
「??? えっと、例えば?」
「例を挙げますと……シャーロック・ホームズ。ミス・マープル。明智小五郎に金田一幸助。フィリップ・マーロウに探偵物語の工藤俊作。今ざっと思い付くだけで、コレだけの探偵が生み出されている訳ですが……」

 古泉の説明は中々判り易かった。
 確かにホームズと金田一幸助を、探偵と言う枠で一括りにするにはタイプが違い過ぎるわな。
 ハルヒも思いは同じだったらしく、先ほど配られた“プロファイルシート”を眺め、
「ふーん、それを表すためにこの“スタイル”って奴が3つあるって事? だから空欄が3つあるんだ」
とシートのマスをチョンチョンと突付いた。
「えぇ、正確に申し上げるとそれだけではないのですが……今の所はそう理解して頂いて差し支えありません」
 古泉は机の真ん中で広げられているルールブックを捲りながら、色んな例を挙げた。

 例えば、ネットに接続して情報を集める安楽椅子探偵タイプや、大富豪によるボランティア活動的な探偵、警察機構に所属しつつ裏家業で探偵を営むパターン……等々。

 しっかし、お前、即興でよくそれだけ思い付くな……。ちょっとは感心してやってもいいぞ?

「あんたに感心されたって、古泉君は嬉しくないわよ。……でね、古泉君!! あたし、この〔カゼ〕って奴がやりたいの!!」
 ハルヒはルールブックの1ページを指差し、嬉しそうな声を上げた。
「……成る程、行動派の涼宮さんらしい選択です」
「そうなのか?」
「えぇ。〔カゼ〕と言うのは、走り屋や運び屋・レーサーと言った車やバイク等の運転操縦技術に秀でた人たちの事です」
「エッヘン!! あたしは車で走り回って聞き込みをするんだからっ」
「成る程な、そう言う感じでスタイルを選択して行くのか……確かにどんなキャラを遣りたいかイメージが出来てないと難しいな、こりゃあ」
 俺は思わず渋い顔で呟く。

 今一、どんなキャラにすればいいのか、イメージ出来ん。

 ところが、ハルヒは悩みが全く無い幼稚園児の様な顔付きで言い放った。
「あんたは難しく考え過ぎなの。ちゃっちゃと遣りたいの、選んでいけばイイだけじゃない?」
 それに対し何かを言い返そうとした俺は、頬に何やら視線を感じてそちらへと向き直った。
 視線の主は、誰有ろう、マイエンジェル朝比奈さん。
 朝比奈さんは「キョン君……わたし、何が何だかさっぱり判りません」と言わんばかりに、ビクビクしたまま潤んだ瞳で俺を見詰めていた。
 その「わたし迷子になっちゃいましたどうしましょう助けてくださいお願いします」的オドオドした表情は、俺の保護欲を殊の外掻き立ててくれる。
「大丈夫ですよ、朝比奈さん。ゲームなんですから、気楽にですね……」
と声を掛けつつも、そのお陰か俺の脳裏にふと疑問が思い浮かぶ。
「なぁ、古泉? そう言えば、ゲーム内での俺達の関係ってどんな感じなんだ?」
「関係ですか? 特には決めていませんが……」
と言う古泉の返答が全て終わらない内に、ハルヒの澄んだ声が割り込んでくる。
「全くっ、そんなの自明の理じゃないの!! キョン、少し考えれば判る事よ? あたし達はゲーム内でもSOS団なのっ」
「何!? ……まさかとは思うが、ゲームの中でもお前が団長で俺は雑用なのか?」
「当然でしょ、あたし以外の誰に団長が務まる……って、あたし、後1つはこの〔ミストレス〕ってヤツにするわね!!」
 ハルヒはルールブックのあるページを指差し、そこをトントンと指でタップした。
 古泉がその宣言を聞き、然も感心した様に呟く。
「成る程、〔ミストレス〕ですか。姉御肌の親分やバーのママといった頼りになる女性の象徴ですから、涼宮さんにぴったりですね」
 古泉の太鼓持ち発言に気を良くしたらしいハルヒは、鼻高々モードで踏ん反り返る。
 今にも「フフン!!」とでも言いそうな勢いだった。周囲に花吹雪が舞っている気配も感じた俺なんだが……。

 ……気のせいか? 
 ハルヒがこうなった時ってのは、得てして何やら厄介事が発生し易くなかったか?
 何だろう? この項がチリチリする嫌な感覚は?
 またぞろ厄介事に、

「やぁ、お久しぶりですね。今回も宜しくお願いします」

とでも、親しげに挨拶された様な錯覚を覚えるんだが……。

 そんな俺の内心の不安を余所に、ハルヒのキャラクタースタイルが決定した。

 〔カゼ〕 + 〔フェイト〕 + 〔ミストレス〕 
 = 
 「街中を車で爆走」 する 「探偵」 で 「SOS団の親分」 

 ……だそうだ。

 爆走に親分って……おい、まさかと思うんだがな? 
 ゲーム内でもSOS団は、周囲に迷惑を掛けまくって疎まれてるんじゃなかろうな?
「何言ってるの、キョン? あたし達がいつ何時、周囲に迷惑を掛けたって言うのよ、あんたは?」
「あー、まぁ……そう言う気がしなくも無くだな、俺としては予め遺憾の意を表明しておく事に吝かでは無いと言う感じ何だが?」
「キョン? 何が言いたいのか、さっぱりだわ?」
とハルヒにジト目で見詰められ、俺は新たな説明をしようと脳裏で文章を推敲する。
「宇宙人や未来人に超能力者集団が揃って慌てちまう程、素っ頓狂な事を幾度も遣らかしておいて……」
と其処まで考えて、ふと気が付いた。

 その原因……SOS団と言うよりもだ、ハルヒ一個人に全て帰結しないか?

「何、変な顔を更に可笑しくしてるのよ、キョン?」
「ほっとけ。……あぁ、まぁ、何だ。お前の言う通りだな、良く考えたらSOS団が周囲に迷惑を掛けてた何て事実は、寸毫も存在しなかったぜ」
「でしょ!? ……あんまり自虐的思考をしてると、人生詰まらなくなっちゃうわよ? 気を付けなさい」
 全ての元凶で在らせられる我らが団長様は、自分の正しさを毛程も疑う事無く為たり顔で仰るんだが、
「周囲に迷惑を掛けているのは、ハルヒだけだったもんな」
と俺が言い放つ前に、その表情を一変させた。
 滅茶苦茶特上な笑顔を浮かべて古泉を促すハルヒ。
「それで、古泉君? 次はどーするの!?」
 その極上笑顔から何故か視線を逸らしつつ、まぁ、極大の期待に打ち震えているであろうハルヒの心に、冷水をぶっ掛けるのも……少し大人気ないかもなと思い直し、俺は「やれやれ」と呟きかけた己の口をチャックで閉める事にした。

 何を言っても所詮はゲームだ。
 ハルヒの遣りたい様にさせておくさ。
 
 確実にゲーム内の俺達は右往左往するだろうが、偶にはこんな日があってもいいだろ?


  【“トーキョーN◎VA”か……(後編)】 …… に続きます。
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  1. 2000/01/01(土) 00:00:00|
  2.  女神様と卓上遊戯
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