女神様の絵本箱

「涼宮ハルヒの憂鬱」の二次創作小説ブログです♪ 基本甘々ハルキョンキョンハルメインです(^▽^)/ 先ずはSSリストよりどうぞなのです

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女神様と卓上遊戯④(トーキョーN◎VA編)

女神様と卓上遊戯


「続きを読む」からは ……

 トーキョーN◎VA編②:【“トーキョーN◎VA”か……(後編)】

……になりまーす(^▽^)/


*****

「古泉君っ、ちゃっちゃと次に行くわよ!!」
と言う団長様の有り難いお言葉を受け、古泉は嬉々として説明を続行する。
「それでは、次にですね。涼宮さん? 今選んだスタイルからですね、“ペルソナ”と“キー”を選んで下さい」
「“ペルソナ”と“キー”? へぇ……心理学か何かみたいじゃない?」 
 鸚鵡返しに問い返したハルヒに対し、にこやかな笑顔と共に古泉はそれらについての説明を施していく。
 それを簡潔明瞭に纏めてしまうと……、

 ・ペルソナ =
 社会的な表の顔。パッと見の格好や外見から判断出来る職業を表す。

 ・キー   = 
 その人物の本質。本当に大切にしている事柄や生き様を表す。

って事らしい。

 ……すまん全然簡潔明瞭じゃないな。古泉が追加で説明してくれるらしいから、そっちを聞いてくれ。
「判りやすく言いますと、涼宮さんの場合、“ペルソナ”が〔カゼ〕だとすると、他人に与える第一印象が走り屋やドライバーとなります」
「……ふーん」
「例えば〔フェイト〕だとすると、パッと見で探偵だなと認識されると言う事です」
と言う古泉の台詞を聞き、俺は1人頷く。
「あぁ、成る程。今風で言えば、背広を着てればサラリーマンだし、ナース服を着てれば看護士さん、警察服を着てれば警官だって判るって事か?」
「えぇ、仰る通りです。極論すれば……どの様な職業を生活の糧に選んでいるかを示していると言えるでしょう」
「それじゃあ……本質って言うのはどーゆー事なの、古泉君?」
 ハルヒが「そこは理解したから次に行くわよ」とばかりに質問を投げ掛ける。
「そうですね、言うなれば潜在意識と言うべきかもしれません。有体に申し上げれば、どの“スタイル”を1番重要視するか? そして、演じる際の指針・信念となるものと言えますね」
 古泉の発言が終わると同時に、全員の視線がハルヒの手元にある“プロファイルシート”へと集まった。
 一生懸命理解しようとしているらしい朝比奈さんが、柳眉を顰め難しい顔をしながら、
「えっと……じゃあ、涼宮さんが、その……探偵さんみたいに、生きたいなぁって考えると“キー”はそれを選んだ方が……って事ですよね?」
と古泉に確認する。
 聞かれた古泉は嬉しそうに同意。
「将にその通り!! 流石は朝比奈さんです。僕から追加で説明する事は何も有りませんね」
 そんな2人の会話をフンフンと聞いていたハルヒは、エッヘンと両手を腰に当てる。
「1番重要視する事を選ぶんでしょ? それじゃあ、あたしが選ぶのなんて1つしかないじゃない!! あたしはSOS団団長だもん、勿論、〔ミストレス〕を“キー”にするわよ」

 〔ミストレス〕……。

 何気にルールブックを確認すると、女帝だの女王だの卑弥呼だのと説明されているじゃねぇか。……それじゃ何か? マジで俺達は現実同様ハルヒに扱き使われるって事かよ。

 そんな俺のトホホ的呟きを気にする事無く、ハルヒはあっさりと“ペルソナ”を〔フェイト〕にした。「あたしは探偵で生計を立ててるんだから!!」と宣言しつつ。
「了解しました。それでは涼宮さん? スタイルの横にですね、“ペルソナ”は“◎”・“キー”には“●”を書き込んで下さい」
「なーる!! この記号を見れば一目瞭然って事なのね?」
と納得したらしくウンウンと頷くハルヒは、“プロファイルシート”に記号を書き込んでいった。

 〔カゼ〕 + 〔フェイト◎〕 + 〔ミストレス●〕 

*****

「それでは残る過程はあと2つです。正確に申し上げれば1つは機械的に決まりますので、次の工程が実質最後になります」
「なんでも掛かって来なさいって感じなんだから、遠慮しないでドンドン話を進めて頂戴、古泉君!!」
 ハルヒは豪く精神的に高揚していた。

 多分だが、自分の分身を作っているこの時間が愉しくて仕方が無いんだと思う。
 以前やったTRPGの時の俺もそうだったしな。

「了解しました。先ずはスタイル欄の横を確認して下さい」
「えっと……スペードとかハートとかのマークがそれぞれ印刷してあるわ」
「その通りです。それでですね、そのスタイル毎にスート、詰まりダイヤやクラブといったマークを選択して貰う事になるのですが……先ずはそのスートの意味する所を説明しましょう」
と古泉は言い出した。
 何でもソレを覚えない事には行為判定が出来ないんだそうだ。
 古泉は再度立ち上がりホワイトボードへと歩み寄った。
 先程と同様、ボードに文字を書き殴っていく。

 しっかし……ホントにお前、字が汚いな。

 ・スペード=理性(理知的な活動力・冷静な判断等の判定に使用)

 ・クローバー=感情(感覚的な行動・自他の感情に影響を与える行動等の判定に使用)

 ・ハート=肉体(肉体的な活動・身体を用いる行動等の判定に使用)

 ・ダイヤ=外界(経済活動や周囲の環境を利用する行動等の判定に使用)

 ハルヒを始め朝比奈さんや長門もホワイトボードを静かに見詰める中、古泉の声だけが朗々と部室に響く。
「“N◎VA”ではですね、行為判定の際、上記の4つの能力を用いて判定します。例えば理性的な判断を行う際は、スペードを使用すると言った具合です。何時もの様に幾つか例を挙げましょう」
 古泉は暫し考えて「モノを作り出す行為」を参考例として選択した。下に書き出したやつがソレの纏めである。

 ・“理性”の場合 = 
 緻密に計算し計画立案。詳細な図面を引いて作成する。工程表は人類の英知の結晶、将に理性の集大成と言えるだろう。

 ・“感情”の場合 = 
 絵画や音楽を創造する際、怒りや感動、喜びといった感情が切っ掛けになった例は幾多もある。

 ・“生命”の場合 = 
 鉋の力加減や轆轤の回転速度。名匠ともなればそれらは身体が憶えている。頭で考えるまでも無く身体が自然と動くのだ。経験とは偉大である。

 ・“外界”の場合 = 
 優秀なスタッフに完璧な設備に使い易い工房。それらを準備し確実な協力を得るために必要な物が存在する。……それはお金にコネだ。そう、ぶっちゃけ、世の中、金なんである。

「……詰まりだ、例えばハルヒの探偵が理性的に調査する事を身上とするなら、スペードを選択するって事でいいのか?」
「将にその通りです。……判りやすく申し上げますと、そのキャラクターが得意とする分野と理解して頂ければ問題ないかと」
「得意な分野か……」
「ですので、それぞれのスタイル毎に異なるスートを選択して下さい。1人のキャラクターで3種類のスートを選択する事になります」
「何となくだけど、判った気がするわ……」
と呟き、ハルヒは各スタイル毎にスートを選び出した。

「あたしの〔フェイト〕は人情派なの、だから探偵は感情でクローバー。運転は冷静にする心算だから、〔カゼ〕は理性でスペード。〔ミストレス〕は……家庭的な繋がりがある方がSOS団っぽいから、うん、生命でハートにしよっと!!」

と一々断りを入れながら。
 ……とは言いながら、その断りのお陰でスート選択の仕方が判り、メチャ大助かりだってのも事実だったりする。
 古泉の奴もマジで感心して、ハルヒの呟きを聞いていやがるしな。
 ホントにこいつの不得意分野ってやつを知りたい心境だぜ。

*****

「序に簡単に行為判定の基本的なポイントを説明してしまいましょう」
「ん? これで作成は終了か? ……何やらスタイル欄の下に“神業”って欄があるが、それはいいのか?」
「えぇ、“神業”を説明する前に、通常の判定を説明しておくべきかと思いまして」
と言い訳めいた事を口にしつつ、古泉はお世辞にも上手いとは言えない手付きでカードをシャッフル。
 その内4枚をハルヒへと手渡した。
「これは何? 古泉君?」
 素直に受取りながらも、早速疑問をぶつけるハルヒ。
「これがこのゲームでのダイスの代わりとなるものです」

 どうやら、“N◎VA”では常にプレイヤーは4枚のカードを持ち、それを消費する事で行為判定を行うらしい(使った分は即座に山札から補充するんだそうだ) 

 後、山札を使った判定方法や“キー効果”とやらもあるらしいが、古泉曰く、
「今回は説明を割愛させて頂きます。実際にプレイする際に説明した方が宜しいでしょう」
だとさ。

 んで、どうやって判定するって?

「例えばですね、涼宮さんの〔フェイト〕が何かを調べているとします。それを見事に探し出せるかは判定次第です。そこでスタイルに当て嵌めたスートを捨て札に出来れば成功。出せない、又は出したくない場合は失敗となります」
「それじゃあ……あたし、〔カゼ〕にはスペードを選んでるから、上手に運転したかったらコレが出せれば成功って事?」
とハルヒは手札からスペードの6を出しながら質問。
 それに対し、古泉は嬉しそうに頷く。
 飲み込みが早く出来のイイ生徒を褒めるベテラン教師って風情だ。
「それじゃ、スートだけが関係して数字は必要ないんだな?」
「それに関しましては、少しだけ例外がありまして……」
 予め山札から抜いてあったんだろう、古泉はエースと各種絵札(キング・クィーン・ジャック)、そしてジョーカーを机の上に提示した。
 それぞれを指差し説明を加えていく。

 エースは所謂クリティカルで、文句無く完璧なる成功。
 K・Q・Jはドラマティックサクセスとなるらしい。

「ドラマティックというのはですね、通常の成功と比較して劇的な事が起こったと演出する権利が発生したと言う事です。……あまり難しく考える必要は無いのですが、参考までにKは男性の協力・Qは女性の協力・Jはそれ以外からの協力と思って下さい」
「んっと、具体例はどーゆーのがあるのかしら?」
 ハルヒの突っ込みに古泉は暫し沈思黙考。そして答えて曰く……、
「涼宮さんの〔フェイト〕が聞き込みに出掛けたとしますね? そこでクラブのKを出されたとします。成功は成功と言えるのですが、実はその人が彼の……」
 古泉は突然俺を指し示した。
 皆の視線が集中し、俺、ドギマギ。
「……幼馴染だったお陰で、期待以上の情報を教えてくれたと言う感じですね。思い付かなければ無理に作る必要はありません」

 成る程な……。
 演出する権利ってのはそう言う事か。
 面白そうだが、反面、慣れないと難しそうな気がするぜ。

と俺が1人納得していると、「それじゃあ、ジョーカーはどーなるの?」とハルヒが勢い込んで聞いていた。
「ジョーカーは全てのカードの代用となります。スートはスペードでもハートでもOKですし、ナンバーは2~Aまで。どのカードとしても使用可能なワイルドカードですね」
「へぇ、そりゃ便利だ」
「只ですね、ジョーカーはあるスタイルが居ないと使用出来ない特殊なカードでして……」

 その後続いた説明では、〔カブキ〕と言うスタイルを選択したPCがセッション内に存在する事が条件らしい。
 ルールブックを見ると……〔カブキ〕って奴は、芸術家やギャンブラーと言った職業を表すと書いてある。
 うむ、俺には向かない。パスその1だ。

等と1人納得していると、ハルヒの奴が難しい顔をして自分の手札を睨み付けていた。

 ……何だ、どうした? 

「ねぇ、古泉君? ダイスを振るなら、ランダム要素って言うの理解出来るんだけど、トランプ使うと……無作為って単語からは程遠いんだけど? 現にあたし、自分の手札確認出来ちゃうわよ?」
 そんなハルヒの質問に対し、古泉は飄々と返答する。
「えぇ、その疑問は至極当然です。実は僕も初めてこのシステムをプレイした際、そのように考えていました。しかし……」
「しかし、何だ? もったいぶらずに続けろよ」
「ゲームの神様と言うのは気紛れでして、ここぞと言う時に成功するカードが一枚も無い、又は生死を分かつ瞬間に限って、Aが来てくれたりするんですよ。将にドラマを演出するように……」
「ほぅ、そんなもんなのか?」
「それにですね、カードにあってダイスに無い利点もありますよ?」
 そこで古泉は一口お茶を啜った。
 態とらしく満足げな溜息を吐く。

「実はですね、このシステムでは『態と失敗する』と言う選択肢が、プレイヤー側に用意されているのです」
 古泉の説明によると、態と失敗する事をルール化しているシステムはほとんど存在しないらしい。
 それはそうだろう。

 攻撃が外れる。
 防御に失敗する。
 鍵開けにしくじる。
 古文書の解読にミスった。

 何処の誰がそんな事を態々望むんだ? 
 普通に考えれば成功する事を希望するだろうさ。

 その思いはハルヒも同じだったらしい。
「態と失敗して何が楽しいの? 成功したほうがイイに決まってると思うんだけど?」
「えぇ、ダイスロールの場合はそうだと思います。しかし“N◎VA”においては、手札から判定に使用するカードを選択しますよね?」
「ふんふん」
「ですので、ある程度は先々の事を考えてカードを使用する事になります……“此処で成功するカードを使うと、次の判定が粗確実に失敗する。ならば、此処は失敗してカード交換しておこう”と言う選択は頻繁に発生します」

 ……成る程な。

 俺はハルヒが持っているカードを覗き込み納得した。
 例えば、これから車で逃げ出すって決めてれば、どう考えても〔カゼ〕での判定が続くだろう。
 だったら、ハルヒの場合、スペードのカードが重要になってくる。って事は少し考えれば理解出来る事だ。

「えぇ、その考え方が“N◎VA”での基本的思考法になります。シナリオの流れを読んで自ら演出を考える。自分らしさを自らアピール出来る、一旦慣れると堪らなく面白くなりますよ。それに、失敗出来ると言うのは、それだけが目的ではありません」
 古泉の奴は俺にニコリと笑い掛けた。

 ……だから、男に微笑まれても嬉しくないっての。

 そんな俺の抗議を柳に風と受け流し古泉は、何やらメモ用紙に文字を書き出した。
 そして、書き終えたそれをハルヒにそっと渡す。
 ハルヒは興味津々にその紙をそっと開けて中身を読み、そして、呆気に取られた表情で古泉を見詰める。
 古泉の奴は珍しくハルヒの物問いたげな視線を無視して、突然長門へと話しを振った。
「あぁ、長門さん? 少し宜しいですか?」
 長門は凝視していたルールブックから視線を引き剥がし、古泉へと顔を向ける。
 視線で「何?」と問い掛けているらしい。
「先程から、ルールブックを眺めていらっしゃいますが、やはり読みたいですか?」
 間髪入れず、長門は古泉の質問に大きく頷いた。あぁ、大きくと言っても3mm程だがな。
 更に目がランランと輝き、餌が用意されている事を察知したシャミセンの如き雰囲気だ。
「それでは涼宮さんから、読書の許可を受けて下されば、僕は構いませんよ?」
「…………」
 古泉の台詞を受け止め、長門が通常の3倍の早さでハルヒへと顔を向けた。

 自分の意思を、これ程はっきりさせる長門ってのも珍しいな。

と内心感想を述べていると、ハルヒは何故かビクビクしてやがる。
 恨みがましい視線を古泉に叩き付けるが、当の古泉は我関せずと涼しい顔をしていた。

 ……何だ、この雰囲気は?

「ダ、ダメよ……その、今、ルールの説明受けてる最中だし、えっと、終わってからに、し、しなさい」
 ハルヒはソッポを向いて小さな声で長門に答えた。
 その切れ切れの台詞がらしくない。
 それにハルヒが長門の望みをバッサリ切り捨てるってのも珍しい。
 そして、ハルヒの返答を聞いた長門は、団員なら誰もが判るほど落胆した。
 しょんぼりと俯き、ルールブックを寂しげに眺める長門。
 その悲しげな雰囲気に感化されたのか、部室内に重い空気が漂い始めた。
「…………」

 まるで長門の無言の抗議が聞こえてくるようだ。
 重い。
 重過ぎる。
 窒息しそうな位重い……。
 ちょっとこの雰囲気は勘弁して欲しい。
 通夜や葬式じゃないんだぜ?

と言う訳で、我慢出来なくなった俺はハルヒに文句を叩き付ける。
「おい、ハルヒ? ルールブックを読む位いいじゃないか?」
「う、うっさい!! あ、あたしだってっ……」
と俺の発言を大声で遮り、何故かハルヒは古泉をキッと睨み付ける。
 その視線を目を閉じ、泰然自若と言った態で受け止める古泉。

 ……何だよ、お前ら?

と言う俺の疑問を余所に、長門発の沈黙圧力は徐々に増していき、本気で空気に重量があるんじゃなかろうか? って位痛々しい物になっていた。
   朝比奈さんなんざ、涙目のまま既に半分以上失神している位だ。
「ぴぃ……」

 その雰囲気がどれだけ続いたのか? 
 突然、ハルヒが「限界を超えたわ!!」とばかりに、机をバンッと叩いて絶叫する。
「あぁ、もう!! 我慢出来ないっ……いいわ、有希、読みなさい。好きなだけ読んじゃいなさい!!」

 ハルヒの絶叫に呼応して、瞬時に重苦しい圧力が消滅した。

「そう」
と何時もの様に呟く長門だったが、その口元は1mm程度微笑んでいたのは俺の見間違いではないだろう。
 長門はイソイソとルールブックに手を伸ばした。
 俺はソレを横目で確認しつつ、当事者2人に抗議の声を上げる。

「それはいいんだが……ハルヒ? 何だ、今の遣り取りは? 古泉もだ、納得出来るように説明して貰おうか?」
「そ、そうですよぉ、何なんですかぁ、今の……」

 圧力消滅と同時に、俺と朝比奈さんの抗議が部室に木霊した。
 古泉は一心不乱にルールブックに目を通す長門を、微笑ましげに眺めつつ、
「今のがですね、失敗する事の実例だとお考え下さい」
「は? ……待て、古泉。お前の言ってる事が理解出来んぞ」
 俺の当然の疑問に対し、古泉は失敗する事でキャラクターらしさを出す事に繋がる場合もあると言い出した。
「例えばですね、ルパン三●。何時も何時も峰不二●に手玉に取られてますよね? あれも不二●の色仕掛けに対して、態と抵抗に失敗しているのだと考えると……どうです? そちらの方がルパ●らしいと言えませんか?」
「…………」
「今の涼宮さんの場合も同様です。長門さん想いの涼宮さんは、敢て判定に失敗したのです。その方が涼宮さんらしいと言えませんか?」
「……成る程、成功するばかりがイイ演出ではないと言う訳か? そっちの方が人間らしいと言える場合も有り得ると」
「えぇ、失敗する事でその人らしさを演出していると言えるでしょうね。それをプレイヤーサイドから出来る事が、このシステムの素晴らしい所であると言えるでしょう」

*****

「それでは最後になりましたが、この“N◎VA”らしいルールを説明しましょう……それが“神業”と言われる力です」
「このプロファイルシートの空欄がそれだな?」
 
 シートの記入欄には、スタイル毎に“神業”と書かれた空欄があるんで、それの事だとは察しが付くんだが……。

「えぇ、貴方の仰る通りです。皆さんは有体に申し上げて、ヒーローヒロインです。一般人から見れば神の如き能力を秘めた選ばれた存在なのです」
「あっ、じゃあ、これは必殺技みたいなモノなのかしら?」
「流石は涼宮さんです。将にその通り、必殺技と呼称しても違和感は無いでしょうね」

 古泉曰く、それぞれのスタイルに相応しい“神業”が用意されているらしく、これを如何に上手に使うか、それによりセッションの成否を分ける事もあるらしい。

「涼宮さんのキャラクターで言いますと……1番判り易いのは〔フェイト〕ですね。〔フェイト〕の神業はズバリ《トゥルース:真実》」
「《トゥルース:真実》?」
「はい。文字通り『真実を暴く事』を目的とした“神業”ですね。適切に使用すれば、どのような真実———例えば国家機密———にも光を当てる事が出来るのです」
「ほぉ……そりゃ凄いな」
「例えば、真犯人はお前だな!? と黙秘する容疑者を問い詰めて、一瞬で白状させる等がイイ例になるかと……具体的演出には使用者に一任されますが、名探偵に不可知と言う単語は存在しないと言えるでしょう」

   ハルヒが目を輝かして、「へぇ」とか何とか言いつつ感心している位凄い効果なんだが、それは絶対に誤魔化してはいかんのか?

「はい。誤魔化して……と言うには語弊がありますが、“神業”を打ち消せるのは“神業”だけですので。通常の行為では不可能ですね」
「何だと? ん? それは行為判定でクリティカルを出したとしてもか?」
 俺の素朴な疑問に対して古泉はゆっくりと頷いた。
 
 他に判り易い例として、〔カブトワリ〕と言うスタイルを選択する古泉。
 〔カブトワリ〕とはぶっちゃけスナイパーの事なんだそうだ。
 ゴルゴ1●や次元大●が具体例として適当だろうと古泉は言う。
 その〔カブトワリ〕の“神業”は、《クーデグラ:止めの一撃》と言って効果は単純明快。

 スナイプで1人を即死させる事だ。

「この《クーデグラ:止めの一撃》が使用された場合、その対象者は行為判定で、どれだけ成功しようとも死を回避出来ません。“神業”で回避するか、打ち消すか、復活するか……しか手段はありません」
「……それは、例えば、ターゲットにされた人物が、1人で地下シェルターにひっそり隠れていてもか?」
「えぇ、僕はその様に解釈しています。只、人によっては視認する事が必要と言われる人もいらっしゃいますが……」
「…………」
「“神業”の例として2つ程挙げましたが、他の“神業”も効果の強烈さでは甲乙付けがたいと思いますよ」

 ……すっげぇな、“神業”ってのは。

「これを使用出来るからこそ、皆さんはヒーローヒロインであると言えるのです」
と古泉は微笑みながら念を押す。

*****

「ん? おい、古泉?」
「はい、何でしょう?」
「“神業”の凄さは理解したんだが、こんなのを俺達全員が3個づつ持ってるんだろ? ゲームバランスが滅茶苦茶になるんじゃないのか?」
と言う至極当然の疑問を受け、古泉は微かに頷いた。

「確かにプレイヤーサイドだけが所有しているなら、その主張には頷かざるを得ないところですが……」
「……何やら含みのある言い方だな? 何を勿体付けているんだ?」
 そんな俺の疑念塗れの呟きに対し、
「勿体付けている心算はないのですが……そうですね、最後にもう1つだけ説明を加えて宜しいですか?」
と古泉は苦笑しながら了承を求める。

 此処まできたら毒皿ってやつだろ? 今更遠慮するなよ……。

 俺の回答に力を得た古泉の説明によると、“トーキョーN◎VA”に於いて、俺達が操るキャラは“キャスト”と呼ばれるらしい。

「“キャスト”? 何だか、ホントに映画みたいな感じになってきたわね?」
「えぇ、映画やドラマの出演者を思い浮かべて頂いた方が判り易いと思いますよ?」
と言いながら、古泉は三度ホワイトボードを活用する。

 ☆プレイヤーキャラクター(PC)= “キャスト”

 ☆ノンプレイヤーキャラクター(NPC) = “ゲスト”・“トループ”・“エキストラ”

「ノンプレイヤーキャラクターと言うのはですね、皆さん以外の登場人物の総称です。大体においてNPCと呼称されますね」
「んっと、あたし達以外って?」
「ドラク●とかで言えば、敵の将軍とかライバルの冒険者、パーティに入らない宿屋の親父や村娘とか国王とかそんなんだ」
 「あぁ、成る程ね」と頷きつつ、ハルヒは難しい顔をしてホワイトボードを睨み付け、「古泉君?」と呼び掛ける。
 その呼び掛けに古泉は笑顔を向け、その先を無言で促がした。
「そのNPCなんだけど、何で3種類もあるの?」
「そうですね、有体に申し上げて……能力による区別と言うのが最も判り易いでしょうか?」
「能力って……どう言う事だ?」
「“キャスト”に匹敵する力の持ち主が“ゲスト”、能力的には微々たるモノですが、群体を一固体として扱い“スタイル”を1つだけ所持しているモノが“トループ”、通行人や観衆と言ったストーリー的に粗無関係な存在が“エキストラ”となりますが……これも例を挙げましょう」
 と言って古泉が例に取り上げたのは、ファーストガンダ●だった。

「皆さんは……アムロ・レ●やセイラ・マ●にカイ・シデ●、ブライト・ノ●、ミライ・ヤシ●と言った登場人物に当て嵌まります」
「成る程……確かにホワイトベー●の連中が主人公だからな」
「えぇ、そして、NPCの例としてはこうなります……」

 ☆ゲスト=
 敵:赤い彗星のシャ●、青い巨星のラ●。
 味方:マチルダ・アジャ●、レビル将●。

 ☆トループ=
 敵:コンスコ●隊のリックド●×12機。
 味方:マチル●隊のミディア編隊。

 ☆エキストラ=
 WBとコンスコ●隊の戦闘を観戦していたサイド6の住民。

 ……成る程、確かにシャ●やラ●と言った連中が、アム●の好敵手って説明は判り易い……って、ちょっと待てぃ!?

「おい、古泉、能力的に俺達に匹敵するって事は……まさかと思うが“神業”を持ってたりするのか、その“ゲスト”って奴らは?」
「えぇ、“ゲスト”とは“キャスト”と同じ様に作成されますので、当然ですが3個所持していますよ?」

 何が、当然、所持していますよ?……だ!? 
 さっき聞かされた《クーデグラ:止めの一撃》とやら何やらを使ってくるのか、そいつらも!?

と言う俺の疑問を、古泉はニコリと微笑んで肯定しやがる。
「ですから、“神業”の遣い方が重要になってくるのです」
「……やれやれ。本当に生きていくのが厳しい街だって事かよ」
「何を心配しているのよ、キョン? あたし達SOS団が全員揃ってれば、何も恐れる事なんて無いんだからね!!」

 相変わらず、根拠の無い自信だけは身体中に充満しているヤツだ。

と思いながらも、ハルヒの満面の笑顔を眺めていると、本気でそうかもしれんと考えてしまう俺は、酷い楽観主義者なのかもしれない。

*****

 そして、ハルヒだけじゃなく他のメンバーが“キャスト”を作り終えた瞬間、タイミング良くキンコンカンコンと鐘の音が鳴り響き、俺達に下校を促した。
 紆余曲折あってドタバタしたキャラメイクも、やっとこさ目処が立ち、
「……どうにか全員の“キャスト”だけは作る事が出来ましたね」
と古泉が疲れた様に呟く。
 しかし、ハルヒのヤツはそれに気付かず、今直ぐにでもゲームを遣ろうと鼻息が荒い。
「あたし、この子を早く活躍させたいなっ。どーかしら? 今から有希の部屋にでも行って、早速ゲームを遣らない!?」
「あー、まぁ、何だ、一応念のために長門の都合もだな……」
「特に問題は無い」
 ……何気に長門もヤル気になってるっぽく、気を使った心算の俺の台詞が終わるや否や、通常の20%増しの強さで「問題ない」とアピールされたんだが、しかし、珍しく古泉のヤツが泣きを入れてきやがる。

「涼宮さん、申し訳ありませんが……」
「何、古泉君?」
「申し上げ難いのですが、本日は参加者が彼1人の心算でシナリオを組んで来たので、少々手直しをさせて頂きたいのですが?」
と言いながら、ハルヒのアヒル口を見た瞬間、古泉は「明日までには修正を終わらせますので……」と低身低頭。
「古泉君がそーゆーなら……仕方が無いわね。でも、明日にはゲーム、出来るんでしょ?」
「はい、それは必ずとお約束しましょう」
「うんっ。じゃあ、明日は不思議探索の代わりに、有希の部屋でゲームをしましょ!!……有希?」
「いい」
「それじゃ、みんな、明日のお昼に有希の部屋に集合よっ。ふふっ、すっごく愉しみだわ!! 早く明日が来ないかしら!?」
と極上笑顔のハルヒだった。

 滅茶苦茶躁状態でウキウキしている様が遠足前日の小学生っぽいんだが、俺も実は同じ様な気分だったので、俺は特に何も言わなかった……。

 ……んだが、ここで俺は一言でも何か口にして、夢見る少女の精神を少しでも落ち着けておくべきだったのだ。

 と言う後悔を後々に感じちまう俺なんだが、当然、この時点では知る由も無い。

 ってな訳で、その日は特に問題もなく家に帰り着き、俺はルーティンワークをこなすが如く、何時もの通りあっさりと眠りに付いたんだが……。

 問題は次の日に発生した。

 何故なら……俺は全く見慣れない、しかし、それでも確実に慣れ親しんだと断言出来る古臭い部屋で目を覚ましたからだ。

 そう……其処は……将に……。


  【オープニングから派手じゃないか!? (前編)】 …… に続きます。
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  1. 2000/01/01(土) 00:00:00|
  2.  女神様と卓上遊戯
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 探し物は何ですか? 見付け難いモノですか? (5)
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 地球人類危機一髪!? (1)
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