女神様の絵本箱

「涼宮ハルヒの憂鬱」の二次創作小説ブログです♪ 基本甘々ハルキョンキョンハルメインです(^▽^)/ 先ずはSSリストよりどうぞなのです

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SOS団は狙われてるんだからね!!③(ハルハル視点)

SOS団は狙われてるんだからね!!


・粗筋:どうやらハルヒさんの中では「みくるちゃん=メイドさん」って図式が成立しているみたいですね。


*****


「続きを読む」からは ……

 仄かにホンワカ副々団長編 ③:【メイド服と言えばみくるちゃんだもんね】

……になりまーす(^▽^)/



*****

 今日も今日とて部室で活動中のSOS団。
 何時もの様に皆元気一杯なの。
 勿論、あたしもね!! 
 思い返せば平凡極まりない日々が続いていたんだけど、でも、ここ数日、あたしは終始ウキウキしていたの。だって、第1回SOS団暴漢撃退訓練の準備が着々と進んでるんだもん。余りに待ち遠しくて、将に気分は遠足直前の小学生。ホントに楽しみだわ!! 
 と言ってもね、殆どの事は古泉君が率先してやってくれていて、あたしはニコニコそれを見ているだけで良かったの。
 こーゆー事に関しては、ホントに古泉君の独壇場ね。
 ソレもその筈。
 キョンは「副団長が遣りたがってるんだから、全て任せるさ」って静観を決め込んでるし、有希も我関せずとばかりに、何時も通り毎日読書に勤しんでいるんだもん。
 そー言えば、有希が訓練に関係する事で、はっきりと反応したのは、DVDを借りて研究するって言ったあの時位じゃない?
 とまぁそんな感じで、SOS団は通常営業状態だったんだけど、そーゆー意味では、みくるちゃんも普段通りだった。
 何やら何時も以上に気を使っているらしく、今日も手作りのアップルパイを持参していた。
 今はメイド服に着替えてイソイソと給仕の最中。
 皆で期待を込めて、それを見詰めているの。特に有希なんて瞬きすら忘れているんじゃないのかしら?って位凝視しているわ。
 みくるちゃんの料理の腕は皆の知るところだし、期待するのはあたしにも理解出来るんだけど、実はみくるちゃんってば、一昨日も沢山のシュークリーム作って来てるのよねぇ。
 まぁ、みくるちゃん特製スイーツは大好きだから構わないんだけどさ……と思いつつも、長机の上でそれを切り分けているみくるちゃんに声を掛けるあたし。

「ねぇ、みくるちゃん? あたしは嬉しいんだけどさ、お菓子作るのって大変じゃない?」
「えっと……いえ、わたし、こんな事位しかできませんから」

 みくるちゃんの切り分け作業中の台詞を纏めてみると、どうやら訓練準備を手伝えない事って気に病んでいるみたいなの。だから、自分が出来そうな事をやらなきゃって感じで、お菓子を作ろうと思い立ったらしい。
 何だか、その気遣いがみくるちゃんらしいわって大きく頷いちゃう所なんだけど、
「あぁ、朝比奈さん? どうかお気になさらずに。僕は僕で楽しんでますから」
と古泉君はニコニコ笑いながら気遣い無用ですって主張しているし、キョンもそれに同調して、
「そうですよ、朝比奈さん。古泉はイベント準備と解説役が、三度の飯よりも好きなタイプなんですから」
なんて酷い事を言い出すの。
 そんな男性陣の台詞を微笑んで聞いていたみくるちゃんは、切り分け作業を中断しながら「えっと、……実はそれだけじゃないんですよ」とはにかんだ。
「それだけじゃないって……どゆこと?」
とあたしは湯飲みの緑茶をグビグビ飲み干し、気負う事無くその先を促した。
 その台詞に背中を押されたのか、みくるちゃんは照れながら「実はですね……」と何やら打ち明け話を開始する。
「えっと、受験勉強の息抜きに、ちょっとクッキーでも作ろうかなぁって思って、台所に入ったんですけど……」
「???……何でクッキーがアップルパイに進化しちゃってるの?」
「な、なんででしょうか? 自分でも判らないんですけど、物凄く興が乗っちゃって……でも上手く出来たかなぁって思って持って来たんです。結局、勉強は全然進まなかったんですけど……」
って言うみくるちゃんの話を聞き、何故かキョンは為たり顔で1人頷く。
「俺には判りますよ、朝比奈さん。俺も試験勉強の時に頑張らなきゃなって意気込んでるのに、何故か熱心に掃除をしたり意味も無く漫画を全巻読破したりして……実際、前回の中間も全然試験範囲が終わらなかったんですよ」
「あっ、キョン君もそうなの?」
と何故か嬉しそうなみくるちゃんに、キョンは「ま、誰でもそんな感じですよ」と偉そうに講釈を垂れてるんだけど……あたしはさっきの発言の中で気になる単語を耳にしていた。
 みくるちゃんが何かを言い掛けているのを無視して、あたしは冷たく呼びかける。

「……ちょっと待ちなさい、キョン?」
「!?」

 ギクリとキョンがこちらを見るのも気にせず、あたしは追及するの。

「あんた、前回の試験の時さ、あたしが勉強見てあげようか?って言ったら……自分で遣るから大丈夫って言ったわよねぇ?」
「……あー、そうだったか?」
「おっほっほ、言ったわ。えぇ、言いましたとも!! それなのに、ふふっ、何ですって? ……試験範囲が終わらなかったぁ!? あはは、だからあんなに点数が良くなかったのねぇ……?」

 あたしは満面の笑顔でキョンを見詰める。
 我ながら極上笑顔なんだけど、勿論、その裏側でこれまた極上般若顔。
 
 人がこんなに心配しているのに、この男は……今直ぐにでも私刑にしてやろうかしら? 

とあたしが物騒な事を考えていると、どーやらキョンもそれを感じ取ったらしく、盛大に冷や汗を掻き出した。

「あ、いや、待て、待ってくれ、ハルヒ!? あ、あのな、これは人の性と言うか、まぁそんな感じでだな……こ、古泉もそう言う事があるだろ!? な? あるよな?」
「いえ、申し訳ありませんが全く。と言うよりですね、特進に相応しい成績を維持出来ないと、色々と問題が有りまして……」

とキョンが泡喰って話を振ったにも係わらず、古泉君は肩を竦めてあっさりとそれを弾き返した。
 その反応に絶句しているキョンに対して、あたしは武士の情けとばかりに、キッチリと止めを刺してあげるの。キョンを睨み付けたまま、あたしはアップルパイを凝視している有希に問い掛ける。

「有希もそーゆー事はしないわよね?」
「しない」
「ほら、御覧なさい!! 何だかんだと言いながら、みくるちゃんは成績きちんと維持してるのよ? SOS団の中で真面目に勉学に励んでいないの、あんただけじゃないっ。全く、1番成績がヤバいクセに……」
「あ、いや、まぁなんだ……長門に聞くのは反則と言うか、例外扱いにして欲しいと言うか、あー、そんな感じなんだが?」

と何だか訳の判らない事を言い出したキョンを無視して、あたしは最後通告を突き付けた。
「まだ言い張る訳!? このバカキョンッ」
 あたしはバシンと机を激しく叩いた。
 みくるちゃんがビビクンと身体を竦めるのを、殊更無視するあたし。

「……ふぅぅぅ。あんたがどれだけ危機意識を持ってないのか理解したわ。でもね……大学入試は直ぐ其処まで迫ってるのよ!! あんた、それ判ってるの!?」
「あー、いや。全くお説御尤もなんだが……」
「うっさい!! 全くキョンはノンビリし過ぎよ。でも……うん、そうよねっ、団員の生活管理責任者は団長だもんね。あたしがしっかりすればイイのよね!!」

とあたしは握り拳をギュギュッと握り締めた。
 「いやな、ハルヒ? そんなに気張らなくてもだな……」とか何とか、キョンが汗を掻き掻き言ってたけど、あたしは華麗にスルーする。
「うん!! だから、次回からはジックリタップリバッチリビッシリとスパルタ教育で、初歩の初歩から知識を叩き込んであげるんだからね!!」
 あたしはズビシとキョンに指を突き付けた。
 訓練が終わったら、その日からでもスパルタ教育を始める気満々のあたしだった。
「ぐっ……いや、あのな、ハルヒ?」
「言い訳弁解申し開きの類は……全ぇぇ部却下!! 聞いて欲しかったら、先ずはしっかりとした成績を残しなさいっ」

 そんな感じであたしがキョンを論破し終わると同時に、アップルパイを凝視しっ放しだった有希が小さく呟いた。
「時間は有限。早急にアップルパイを食すべき」
 そのお預けを喰らっている犬が哀しげにクーン……と鳴く様な口調であたしはハッと我に返る。
 何気に有希を見ると、丁度溜まりに溜まった唾を飲み込んだところだった。
「ジュルリ……ゴクン」
 ……有希ってば、そんなにアップルパイを食べたいの? とわたしは苦笑し、みくるちゃんも慌てて切り分けたパイを紙皿に載せていく。
「切り分け終わりましたから、皆さん、どうぞ」
「……キョンの処罰は後日に決定するとして、今はみくるちゃん特性パイを味わいましょう」
 あたしの宣言を聞きホッとした表情を浮かべて、みくるちゃんはキョンに皿を手渡す。
「はい、キョン君。上手く焼けたか自信が無いんだけど……」
「安心して下さい、朝比奈さん。口の方をバッチリと合わせますから」
とキョンは似合わない台詞を笑顔で口にした。
 あたしには1度も見せた事が無い優しげな笑顔だった。
 
 全く、みくるちゃんにだけは優しいんだから、このエロキョンは……。

 あたしはそんな2人の遣り取りに少々苛付きながら、今週始めのアノ場面を思い出していた。
 あれもこの2人だけでの遣り取りだったわよね……。

*****

 あれは……あたしがSOS団の危機に気が付いてしまったのが、事の始まりだったわ。
 そして、その時のあたしは内心こんな事を考えていたの。

 “イザ鎌倉って場合、人はそれまで培った努力に見合う事しか出来ないの。だから日頃の訓練や練習が凄く大事な訳。
 それが危険な事であればあるだけ、その重要性は増していくわ。だって、遣った事も無い事を、さぁ今直ぐ遣りなさいって云われたって出来ないでしょ? 残念だけど、それは如何なあたしが見込んだ団員と言っても例外ではないわ。
 そーなのよ、だからね……。”

 そんな考えに背中を押されて、あたしはヒョイッと団長机に飛び乗り元気に宣言した。

「これから第1回SOS団暴漢撃退訓練を行います!!」

 皆があたしに注目するのを確認して、その真意を説明したわ。
 呆気に取られている団員達に、さっき気が付いてしまった真実を解説するあたし。
 今の日本の治安が如何に危険か、そして、如何にあたし達が超巨大極悪秘密結社に狙われているかを、丁寧に時間を掛けて説明してあげた。
 すると、みくるちゃんが身体を竦めて恐々呟いく。
「ひっ……わ、わたし達、ね、狙われてるんですかぁ?」
「いい事、みくるちゃん……これは正義の味方の宿命なの。でも、その悪の脅威に打ち勝ってこそ正義の味方だって胸を張れるんだからっ。そうよ、地球の平和はあたし達の双肩に掛かってると言っても過言ではないわ!!」
 あたしが得々と解説してあげると、みくるちゃんは益々怯えて身体を震わせ始めたわ。
 泣きべそを掻きそうになっている彼女を励ます様に頷きつつ、でもあたしは冷徹に言い放つの。
「あたし達SOS団は何人にも後れを取っちゃダメなんだからね、悪人に負けるなんて以っての外よ!! それはみくるちゃん、貴方でも例外には出来ないわ」
「こ、怖いですぅ……」
 本気で怯えるみくるちゃんを見詰めていたキョンが、古泉君と一瞬視線を交わしてからあたしに声を掛けてきたわ。
「あー、まぁ、何だ。俺達が何時から正義の味方になったかって言うのは脇に置いといてだな……何をするって? 撃退訓練だと?」
 だからさっきからそー言ってるじゃないの、バカキョン!! ホントにあんたは人の話しを聞いてたの?
 理解力と想像力の欠けているキョンに懇々と説明をしてあげるあたし。
 無能な部下と雖も無下に扱わないのは流石だわと自分を褒めつつ教え諭すように。
 暫くあたしの演説が一頻り続き、最終的にキョンが難しい顔をして再度確認。
「つまり俺達が狙われた場合、防御に回るんじゃなく、反対に攻撃して撃退しようと……そう言う訳なんだな?」
「だーかーらー、さっきから何回もそー説明してるでしょうが!!」
 その後も、「いいから聞きなさいよ、バカキョン!!」「やれやれ……ちょっと待てハルヒ」って、何時もと変わらない遣り取りを暫く続け、フトした事から訓練はサバイバルゲーム形式で遣る事に決まったわ。
 でも、その後も事有る毎にキョンはあたしに楯突き苦言を呈するの。

 ホントに呆れちゃう位に一々五月蝿い男ね!! 偶には「流石はハルヒだな」とか「可愛いよ、ハルヒ」とか「綺麗だよ、ハルヒ」とか正直に褒めなさいよっ。
 本気で素直じゃないんだから!!

 そんな気分のまま、あたしはキョンに語り掛ける。
「あんた、ホントに細かい事に拘るわねぇ……そんなに器が小さいと将来困るわよ?」 
「ほっとけ。これは俺の性分だし、更に言えば今のままでも一向に困らん」
「折角、団長が哀れな雑用を気にして“小さいと困るわよ?”って忠告してあげてるのに、バカキョン!!」
 何時もの事だけど、あたしの優しさは全く理解して貰えなかったわ。

 何さバカキョン!!

と内心プリプリしていると、何故かみくるちゃんが意味深にテレテレしつつ、あたしとキョンをチラリチラリと横目で確認し出したの。

 本人はバレない様にしている心算みたいだけどさ、御免、丸判りなんだけど? 

 そして、「どーしたの、みくるちゃん?」ってあたしが声を掛けようとしたその瞬間、みくるちゃんは1人決然と頷いたかと思うと、あたしをチラチラ見ながらキョンへとトテトテ近付いた。
 機先を制せられ「一体何事かしら?」って呆気に取られて見詰めるあたしの前で、みくるちゃんはキョンとヒソヒソ内緒話を始めるの。
 
 ……何よ、あたしに聞かせられない話って訳? 何だか除け者にされているみたいだし、2人だけの空間って感じで気分が悪いわね!!

 何故か苛々が募っていくのを自覚しつつ、でも、その2人に文句を言うのは何だか嫉妬しているみたいで、それも嫌だわって微妙な気持ちになっていく。
 そんな複雑な思いに包まれているあたしをそっちのけにして、突如キョンがワタワタし出したの。
 珍しく大慌てでパイプ椅子から立ち上がり、みくるちゃんの肩をがっしり掴んで大声を出す。

「ま、待ってくださいっ、朝比奈さん!? あー、あのですね、えーとその、い、言い難いんですが、ハルヒの奴が言った小さいってのは人間性の事で……」
「え? に、人間性? ……あ、やだ、嘘ぉ」

 みくるちゃんはキョンの指摘で何かを気が付いたのか、真っ赤になってキョンを見詰め、そんなみくるちゃんをキョンも困った表情で見詰め返していたわ。
 全くその遣り取りが理解出来ず、でも、何気に2人だけの世界を形作る意味深な雰囲気のお陰で、我慢の限界はあっさり突破された。

 ちょっと!! 神聖な部室で何を遣ろうとしているのかしら!? そんな不埒な振る舞いを許す訳にはいかないわっ。
 みくるちゃんは兎も角、エロキョンには、これでもかって罰を与えてやるんだからね!!

 不埒な振る舞いとやらがどんな物か全然判らない癖に、そんな思いに突き動かされあたしは盛大に息を吸い込んだ。
 勿論、これでもかと文句を叩きつけるために。
 そんなあたしをギョッとした表情で確認したみくるちゃんは、真っ赤な顔のまま、
「ご、御免なさい!! わたし顔を洗ってきます!!」
と言い残しキョンを突き飛ばしたかと思うと、ドアも閉めずに勢い良く部室から飛び出しちゃったわ。
「あ……ちょ、ちょっとみくるちゃん!?」
 あたしは訳が判らず、当事者のキョンに事情を聞こうとしたんだけど、キョンはキョンでこれまた呆然と扉を眺めていたりするの。
 何であんたまで惚けているのよ?って思いながら、「キョン? 今の遣り取りの一部始終を説明しなさい」と命令しようとしたわ。当然でしょ? 
 でも、キョンの本気で困っている顔を目にして、「どーしようかしら?」ってちょっぴり逡巡したその瞬間、タイミング良く話し掛けてきた古泉君の提案を聞き、あたしの興味は訓練の方へと移行した。
 それでね、みくるちゃんの件はキョンも説明し辛いって言ってるし……まぁ、許してあげなくも無いわって感じで流してあげる事にしたの。
 何て優しいんでしょ、あたしったら!!

*****

「…………」
 あの時の情景を思い返し、それだけで不機嫌になっちゃったあたしは、美味しそうにパイを頬張るキョンへと語り掛けていた。

「相変わらず、みくるちゃんと話す時は嬉しそうじゃない、あんた?」
「モグモグ……何の……ムグ……事だ?」

 本気で訳判らんって顔付きでキョンに尋ね返された。
 普段通りのその飾らない雰囲気が、「お前の考えは邪推にしか過ぎないぞ」と指摘しているみたいに感じられる。
 独り相撲をとっている錯覚があたしを襲った。
 思いっきり気恥ずかしくなっちゃう。
 思わず顔を紅くしながら、でも冷静さを装ってアップルパイを口に放り込んだ。
 そしてソッポを向いて一言ポツリ。

「あむ……別に……ムグムグ……何でも無いわよ」
「そうかい……」

とキョンも小さく呟いた。
 あたしは心の中で返事を返すの。

 そ、そうよ!! フンッ……あんた何か、ホントに全然全く関係無いし、気にもならないんだから!!

*****

 そして、月日は流れ、待ちに待った訓練当日の日曜日。
 気持ち良く晴れてくれた事に感謝しつつ、あたしは部室へと鼻歌混じりに向かっていた。
 少し遅刻かもねとペロリと舌を出しながら、内心で言い訳をするあたし。
 だってさ、皆のエアガンとシューティンググラスをそれぞれの教室に隠すのに、今の今まで掛かっちゃったんだもん。仕方が無いわよねっ。
 
 それに、昨日の出会いとあの会話!! 
 その記憶があたしを有頂天にさせてくれる。

「フンフフーン♪ ンンンー♪」
 そして、飛び跳ねる様に階段を登り切り、浮かれる気分に任せて部室の扉をドカンと元気良く開け放つ。
「遅れてごめーん、皆、おっ待たせ!!」
 我ながら満面の笑みだわと思いながら団長席へと歩を進める。
 これから楽しい訓練が始まるわ!!
って思うと、お腹の底から歓喜の波が次から次へと襲い掛かってくるの。
 そんな気分に身を任せ部室をグルリと見渡す。
 団長席からの眺めは何時も通りだった。
 有希は窓際で読書。キョンと古泉君は長机でバックギャモン。みくるちゃんはメイド服でお茶の準備をしていた。
 うん、皆何時も通りで……ってみくるちゃん!?

「ちょ、ちょっとみくるちゃん? 何でメイド服なのよ?」
「え? へ、変ですか? ふ、普段通りってお話だったんで着替えたんですけど……」
「そんな格好でサバゲー……」

と言い掛けて、でも、あたしは思い直す。
 
 そーか、みくるちゃんの普段通りの格好って言うとメイド服よねぇ……。うん、流石はみくるちゃん、萌えキャラ街道一直線じゃないっ。

「そーよね、みくるちゃんと言えばメイド服。メイド服と言えばみくるちゃんだもんね。うん、その格好で問題ないわ!!」
「よ、よかったぁ……また、ドジをしちゃったのかと思いましたぁ」

 傍から見ててもホッとしたのが判る程、大きな安堵の溜息を吐き、みくるちゃんはニッコリと微笑む。
 その笑顔に心を癒されながら、あたしは「じゃあ、訓練を開始するわよ!!」と元気に宣言した。
 でも、キョンはその宣言に慌てたらしい。
 「エアガンはどうするんだ?」とか何とかあたしに聞いてきたけど、「そんなの、各自で回収するに決まってるでしょ?」と言い捨ててキョンを部室から追い出すあたし。

 全く一から十まで、あたしが教えてあげないといけないのかしら? そんなんだから成績が伸びないのよ、キョンはさ。

と考えながら、でも、あの慌てぶりを思い出し、あたしは思わずガッツポーズ。
 将に為て遣ったりだった。
 最初に追い出したキョンに続いて、古泉君を頑張ってねと送り出す。
 次はみくるちゃんの番なんだけど、目茶苦茶緊張しているのが伝わってきた。
 そんなみくるちゃんを励ます様に、あたしは元気一杯に声を掛ける。

「それじゃあ、みくるちゃんの番ね!!」
「が、頑張りますぅぅ……」

 そんなあたしの気遣いにも係わらず、みくるちゃんは今にも泣き出しそうな雰囲気だった。
 ギュッとエプロンを握り締めて震えているその様子が、何やら初舞台を間近に控えた新人女優っぽくて微笑ましい。

「ほらほら、そんな泣きそうな顔をしないの。萌えマスコットキャラはいっつも笑顔じゃなきゃ!! ……でも、無理しちゃダメよ? 本当に怪我だけには気を付けてね、みくるちゃん?」
「は、はい……」
「本当はみくるちゃんにこんな事させたくは無いんだけど、でも、あたしはみくるちゃんのために鬼になってるんだからね?」

と言い含める様にみくるちゃんに話し掛ける。
 でも、その緊張しまくっているみくるちゃんの硬い笑顔が、あたしを徐々に心配にさせていった。

 ……ホントに大丈夫かなぁ? 何処かで転んだり怖くて泣いちゃったりしないでね、みくるちゃん?

 “初めての御遣い”に出向く幼い愛娘を見送る母親じみた心境で、あたしはみくるちゃんを送り出した。

*****

 何故か部室に居た有希にエアガンやその他諸々を修理して貰ってから、あたしは意気揚々と不審者役に復帰した。
 有希から手渡されたガンベルトを巻き付けて、気分は将にランボ●だわ。
「さぁ♪ 出発だ♪ 今♪ 日が昇る♪」
と懐かしい歌を口遊みながら部室を飛び出すあたし。
 そして、その勢いのまま1階に降りて校舎へ飛び込んだ。
 
 次なる標的はみくるちゃんにしようかしら? 古泉君にしようかしら? 迷っちゃうわ……。

 実はあたしってば、この訓練を通してみくるちゃんに自信を付けて欲しいなぁって思っているの。
 あの子に足りないのは、どー考えても自分に対する自信だもん。だから、みくるちゃんを見付けた時には、態と無防備な状態で佇む心算だった。
 その時の状況を想像し思い描いてみるあたし。

 スッタカスッタカ廊下を歩くあたしの背後で、
「す、涼宮さん!! 御免なさい!!」
と叫んで、柱の影から飛び出すみくるちゃん。
 そして、決然とあたしにエアガンを向け、可愛らしく「えいっえいっ」と引き金を引くの。
 振り向きながら「やるじゃない、みくるちゃん!!」と褒めようとしてあたしは口篭った。
 だってあたしに掠る事すらなく、全部のBB弾が見当違いな方向へと飛んでいくんだもん。
 あたしは呆れた口調でみくるちゃんに語り掛ける。

「……あのね、みくるちゃん? 目を瞑ってたら、当たるものも当たらないわよ?」
「だ、だってぇ……怖いんですよぅ」

 あたしは想像上の出来事にも係わらず、みくるちゃんらしいと噴出してしまった。

 ホント、可愛いわね、みくるちゃんは!! ん? でも、これじゃ自信を付けさせる事が出来ないじゃないのっ。

と勝手に呆れ返っていたその時の事だった。
 左前方の階段から、
「きゃあ!?」
と可愛らしい悲鳴が聞こえたかと思うと、ガンッゴンッと壁にぶつかりながら小さなエアガンが廊下へと降って来たの。
 それはそのままカラカラと廊下を滑り、あたしの足元で止まった。
 何処から見てもみくるちゃんのエアガンだった。
「…………」
 あたしが呆気に取られて、そのエアガンと階段を交互に見詰めていると、止めとばかりに1階と2階の間にある踊り場から、「ふみゅー」って愛くるしい愛玩動物じみた呟きが聞こえたの。

 ……どー考えてもみくるちゃんの声だった。
 確認するまでも無い。
 
 多分、ドジッ娘属性を発動しちゃって、スッテンって転んだに違いないわ。
 ……もう、あたしの「みくるちゃんに自信を付けさせちゃおう」計画がオジャンじゃないの。
 キョンなら「やれやれ」って呟いているところよ?

 そんな気分のまま階段真下まで歩を進めてから声を掛ける。

「……みくるちゃん?」
「はい?」

 その問い掛けに反応して、あたしへと顔を向けるみくるちゃんは、想像通り踊り場にペタリと座り込んで半ベソを掻いていた。

 呆れちゃう位に予想通り……。
 これで怪我が酷かったら、あたし、何一つ対策を立てなかった自分を許せそうに無いわね。
 あたしは内心湧き上がる黒い感情を押し殺しながら、ゆっくりと階段を登り始めた。

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  1. 2000/01/01(土) 00:00:00|
  2.  SOS団は狙われてるんだからね!!
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