女神様の絵本箱

「涼宮ハルヒの憂鬱」の二次創作小説ブログです♪ 基本甘々ハルキョンキョンハルメインです(^▽^)/ 先ずはSSリストよりどうぞなのです

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SOS団は狙われてるんだからね!!④(ハルハル視点)

SOS団は狙われてるんだからね!!


・粗筋:何だかんだで優しいハルヒさんです。


*****


「続きを読む」からは ……

 仄かにホンワカ副々団長編 ④:【かぐや姫はね、お月様から来たのよ?】

……になりまーす(^▽^)/



*****

 みくるちゃんの傍に跪き、その膝に出来た擦り傷をハンカチで拭ってあげるあたし。
 見た目以上に出血は酷くは無くて、あたしは内心本気でほっとした。
 念のために止血目的でハンカチを巻き付けておく。
 何時もの様に気を遣って「ハンカチが汚れちゃうから」と、その応急処置すら断ろうとするみくるちゃんを、怖い顔で睨み付けあたしは一言。
「あたしが考えたイベントで怪我させちゃったんだし、コレ位当然なのっ、だからみくるちゃんは気にしなくていいんだからね!!」  
 みくるちゃんは涙目になりながらもコクコクと頷いた。
 あたしはそんなみくるちゃんに優しく確認する。

「はい。これで応急手当は終わり!! ……他に痛いとこない? みくるちゃん?」
「あ、はい……大丈夫です」
「……それじゃ、部室に行くわよ、みくるちゃん。しっかりと処置しなきゃ黴菌が入っちゃってるかもしれないしね」

と声を掛けながら、あたしはみくるちゃんの手を取って立たせてあげるの。
「え? 大丈夫ですよぉ。ちょっと膝を擦っただけですから1人で……」
 なんて事を言いながらみくるちゃんはパタパタと手を振った。
 そんな愛くるしい動作にポワワンとしちゃう所だったけど、あたしは団長の威厳を最大限に発揮しつつ、ちょっと大袈裟にみくるちゃんを脅す。

「ダメッ!! そーやって擦り傷を甘く見て年間何千人の人が亡くなってると思ってるの、みくるちゃん!? あたしは大切な団員をそんな目に合わす心算は全く無いんだからね!!」
「……わ、判りました」

とみくるちゃんは素直に頷いた。そして、あたしに手を引かれてトテトテと後ろを付いてくる。
 ゆっくりゆっくり部室へと向かうあたし達。
 でも、あたしは自分を密かに責めていた。
 
 みくるちゃんは、メイド服のスカートに引っかかって転んだって言ってたわね。……良く考えれば、メイド服なんて動き辛い服を着せたまま、こんな訓練に駆り出しちゃったのは、あたしの先見の明の無さの証左よね。おっとりタイプのみくるちゃんが、転んじゃうのは規定事項といっても過言ではなかったかも。

 考えれば考える程、己の迂闊さが許せなくなってきた。
 成る程、これが赤い人が言ってた「若さ故の過ち」ってヤツなのね……。

とギリギリと奥歯を噛み締め屈辱感に耐えていると、みくるちゃんが心配そうに声を掛けてくる。

「す、涼宮さん? どうかしました?」
「守ってあげるって言っておきながら、みくるちゃんにこんな怪我をさせた自分が許せなくて……」

とあたしは素直に告白したんだけど、何故かその一言でみくるちゃんが大慌て。
 「ドジなわたしがいけないんです」とか「涼宮さんのせいじゃないですから、気にしないで下さい」とか気を遣ってくれるみくるちゃんにあたしは感謝しながら、でも、気を遣わせちゃってるわ……って更に落ち込んでいくの。
 そんなあたしの様子にオロオロし、一生懸命フォローをしてたみくるちゃんは——突然何かを思い付いたらしい——突然顔を輝かせてあたしに提案してきたわ。

「あっ、じゃあ、涼宮さん? 女の子だけで取って置きのアップルパイ食べちゃいましょうか?」
「えっ? アップルパイって……一昨日、キョンと古泉君が食べ残したヤツ?」
「はい。実はあの後、お2人がですね、残りは女性陣でどうぞって言ってくれたんですよー」
 あたしが無言でみくるちゃんを見詰めると、その視線に答える様に「部室でパイを食べてお話しましょう」「甘い物を食べて気分転換しましょう」ってみくるちゃんは一生懸命力説するの。
 その懸命さがあたしの中の暗い感情を溶かしてくれた。
 これで何度目の事だろう、みくるちゃんの言動で癒されるのは……。
 自然と笑みが零れ、あたしは素直に感謝の言葉を口にする。

「御免ね、みくるちゃん……何だか気を遣わせちゃって」
「い、いいんですっ……わたしも涼宮さんから一杯色んな物貰ってるんですから」

 パタパタと可愛らしく両手を振り振りみくるちゃんは照れ笑い。
 その愛くるしさといったら!! 
 その可愛らしさといったら!!
 もう、我慢出来ないっ。
 あたしは心から溢れ出る激情に身を任せ、みくるちゃんに抱きついた。力一杯抱き締めて大きな声を出すあたし。

「もう、何でみくるちゃんはこんなに可愛いの!?」
「むぎゅ……す、涼宮さぁん……く、苦しいですぅ」

 あたしの腕の中で、みくるちゃんがワタワタしながら悲鳴を上げていたけど、あたしは更に力を込めて抱き締めた。

 ホントに可愛いんだから、みくるちゃんは!! 

 そんな想いを無意識のうちに言葉に変換し、あたしは元気に宣言するの。

「安心して、みくるちゃん!! あたし、誓っちゃうんだからっ、みくるちゃんがお月様に帰るまでシッカリキッカリ守ってあげるって……ううん、何処に居ても守ってあげるわ!!」
「あ、有難う……ござ……い、ま……す!?」

 その宣言を聞いた直後、みくるちゃんは何故かあたしの腕の中で身体を硬直させ絶句した。

「??? どしたの……みくるちゃん?」

ってあたしの問い掛けにも答えず、みくるちゃんは身体を痙攣させる。そして、行き成りフニャフニャと脱力したかと思うと、ペタリとへたり込んで「ふみぃぃ……」と泣き出した。
 あたしは訳が判らず、座り込んだみくるちゃんの傍に跪く。
「ちょ、ちょっと、みくるちゃん? 行き成りどーしたの? 若しかして何処か痛い?」
 その可愛らしい顔を覗き込んで問い掛けながら、泣きじゃくるみくるちゃんが幼子の様に感じられ、あたしはイイ子イイ子と頭を撫でてあげたわ。

 これで落ち着いてくれればいいんだけど……。

 泣き出した理由が判らないままあたしはみくるちゃんを慰めるの。
 そんなあたしの気持ちが通じたのか、みくるちゃんはしゃくりあげつつあたしに質問する。

「しゅ、涼宮しゃん……グス、い、一体……ふぇ……どうじて、月の事を?」
「え、月?」
「はい、月……クスン……わだし何で……グス……月に」

 どーしてこのタイミングで月の事を聞くのか、さっぱり理解出来ずにあたしは心配している事だけを訪ねた。
「えっと……何処か痛いわけじゃないのね?」
 みくるちゃんはコクリ。
「痛いの我慢してない?」
 みくるちゃんは再度コクリ。
 あたしは数回同じ質問を繰り返し、その度にみくるちゃんは幼子の如くコクリコクリと頷いた。
 どーやら怪我が痛いとかじゃ無さそうだと判断しホッと一安心。
 あたしは優しく「みくるちゃん?」と呼び掛ける。
 みくるちゃんは涙に濡れた顔を上げて、あたしを見てくれた。
 どーにか泣き止んでくれたみたい……とあたしは再び安心する。
 思わず笑顔になっちゃうあたしに釣られて、みくるちゃんも笑顔になった。
「もうビックリしたわ。んとさ、みくるちゃんが何を気にして泣き出したか知らないけど……」
とあたしは立ち上がりながら、みくるちゃんに手を差し伸べた。序に質問する。
「みくるちゃんだって知ってるでしょ?」
 あたしの何気ない質問に対し、みくるちゃんは何故かビビクンと身体を震わせ、「な、何をでしょう?」と恐る恐る問い返す。
 そんな挙動不審な態度を気に止めず、あたしはニパッと笑いながら自信満々に断言する。

「かぐや姫はね、お月様から来たのよ?」
「……ほへ?」
「そう、かぐや姫!! あたしね、以前からみくるちゃんってかぐや姫なんだって思ってるの」
「……はぁ」

 何やら呆気に取られているみくるちゃん。あたしはそんな雰囲気を無視して言葉を続けるの。

「こんなに可愛い女の子が只の人間である筈無いもんね!! だから、あたしにはピピンと来ちゃったの、きっとみくるちゃんは妖精か若しくはそれに準ずる何かだって。そして辿り着いた結論が……」

 あたしはそこで言葉を区切り、ズビシと指を窓の外に突き付ける。
 あたしの指先には青空に浮かぶお月様が微かに見えた。
 その勢いに釣られてなのか、みくるちゃんも窓の外へと視線を動かす。
 そして、それと時を同じくして、あたしは元気一杯に言い切るの。

「……何時かお月様に帰っちゃうかぐや姫!!」

 あたしの説明を呆然と聞いていたみくるちゃんは暫く俯いて考え込んだ。
 そして、何やら心配事が雲散霧消したらしい、突然大きく溜息を吐き、「よ、よかったですぅぅ……」と満面の笑顔を浮かべる。
 何が良かったのか、これまた良く判らないまま、あたしも釣られてニパッと笑顔。

「あはっ。うん、やっぱり、みくるちゃんは笑顔じゃないと」
「え、えっと……すいません、何だか心配掛けちゃって」

と幾度も頭を下げるみくるちゃん。
 あたしは晴々とした笑みを浮かべてみくるちゃんの手を取った。

「それよりも、早く部室に行って手当てしちゃいましょ」
「は、はい!!」

*****

 部室に駆け込んだあたしは、みくるちゃんを問答無用でパイプ椅子に座らせた。

「はい、みくるちゃんは此処に座って!!」
「は、はい」

と戸惑いつつも、チョコンと素直に腰掛けるみくるちゃん。
 あたしはみくるちゃん愛用の薬箱を手に取り、そして、「何事?」って感じで、窓際の指定席からジッとこちらを見ている有希に声を掛ける。

「有希も手伝って頂戴」
「了解した」

 先程と違って何時も通りの冷静さで返答してから、有希は読み掛けの本に栞を挟んでからスッと立ち上がった。
 その様子をドギマギしながら見ていたみくるちゃんは、オッカナビックリあたしに声を掛ける。

「あの……す、涼宮さん? いい一体何が……は、始まるんでしょう?」
「安心して、みくるちゃん!! あたしと有希で、完全万全に治療してあげるからっ」
「い、いえ、本当に大丈夫だと思うんですけど……」

とか何とか、小さな声で呟くみくるちゃんを無視して、あたしは有希に事情を話した。


「……と言う訳なの。協力してくれるわよね、有希?」
「任せて。情報操作は得意」

と自信満々に頷く有希を尻目に、みくるちゃんは顔を引き攣らせて「ぴぃっ!?」と小さく叫んだ。
「じょ、情報操作!? あ、あのー、そんなに大袈裟な事にしなくてもいいんじゃないかなぁって……」
とまるで低学年小学生が苦手科目の授業中に手を上げる感じで、オズオズ片手を上げ提案するみくるちゃんだった。
 勿論、あたしは怖い顔で駄目出しをする。
「ダメよ、みくるちゃん!! 若しその擦り傷切り傷が原因で、重篤な後遺症が残ったらどーするの!? その柔肌に一生モノの傷跡でも残ったらどーするの!?」
 あたしの迫力に圧倒されたのか、みくるちゃんはコクコクと小さく頷いた。
 そして、縋る様な視線を有希へと向ける。
 その涙目の視線に答える様に有希もコクリ。

「任せて。想定される全ての不具合を完全除去する」
「い、いえ。そう言う心配をしてる訳じゃないんですけど……」

 シドロモドロに自己主張するみくるちゃんを、あたしは一喝して黙らせた。
「はい!! 議論はコレで終わり。さぁ、有希、協力して一気に終わらせるわよ!!」
とあたしは元気一杯に宣言する。
 ソレに対する反応は全く異なるものだった。「了解した」って自信満々に頷く有希は兎も角、「ふにゅう……」って諦観気味に俯くみくるちゃんは何を心配しているのやら。
 みくるちゃんの心配事がサッパリ判らず、「折角、完璧な治療をしてあげるって言ってるのに」と小首を傾げつつも、あたしは救急箱片手にみくるちゃんの傍らに歩み寄った。

*****

 そして、みくるちゃんの治療はものの数分で恙無く無事終了。
 有希がメイド服のスカートに関心を示し、みくるちゃんをオロオロさせた以外気になる事は無くホントに拍子抜け。
 その有希が「常在菌も規定量以下。後遺症等の恐れは皆無」って太鼓判を押してくれたので、あたしも一安心。
 万が一、みくるちゃんに何かあったら、「団長として責任取らないといけないわね」と覚悟をしていたから、何だか心地良い脱力感に包まれちゃうの。
 
 そんな感じでマッタリとした雰囲気の中、みくるちゃんが鼻歌交じりでお茶の準備をしていた。
 治療が無事に終わった事がそんなに嬉しいのか、さっきまであれ程ビククンってしてたのが嘘みたいなイイ笑顔だった。
 冷蔵庫に仕舞ってあったアップルパイは、既に綺麗に切り分けられて長机に並べられているの。
 実は正直に白状すると、みくるちゃんが急須に手を伸ばした瞬間、あたしはドギマギしちゃってたわ。バレちゃったらどーしようって。でも、みくるちゃんは気が付く事無く、普段通り手際よくお茶の準備をしていくの。
 
 流石は有希ね……あんだけ粉々だったのに、お湯も漏れてないし、みくるちゃんも違和感無く使ってるわ。

 あたしはホッと一安心して、共犯者でもある有希の表情を伺った。
 その有希は、一昨日同様、まるで成分分析するが如くパイを凝視してて、みくるちゃんの言動には無頓着。
 ……有希? 瞬き位しないとドライアイになっちゃうわよ?
と内心心配していると、「お待たせしましたぁ」とみくるちゃんがお茶を配り終え席に着いた。
 湯飲みから立ち上がる紅茶の香りが心を落ち着かせてくれる。
 あたしは1口紅茶を口に含んだ。
 仄かに甘い液体が口内に広がる。
 
 うん、美味しい!! 流石はみくるちゃん、よくもまぁ、此処まで渋みを出さずに紅茶を淹れられるわね……。

 あたしはさっき自分が淹れたヤツと味を比べ密かに感心した。
 有希には「紅茶くらい淹れれるわよ」って豪語したけど、みくるちゃんのと比べちゃうと、ちょっと気恥ずかしくなっちゃうわ。
 そんなあたしの感想を聞き付けた様にみくるちゃんはニコニコ。
 周囲の人間をも幸せにしちゃう笑顔だった。
 あたしも釣られてニコリと微笑み湯飲みを長机に戻す。
 それぞれの前には、一昨日よりも小さなアップルパイが置かれている。
 多分、みくるちゃんでも3口程度で食べ終わっちゃうんじゃないかしら?
「それじゃ、キョン達には悪いけどオヤツにしましょう」
 待ち切れないと雰囲気で主張する有希に向かってあたしは深く頷きながら、ミニお茶会の開催を宣言した。

*****

 有希は1口、あたしは2口で、みくるちゃんは5口程でアップルパイを食べ終えた。
 ちょっと物足りないけど、でも残り物だしとあたしは納得する。
 そして、有希の部屋でのパジャマパーティちっくな雰囲気の中、暫し和気藹々と会話が弾む。

「あ、そーだ。みくるちゃん? 受験勉強捗ってる? 又、現実逃避してたりしてない?」
「え、えっと……だ、大丈夫です。昨日も鶴屋さんと勉強しましたし、今晩も約束しているんですよー」

 みくるちゃんは照れながらも、はっきりと返事を返してくれた。
 努力家のみくるちゃんがこーまで言い切るんだから、きっと大丈夫なんだわとあたしは嬉しくなっちゃう。

「うん!! あたし達も後から追い掛けるから大学で待っててね」
「が、頑張りますぅ」

 そーなの、あたしは大学に行っても皆とSOS団を続ける心算だった。
 いえ、ずっとずっと何時までも皆一緒なの。
 うん、すっごく楽しそうな未来予想図なんだけど、
 でもね、そのためには……。

「うーん、やっぱりネックはキョンよねぇ」
 あたしは顔を顰め腕組みをする。
 今のアイツの成績で、皆と同じ大学に進学ってのが高望みだってのはあたしも理解している。
 でも、だからといって、キョンに合わせる心算は皆無だった。
 そして、(誰にも言ってないけど)キョン無しのSOS団も有り得ないと思っているの。
 だったら残された手段はただ1つ。
 キョンの成績を急上昇させる事しかない。
 どれだけ抵抗されようともね。
 そのための各所に対する根回しは万事整ってるんだから!! 
と内心満足げに頷いていると、みくるちゃんが恐る恐るあたしに問い掛けてきた。

「え、えっとぉ……キョン君ってそんなに成績悪いんですか?」
「あたしより真面目に授業を聞いてるのに、いっつも赤点スレスレ。それで平然としてるんだから、心配するなって方が無理だと思わない、みくるちゃん!?」
「そうなんですか? でも、キョン君って機転が利くし、記憶力も良いし、頭の回転も凄く速いと思うんですけど?」

 小首を傾げ何かを思い出しつつ、みくるちゃんはポツリと呟いた。
 有希もその通りとシッカリ頷く。
 そんな2人を交互に眺めながら、あたしは問い掛ける。

「……何で、そー思うの、みくるちゃん?」
「ぴっ!? え、えっとぉ、そのぉ、色々キョン君には助けられたと言うか、頼りになると言うか……」

と何故かみくるちゃんはシドロモドロになったんだけど、そんなみくるちゃんを横目に有希もキョンの批評をしてくれ、それは凄くプラス評価だったりするの。
 詳しい事が全く判らないにも係わらず、そんな2人の飾らない態度に接して、何故かあたしは嬉しくなった。
 
 良く判らないけど、みくるちゃんも有希もキョンを頼りにしてくれてるのね。
 ……そう言えば、確か古泉君もキョンを稀有な人物ですってベタ褒めしてたわね。

 あたしだけじゃなく、全ての団員がキョンを評価していると確信した瞬間、すっごい多幸感に包まれた。
 まるで自分自身を褒められたみたいな感じ。
 でも、あたしはそれを必死で押し殺す。
 「キョンを褒めてくれて有難う」と思わず綻んじゃいそうな顔を敢て顰めつつ、勢い良くソッポを向いた。
 そして……、

「そーなの!! 皆の言う通りキョンってば頼りになるし遣れば出来る子なのよ? だから、アイツに必要なのは切っ掛けだと思うの。ソレさえあれば……」

とは言わず……、

「そ、そんな事無いわよ? 何っ時も文句しか言わないし、年がら年中気だるげだし、団活にだって非協力的だし。きっと、気のせいなんじゃないかしら?」

と意味も無く早口で、しかも全然関係無い事を口走っていた。
 そんなあたしを無言で見詰める有希とみくるちゃん。
 その意味深で生暖かい視線に我慢出来ず、あたしは剥れる。

「……な、何よ、その視線は?」
「ふふっ、いえ……そんなにキョン君の事が心配なんだなぁって。ちょっとキョン君が羨ましくなっちゃいましたぁ」

 何の衒いも無く微笑ましそうに呟くみくるちゃんに、あたしは脊髄反射で噛み付いた。
 顔が目茶苦茶熱いのは気のせいだと自己暗示を掛けながら。

「なっ!? 何で今の会話の流れでそー成る訳!? あたしはバカキョンがどーなろうと知らないんだからっ」
「……えっと、涼宮さん? キョン君が別の大学に行っても良いんですか? そうすると、キョン君がいないSOS団になっちゃいますよ?」
「ぐっ……」

 みくるちゃんに大上段から切り込まれ、不覚にもあたしは二の句が告げなかったわ。
 だってさ、それってば……あたしの1番の心配事なんだもん。
 それでも何かを言わなきゃ!!と、強迫観念に急かされていると、思いも掛けない人物からもキツイ一撃を喰らった。
 その人物とは有希の事。
 何時もの有希なら読書に集中してこの手の話は不干渉を貫くのに、今日に限って豪くこの話題に拘ってくれる。
 しかもツンデレがどーとか、恋愛がどーとか有希らしくない話題で。
 やっぱり今日の有希は変だわ……。
 そして、あたしがその衝撃から立ち直る前に、みくるちゃんから止めの一撃が繰り出され、それは見事、急所にクリティカルヒット。

「どーしたんですかぁ、涼宮さん? この前、相談された時はもっと正直だったと思うんですけどぉ……」
「み、みくるちゃんまで!? ……ちょ、ちょっとぉ!! な、何を言い出すの? そ、相談って何!? 正直って何の事よ!?」

 目茶苦茶パニクってるあたしとは対照的に、キョトンとした表情のままみくるちゃんはアッケラカンと返答しちゃうの。

「え? あれ? えっとぉ、先週、キョン君を素直にさせるにはどーしたらいいかしら?って……」
「!?」

 クラリと立ち眩みじみた眩暈を感じた。
 流石はみくるちゃん……国家機密以上に重要極まりない事実を、サラリと言われてあたしは絶句。
 その代わりに内心では饒舌になるあたし。

   あーん!! そ、そーじゃなくて、有希が居るでしょ、此処にはっ。だから、今その話題を出さないでって事で、それをどーして悟ってくれないのよ、みくるちゃん!! 

 案の定、有希がジットリとした視線をあたしに投げ掛けてくる。
 その視線が「詳細な説明を求める」と言いた気だった。
 みくるちゃんも「??? 訳が判りません」と言いた気に、キョトンとしたままあたしを見詰める。

「え、えっと、その……」
 何をどー説明すればこの場が収まるのか、あたしには見当が付けられなかった。
 無意識の内にその視線から逃げるべく、バシンと机を叩いて立ち上がる。と同時に、キョン以外には発動した事の無い団長権限を使用。

「も、もう、この件は終了!! え、えっと……い、以後話題にしちゃ駄目なんだからねっ。これは団長命令なんだから!!」

 あたしの絶叫によって部室は更に静かになった。
 でも……何かを察したらしく、「全部判ってますよー」的な微笑を浮かべるみくるちゃん。
 「ユニーク。これがツンデレの実例……」と言いた気に頷く有希。
 その2人の表情と視線から、何故か2人の内心の呟きを悟っちゃったあたしは全然動揺を鎮められなかった。
 相談しちゃったみくるちゃんは兎も角、有希にこれ以上知られる位なら死んだ方がマシかも。
 それに、団長としての立場もあるし、示しが付かないし……うん、適当な理由を付けて部室を逃げ出しましょう!!
 そう決心し、あたしはゴホンと偉そうな咳を1つ。
 そして、団長席へと移動しながら言い訳を開始。

「え、えっと、そうね……あたしはこれから、不審者役に復帰します。よーく考えたら、訓練終わってなかったのよね。うん、今は訓練が一番大切だしね!!」
「…………」

 そして、2人が何かを言い出す前に、止めとばかりにブッスリと釘を刺す。
 ……いい事? 団長を怒らすと怖いのよ? とそんな気持ちを込めつつ。

「そうだ!! 万が一、団長命令に従わない不届き者が居たとしたら……」

と態とそこで言葉を区切り、あたしはゆっくりと振り向いた。
 そして、菩薩の如き柔らかい笑みを浮かべる。
 そんなあたしの表情を見て、みくるちゃんがビクリと身体を振るわせた。

「……きっつい罰ゲームを受けて貰うわよ?」
「ば、罰ゲームですかぁ?」

 罰ゲームって単語だけで、既に涙目になったみくるちゃんがオドオドと鸚鵡返し。
 有希も物問いた気にあたしを見詰める。
 あたしは敢て淡々と返答を返した。

「そ、罰ゲーム。うーんと、例えばさ……」

とあたしは阿弥陀如来みたいな微笑を浮かべて、優しく例を提示する。
 
 2人にとって、到底我慢出来ないであろう事柄を……。

*****

 案の定、その発言にショックを受ける2人。
 勿論、大切な友人であるこの2人に、そんな事をさせる心算は毛頭無いんだけど、偶には団長の恐ろしさを教えちゃおうと、態と素っ気無く「いいアイデアだと思わない?」と反対に問い掛けた。
 
 その発言に真っ先に反応したのは有希だった。
 
 さっきの物分りの悪さは何だったのかしら?と思っちゃう位、有希はアッサリと白旗を掲げあたしの軍門に下ったの。
 処世術の達人も真っ青な身代わりの早さに、あたしの方が呆気に取られちゃう。
 そんな視線を受けて有希は「団長命令は絶対」と小さく呟いてコクッと頷いた。
 ……やっぱり、読書禁止ってのが利いたのかしら?と内心自問していると、みくるちゃんもオズオズと片手を上げて、あたしの注意を引く。

「す、涼宮さん? わたしも……」
 そのオドオドと発言するみくるちゃんを見ていると——有希があっさりと降伏しちゃったせいかしら——ちょっと意地悪したくなっちゃうあたしだった。
「あら、無理にとは言わないわよ、みくるちゃん? あたし、みくるちゃんの水着姿見たいし」
と態とツンツンした口調で言い捨てると、真っ赤な顔を真っ青にしてみくるちゃんはブンブンと激しく首を振った。
 そーなの、あたしがみくるちゃんに言った罰ゲームは「部室での水着着用の義務化」だった。
 あたしが発言した瞬間、みくるちゃんは「み、水着ですかぁ!?……い、嫌ですぅぅ」って大慌てしてたっけ。
 そーでしょうね、あたしだって部室で意味も無く水着になれって言われたら嫌だもん。
 況してや、みくるちゃんの様な女の子なら尚更。
 ま、ソレが判っているからこそ、みくるちゃんにはそれを申し渡したんだけど。

 ふふふ、何時もは優しい団長だけど、一旦怒らせると怖いんだって記憶に刻み込みなさい……。

と悪代官ちっくに北叟笑んでいると、あたしの脳裏でピピンと何かが閃いた。
「あっ、イイ事思い付いた。みくるちゃん? 水着はハイレグビキニタイプ限定で、色はアダルティに黒ね」
「!?」
 ビキッと身体を硬直させるみくるちゃんを横目に見ながら、そのビキニ姿を想像する。
 想像上のみくるちゃんはグラビアアイドルちっくな悩殺ポーズで流し目状態だった。
 そこからウィンクを1つ……思春期の男の子なら一発KO、将に清純と色気の完全なる融合。
 「あら、結構イイかも」と1人満足げに頷きながら、その現物を目の当たりにしたくて、
「みくるちゃん? 明日にでも水着買いに行きましょうか?」
と無意識の内にみくるちゃんを誘っていたあたしだった。

*****

 読書を再開していた有希の、
「朝比奈みくる。現時点で団長に抵抗するのは愚策。早急に全面降伏をすべき」
って呟きに従ったみくるちゃんが涙目&上目遣いにあたしを見遣り、
「だ、団長命令に従いますぅ。グスン、だ、だから、涼宮さぁん、み、水着は……」
と全面降伏するまでこのドタバタ騒動は続いた。
 何時の間にやらあたしはキョンがどーこーしたって言うよりも、みくるちゃんにどんなビキニを何処で着させようかなぁって、そっちに熱中していたの。
 でも、熱帯魚相手に悪戯してたら、勢い余ってその水槽に盛大に落っこちた挙句、自力で脱出出来ずに水に浸かったままミィミィと哀しげに助けを呼ぶ子猫……って感じのみくるちゃんに目茶苦茶憐憫の情を感じちゃったあたし。
 ちょっと調子に乗っちゃかしら? と反省しながら、
「いい事? みくるちゃん? 今回は見逃してあげるけど、今後、より一層団長を敬うのよ?」
とあたしは偉そうに説教をしちゃう。
 それをどー聞いたのか、安堵し切った極上笑顔をパァっと浮かべて、みくるちゃんは「判りましたぁ」「勿論ですぅ」と何度も頷いた。

 ……やっぱりみくるちゃんには笑顔が似合うわね!! 

と泣かしたのが誰だったか何て事を遥か彼方に投げ捨てて、あたしも自然と笑顔。
 有希も古書から顔を上げて、何となく嬉しそうにこちらを見ているのが印象的だった。
 お茶会開始時点の雰囲気を取り戻した部室にあたしは満足感を覚えた。
 一仕事終えた満足感から「ふう……」と盛大に溜息を吐いた直後、床に放置してあったエアガンが視界に飛び込んでくる。
「…………。あっ、いっけない!!」
 あたしは最も重要な任務を思い出した。
 認めたくは無いけど、本気ですっかり不審者役の事を失念していたあたし。
 
 で、でも、決してキョンや古泉君の事を忘れてた訳じゃないんだからね!!

と心の中で弁明。
 
 原因は全然判らないけどドタバタしちゃったのが悪いんだから!! 

と責任転換を試みながらあたしは慌てて出撃準備を整える。
 そして、それが完了すると同時にあたしは部室を飛び出した。
「不審者役、頑張ってくるわねっ。直ぐにキョンと古泉君を連れて来るから!! みくるちゃんはお茶の準備をお願いねっ」
と元気一杯に言い残して。
 そんな感じで、勢い良く廊下を駆け出したあたしの背中に、

「判りましたぁ。疲れが消えちゃう位すっごく美味しいお茶を、淹れておきますねぇ」

ってホンワカしたみくるちゃんの返事が届けられる。
 みくるちゃん特製のお茶を一気飲みし、満足げな溜息を吐いている自分を想像して、あたしは「それってば、最高のご褒美よ、みくるちゃん!!」と俄然ヤル気になっちゃうの。
 訓練をしっかりきっかり想定通りに終わらせて、勝利の美酒としたいわね!!

 だから覚悟しなさいっ。古泉君と、序にキョン!! 何だか、あたしってば、目茶苦茶ヤル気になっちゃってるんだからねっ。

 「不審者が勝ってどうする心算だ、お前は……」って誰かさんの呆れ返った呟きが聞こえた様な気がしたけど、そんなの今のあたしに通用しないんだからね、キョン!!


【Das Ende……】

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