女神様の絵本箱

「涼宮ハルヒの憂鬱」の二次創作小説ブログです♪ 基本甘々ハルキョンキョンハルメインです(^▽^)/ 先ずはSSリストよりどうぞなのです

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SOS団は狙われてるんだからね!!E(有希ちゃん視点)

SOS団は狙われてるんだからね!!


・粗筋:古泉君と同じく有希ちゃんも現実世界を守るために戦っているのです。


*****


「続きを読む」からは ……

 ほんのり過激な文芸部部長編 E:【当該対象の有機連結解除を実行する】

……になりまーす(^▽^)/


*****

 自ら機能を低下させ、能力を制限している事を悔いてはいない。
 寧ろ、それは誇り。
 何故なら私は……。

*****

 <第1回SOS団暴漢撃退訓練>と呼称される模擬戦当日。
 私達は自らが所属する教室への移動を命じられた。
 出発地点はSOS団部室。
 その部室に涼宮ハルヒの元気な声が木霊する。

「それじゃ、今から訓練準備開始―!!」
 彼、古泉一樹、朝比奈みくると順々に出発して行く。現在のところ恙無く訓練は進んでいると思われる。
 次は私の番だ。トテトテと扉に向かう私に涼宮ハルヒが声を掛けてきた。

「いい、有希? ホントはあたしが守ってあげたいところなんだけど、今回は自分で自分を守るのよ?」
「了解した」
「でもね? 若しかすると、この訓練を聞きつけて、超巨大極悪秘密結社が怪人を送り込んでるかもしれないわ……その時は遠慮せずにあたしを呼びなさい。怪人なんか返り討ちにしちゃうんだから!!」

 胸を張り元気良く宣言する涼宮ハルヒに対し、私はコクリと頷き了承の意を伝える。
 満面の笑顔で頷き返した涼宮ハルヒは、私の両肩を優しく掴んで念を押してきた。

「か弱い有希に、ホントはこんな事させたくないんだけど……でも、これも有希のためだからね?」
 何時の間にか、涼宮ハルヒの中で「長門有希=病弱な少女」と印象付けされているのは承知している。
 私は特に反論する事も無く、この気遣いに対しても静かに頷き、「では出発する」と告げ部室を後にした。

*****

 他の団員達も一様に教室へと向かっている事を観測しつつ、私も教室へと歩を進める。
 現段階では異常は見当たらない……と思念体に定時報告する直前の事であった。
 階段を登っている最中、涼宮ハルヒの精神的内圧が上限近くまで上昇していくのを感知。
 三秒間黙考。
 万が一を憂慮し観測範囲を近距離集中型へと変更する。
 更にその観測対象を北高敷地内に限定。
 そして、同時に第二警戒態勢へと移行し観測精度を上げた。
 次いで状況を分析。
 能力を制限しているとはいえ、少々の改変ならば喜緑江美里を筆頭とする同僚の助けを借りずとも、対処する事は可能との判断を下す。
 観測状態を持続させる事を上申。
 思念体も私の判断を了とした。
 しかし涼宮ハルヒの精神が此処まで高揚するのは久しぶりの事であった。
 記録を閲覧。
 日本人が黄金週間と呼称する連休以来、実に九十六日ぶりの事。
 察するに、涼宮ハルヒはこの教練を相当愉しみにしていたらしい。
 私個人としても、落ち込んでいる涼宮ハルヒを観測するより、余程有意義な事であると認識していた。何故なら自分でも認知出来ないうちにその精神状態に感化されていた事が、幾度と無く記録されているからだ。
 事実、現時点でも、私の内部にて説明の付かない揺らぎが知覚されている。しかし不快ではない。寧ろ、心地良い揺らぎであった。この事実を鑑みても涼宮ハルヒの高揚ぶりが伺えると言えるだろう。

*****

 フト気が付くと予定と比較し、移動速度が二割六分上昇していた。精神的揺らぎに比例し足取りも軽くなっていると推測。
 しかし、私はこの気分をもう少し味わうべく修正因子を凍結した。
 そして、そのまま教室へと足を踏み入れる。

 涼宮ハルヒは団員に告げていた。
 「教壇にエアガンとシューティンググラスを隠しておいたからね」と。
 その言葉を信じ、特に精査する事も無く私は教壇へと近付いた。
 暫し物探し。
 教壇の引き出しから指定された物品を入手。
 小さめの擬似拳銃と青系統の防護眼鏡だった。

「…………」

 私はそれをジッと観察する。
 使用方法は理解している。

 只、それを長門有希がどう使うべきなのか? 
 涼宮ハルヒはどの様な形を望んでいる?

 演算を開始する直前、廊下に響く足音を察知。
 誰であるかは直ぐに想像出来た。
 そちらへと視線を向ける。
 予想通り彼だった。
 彼が私の佇む教室を廊下から覗き込んでいる。
「よう……」
 片手を軽く上げ、のんびりと声を掛ける彼特有の挨拶。
 困った様な照れた様な微妙な表情を浮かべ頬を指で掻いていた。
 私はコクリと小さく頷き教室を横切りトテトテと彼の元へと移動する。
 私が歩み寄るのを待って彼が口を開いた。
「済まんな、長門。態々ハルヒの我が侭に付き合わせちまって……」
「いい」
「まぁ、何だ、こんな面倒な事は早めに終わらせて、部室でゆっくりしようや。お前も静かに本を読んでいたいだろ?」
 指摘通り読み掛けの本が気になる私は正直に頷く。
 ただ、彼が真意を語っていないのも明白だった。
 
 何時もの韜晦。
 
 彼もこの教練を楽しみにしていたのは周知の事実だからだ。
 教練内容は涼宮ハルヒと彼の相談によって決定されている。
 それを報告する二人の愉しげな表情は非常に印象的なモノだった。

 何故、嘘を吐くのだろうか? 

 私にとってそれは不合理極まりない事象の筆頭格であったが、彼と涼宮ハルヒとの数多くの遣り取りを分析した結果、その認識を改める事にしていた。
 人類にとって自己の思いを正直に告げる事は、相当の覚悟が必要な行動であると認知したからだ。
 それが互いに衝突する事無く平和裏に生活するための知恵であるとも。

 勿論、その一般呼称が“ツンデレ”である事も承知している。

 “ツンデレ”を使いこなす事は容易ではないと想像出来た。
 しかし、高校生活、特にSOS団での活動は様々な体験と経験を私に与えてくれる。
 故に何時か見事使いこなす事が可能であると推測していた。その日が待ち遠しい。

 しかし、情報生命体である思念体にとって、誤った情報を伝達する“韜晦”“ツンデレ”という概念は、未だ理解の範疇外にあるらしく、特に思索派からそれに関する情報提供を強く懇願された。
 その懇願を吟味した結果、私は読破した哲学・心理学の書籍及び大量の少女漫画類を一纏めにして提出。
 それらの情報に触れた思索派は瞬時に沈思の海に沈んだ。
 現時点に於いても依然として其処を漂っているらしく、人類の時間的感覚で例えると、億年単位に亘って帰還する事は無いと言われている。
 それ程、人類と呼称される有機生命体の精神的構造は我々にとって未知なる領域でもあったのだ。

「全くハルヒの奴も、ちっとは落ち着いてくれても、イイと思うんだがなぁ。付き合わされる身にもなってくれってんだ」
 彼の呟きが私を思考の世界から現実へと呼び戻す。
 私はゆっくりと彼へと視線を合わせた。
 薄黄色系の防護眼鏡を掛け、ごつい擬似拳銃を弄る姿はその発言内容と異なり愉しげであった。その表情筋や呼吸量等を精査するまでも無い。
 このような時、どう声を掛ければいいのか……密かに語彙検索を掛ける。
 彼は私の沈黙を気にする事無く、そのまま言葉を続けた。
「何だったら、長門は少し休んでてくれていいぞ。俺がきっちりハルヒを仕留めて来るからさ」
 彼が伝えようと試みている事柄を理解出来ずに検索を中止し、私はジッと視線を投げ掛ける。
 その視線に押される感じで彼は早口になった。
「あーまぁ、何だ……団長の認可を貰ってさ、大手を振って反抗できる何ざ、これが最後かもしれんしな……精一杯愉しませて貰うさ」
「そう」
 検索を中止していた私の口からはその一言だけが零れ落ちた。
 それに対し彼が何かを言おうと口を開き掛けた瞬間、私にある観測結果が伝達される。
 それは涼宮ハルヒの精神的内圧が一気に限界を突破した事実を示していた。
 溢れ出たそれは瞬時に彼女の願望を具現化する情報改変へと繋がっていく。
 それらの観測・情報収集と並行し情報改変に関する情報を収集する。
 記録上は四十六日ぶりの改変。
 しかし、この規模は……。
 北高敷地内に高圧縮情報因子が満ち溢れた。
 そして、それらは北側校舎に向けて一気に凝縮を開始。
「!!」
 思わず顔がそちらを向いてしまう。
 範囲は狭小、しかし重篤な改変だった。

 ソレは急速に進行していく。

 その周囲で情報因子が数多の物質へと瞬時に変換、ユラリと空気中を漂い中空の一点目掛けて集合。
 何やら有機生命体が発生しつつあった。
 無から有が生み出されていく奇跡の瞬間。
 場所は……北側校舎東側階段の四階踊り場。
 私が収集し伝達する情報に思念体が歓喜の声を上げる。

「ど、どうした、長門? 何かあったのか?」
 彼が私の視線を追って同じ方向を向くが、其処にはただ壁があるだけでしかない。
「???」
 彼が小首を傾げているが勿論説明する気は無い。
 どうやら、季節外れの桜や鳩の復活と言った……静かに観測を続けられる類の改変では無さそうであった。
 
 ……彼や他の団員に悟られてはいけない。
 何時もの如く、秘密裏に処理しなければ。

 消極的ではあるが思念体も私の判断を支持してくれた。
 直後、新たな情報が伝達される。
 即座に分析。

「!?」
 小さく身体が揺れた。
 改変地点から直線距離にして十三m五十三cm。
 改変地点の階下に朝比奈みくるの存在を確認。
 教室に向かい廊下を移動している最中であると推測される。
 万が一、この改変が危険な物であると仮定するならば……朝比奈みくるの身に危機が迫る前に処理すべきであった。
 涼宮ハルヒと古泉一樹の存在地点を探査。
 二人とも中央校舎。
 詰まり、北側校舎に存在するのは朝比奈みくるただ一人。
 しかし、可及的速やかに現場へと移動すべきと判断した私は、思念体に対しある許可申請を行いつつ歩行を開始した。

*****

「ちょ、ちょっと待て、長門? ……何があった? まさかハルヒか?」
 彼から慌て気味の質問。
 その当然の質問に対し、どう答えるべきか? 
 私は足を止め暫し脳裏で発言を推敲する。
 顔をゆっくりと彼へと向けた。
「……それぞれが単独行動を行うべき。それが涼宮ハルヒの望み」
「確かに、ハルヒならそう考えるかも知れんな。でもな……ってちょっと待てって、おい、長門!?」
 彼の台詞を最後まで聞かず、私は背を向けトットットと早足で廊下を移動する。
 背後から彼の「やれやれ……」と言う決め台詞が聞こえた。
 どうやら追求を諦め私と反対方向へと移動するらしい。
 その台詞を背に受けつつ曲がり角を曲がり二m移動後停止。と、同時に思念体から使用許可が下りる。
 接続地点の周囲五m以内に人が存在していない事を確認し、壁に右手を接触させた。
 高速言語を使用し小声で暗証符号を唱え、右手を介して情報改変因子を送り込む。
 この壁と改変地点を一時的に結合。
 壁が瞬時に墨汁を垂らしたかの如く黒ずんだ染みに覆われた。
 範囲は縦二mの横六十cm。
 滅多に使用許可が下りない次元移動法。
「…………」
 通常ならば、その黒い蠢く染みに飛び込んで移動するのだが、何故か私は脳裏に浮かんだ形象を実践してみたくなった。
 彼から貸与された本の中にあったアレを思い浮かべる。
 高速言語にて脳裏に浮かぶ映像を具現化し伝達。
 黒い染みは桃色の木製扉に修正された。
 脳裏に名称を告げる独特の間延びした声が高らかな音楽と共に響く。
 私はコクリと頷いて取っ手に手を掛けた。
 静かに開ける。
 目の前には北側校舎の廊下と階段が広がっていた。
 そこが目的地。
 私はゆっくりと扉を潜る。
 勿論、名称を呟く事も忘れない。

「……どこでもド●」

*****

 扉を潜り終えると同時に、扉に右手を添え再度暗証符号を唱え次元移動法を終了する。
 放置しておくと周囲へ悪影響を及ぼす恐れがあるためだ。
 瞬時に桃色の扉は通常の壁へと復帰。
 現在地、北側校舎の東側階段四階。
 廊下の終着点。
 前方に伸びる廊下及び階段下に人影は無い。
 私はゆっくりと身体を屋上へと至る階段上部の踊り場へと向けた。
 数多の物質が集合していた地点だ。
 見上げたその先にはボンヤリと佇む影が一つ。
 まるで自分が何者で此処が何処だか理解出来ない風情だった。

「…………」
 それは私も同様。
 人間以外の存在が立ち尽くしているとは予想していなかったためである。
 しかし、その姿を目にした瞬間、私は情報を閲覧し、涼宮ハルヒの発言を確認した。

「この訓練を聞きつけて、超巨大極悪秘密結社が怪人を送り込んでるかもしれないわ」

 対象を観察。
 推定値を算出する。
 身長二百三cm、体重八十三kg。
 それ程能動的には見えないが、外見で判断するのは危険だと、蓄積された経験則が警告を発する。
 その外見は……戯画調に形成された巨大なコウテイペンギン。
 子供番組向けの安っぽい素材を組み合わせた着グルミと断言してもいい。
 滑稽ではあるが決して可愛い訳ではない。
 更に言えば私の趣味に合致する事もない。

「怪人……」
 思わず、私の口からその単語が漏れた。
 その呟きが目覚めの合図になったのだろうか? 
 突然、立ち竦んでいたペンギンが目を数回瞬かせ、嘴を大きく開き欠伸を一つ。
 妙に人間くさい仕草だ。
 そして階下に佇む私を睨み付け、大きな羽根をパタパタ上下に動かし「ギョェェッ」と威嚇の声を上げる。

 非常に滑稽な動きではあるが、私はそれに惑わされる事無く音声遮断偏光力場を展開した。
 自身を中心とした半径五m。
 直近にいる朝比奈みくるへの対抗措置として、探査妨害作用も併せて付与する。
 朝比奈みくるにこの改変を認識される恐れが存在する限り、情報制御空間の展開を慎むべきであった。
 直後ペンギンが吼えた。
 右羽根で私をズビシと指差しつつ——訂正する、ペンギンに指は無い——ズビシと羽根差しつつ。

「怪人じゃないどぉ~。オイラは獣人だどぉ~。コイテイペンギン獣人:オリベイセス・ペンギニウス三世だどぉ~!! ざぁ、アマゾ●ば何処だどぉ~? ぶッ倒してやるどぉ~!!」
「…………」

 ●マゾン……。
 一号でもなく二号でもなくアマ●ン。
 更に言えば、クウ●でもなく龍●でもなくアマゾ●。

 これが涼宮ハルヒの願望だとするならば、それは恐ろしく一般人離れした願望であると言えるだろう。
 流石と賞賛すべきであろうか?

「ざぁ、アマゾ●ば何処だどぉ~? 娘っ子~?」
 どうやらペンギンは私と意思疎通を図っている様だ。
 若しかすると、平和裏に改変を終了する事が出来るかもしれない。
 私はコクリと小さく頷き、ペンギンに向き直った。

「ここには存在しない」
 私は淡々と事実だけを告げた。
 それは事実だからだ。
 涼宮ハルヒは怪人には言及した。しかし、それを倒すべき正義の味方に付いては一言も述べていない。彼女が口にしたのは以下の様な台詞だった。

「その時は遠慮せずにあたしを呼びなさい。怪人なんか返り討ちにしちゃうんだから!!」

 詰まりは彼女の中では自分自身が正義の味方なのだと推測出来る。
 当然の事ではあるが呼ぶ訳にはいかない。
 それは彼を始め、多くの人が望んでいない結果を迎えてしまう事になるだろう……。

 事実を告げたにも係わらず、怪人——訂正する、アマゾ●の場合は獣人が正式呼称——獣人は納得しなかった。
 どうやら知性的には高い訳ではないらしい。

「ぞんなばずはないどぉ~!! アマゾ●がいるがら、オイラは此処にいるどぉ~!! 娘っ子、隠すど痛い目に合うどぉ~」
「隠している訳ではない。事実を述べているに過ぎない」

 獣人と心温まる会話を継続しつつ、朝比奈みくるの動向を簡易観測する。
 未だ教室に留まっている様だ。

 ……近過ぎる。早急にその場所から移動すべき。

 そんな考えが脳裏を過ぎるが、しかし、その願いも空しく朝比奈みくるが移動を開始する事はなかった。
 それでは……朝比奈みくるに気が付かれず、且つ可及的速やかに情報改変を終了させるには? 
 演算開始。
「娘っ子~、無視するづもりなのかだどぉ~? アマゾ●は何処だどぉ~?」
 押し黙ったまま演算を開始した私に対し、濁声で語り掛ける着ぐるみペンギン。
 その濁声は酷く耳障り。
 獣人へと向いてしまう意識。
 それが原因で私は設定入力時に単純な誤りを犯してしまった。

「迂闊」

 演算が中止され電算装置より初期設定の再入力を要求された。
 この緊急時に……私は何をしているのだろう?
 そんな私の心情を無視して、未だに「アマゾ●は何処に居るのか?」と羽根をパタつかせ足を踏み鳴らし、執拗に質問を繰り返すペンギン。
 聞くに堪えない濁声が頭の中で響き渡り、それに呼応し私の内部で何かが発生した。

 イラッ……。

「???」
 この違和感は何?
 過去情報を閲覧。
 最も複合要素合致率が高い情報を検索する。
 発見。
 閉鎖空間と呼称される異次元空間を生み出す直前、涼宮ハルヒが感じているあの感情。
 観測者の私も幾度か同調してしまったあの不快な感覚。
 現時点で私の内部で発生しているこの違和感は、それが最も合致していると思われた。
 その違和感が一気に内部で膨れ上がる。
 重篤な錯誤。
 初期設定入力中止。
 その直後、私は違和感を生み出す源である獣人に対し、私は無意識に平和裏な言葉を投げ掛けていた。

「再度明言する。この時空には存在しない。貴方もこの場に存在するべきではない。不必要。更に言えば邪魔。可及的速やかに消え去るべき」

 獣人は私の宣言を聞き羽根をバタつかせ「ムギョ~」と一声。

「生意気だど、娘っ子~!! ……わがったどぉ~。ぞれなら、娘っ子を苛めて、アマゾ●を誘き寄せるどぉ~。だがら、今がらオイラは娘っ子を苛めるどぉ。娘っ子、早くアマゾ●を呼ばないと酷い事になるどぉ~」

 パタパタと羽根を動かし警告を発するペンギン。
 その人を小馬鹿にした動きと濁声は、私の内部に再び強い違和感を発生させた。

 イラッ!!

 ……この違和感は私の内部を掻き乱す。非常に不快。
 瞬時に、このペンギンは私の感性と未来永劫相容れない存在であると断定。思念体に対し観測中止を強く要望する。その直後、この違和感を早急に修復すべき……と常ならぬ願望が湧き上がるのを自覚した。
 その感覚に戸惑いを覚え獣人から意識が逸れた直後、突然、ペンギンが階段に向かってその巨体を躍らせた。
「クェェェ!!」
 本物のペンギンが水中を泳ぐ際に使用する流線型姿勢を空中で取り、一気に私へと突進してくる獣人。
 想定以上に身軽、且つ、予想外の動きだった。
 不意を突かれた私は、しかし、動揺する事無くペンギンの着地地点を予測演算。
 結果……目標地点は私の腹部。
 対象の距離と速度を計測……回避不可能。
 了解。
 両手を交差し、前面に分類上丙級の防壁を緊急展開する。
 ゴッ……!! 
 直後、防壁にペンギンの巨体が衝突。
 辛うじてその突進を受け止める防壁。
 想定以上の破壊力と言える。
 周囲に響く轟音。
 震える空気。
 それに伴い遮音力場も振動した。
 そして、私は衝撃を吸収しきれず背後に飛ばされる。
 しかし、それは予測範囲内の事。
 ペンギンの体重は私の二倍以上だと推定されていた。
 それはこの生体端末で支えきれる重量差ではない。
 故に私は空中で身を捻り衝撃を逃がす。
 天井~壁~床と視点が一回転。
 伸身月面宙返り。
 壁際にてフワリと降り立つ。
 しかし、顔を上げた瞬間、目の前にペンギンの巨体が出現した。
「!!」
 どうやら、私の動きは読まれていたようだ。獣人に素早く間合いを詰められていたらしい。

 ……迂闊。

 そのまま眼前に現れたペンギンが、その勢いを保持したまま右羽根を鋭く打ち振るった。
 ピュィッと空気を切り裂く鋭い音が左下方から迫る。
 着地直後にも係わらず、私は休む暇も無く左側方宙返りを繰り出す羽目になった。
 再度フワリと宙に舞う私の身体。
 天地が逆転。
 頭上を羽根が轟音を立てて通過する。
 それが私を捉える事は無い。
 しかし、チッと微かな擦過音、それを追う様にガスッと壁際から鈍い音が聞こえた。
 私は側方宙返り+後方宙返り二回捻りを決めて、教室側廊下へと移動し距離を取った。
 慎重に獣人の様子を伺う。
 ペンギンは右羽根を振るった勢いのまま一回転し私へと向き直った。
 コンクリート製の壁には斜めの裂傷。
 内部の鉄筋毎鋭く切り裂かれている。
 どうやらペンギンが羽根を振るった成果らしい。
 中々の威力……。
 獣人が得意げに羽ばたき「ギョギョギョ~」と濁声で笑い声を上げるのを聞きつつ、私は左手でカーディガンの裾を持ち上げた。
 横目で確認。
 左裾端が五cmほど斜めに切り落とされている。
 切れ目の繊維が一本たりとも伸びていないところを見ると、あの羽根は相当な切れ味だと判断すべきであろう。
 完全に回避した心算だったのだが……どこかで演算を間違ったのかもしれない。
 しかし、お気に入りのカーディガンを傷物にされた私の内部で何かが生まれた。

 ムカッ……。

 言い知れぬ好戦的感情が発生。
 そして、ペンギンの得意げな濁声がそれを助長する。

「ざぁ、娘っ子~。諦めてアマゾ●に助けを求めるどぉ~。今のはちょっとじたデモンストレイションだどぉ~!! 本気出すと娘っ子、泣いちゃうんだどぉ~」
「私は泣かない。泣く筈が無い。泣きたくも無い……貴方は私に敵対行動を取った。因って強度の直接的実力対抗措置を講ずるべきと判断する」

 私の宣言をポケッとしながら聞いていたペンギンは、まるで子供の様に足をバタつかせ言い放つ。

「……さっきから娘ッ子の言う事は難し過ぎだどぉ~!! 若しかして、オイラをバカにしているのかだどぉ~?」
「わりと」
「ムッギョ~ッ!! ムカムカだどぉ~。本気で泣かしちゃうんだどぉ~!!」

*****

 私はペンギンの戯言を完璧に聞き流し、思念体に攻勢状態許可申請。
 基本情報源に接続し申請項目を一つ一つ完了していく。
 それに伴い各種情報を受け取った。
 申請完了を知らせるために、目標とその行動目的を宣言する。

「個体識別名称……コイテイペンギン獣人:オリベイセス・ペンギニウス三世……を敵性存在と判定。これより、当該対象の有機情報連結解除を実行する」

 即座に思念体から了承の意が伝えられた。
 しかし、殲滅体勢解除は不認可であった。
 ……現状の様に能力制限状態での殲滅体勢は、この生体端末に深刻な影響を与える事が確実視されるからだろう。
 その様な悪影響を蒙ると、改変修正及び現状復帰作業に支障を来たす恐れもある。
 故に私は通常状態のまま戦闘行為に突入する決意を固めた。
 同時に体内に備蓄されている情報改変因子の半数を、攻性因子・防護因子に変換し順次活性化させた。
 ソレと平行し獣人の能力を推定値での算出を試みる。
 私が実際に対戦した敵性存在の内、一番手強かった朝倉涼子の情報を抽出。それを基準とする。各能力値を先程の動きから判断し、比較二割増しで算出する事に決定——訂正する。流石に朝倉涼子に失礼——知性のみは八割減で算出する。
 能力制限がどの程度の負担となるか予測出来ない。
 だが、この情報改変を修復する事は極めて重要であると判断した私にとって、撤退するという選択肢は存在しなかった。

 可及的速やかにこの改変修正を終了させ部室で読書に勤しむべき。可能ならば朝比奈みくるのお茶を飲みつつ。
 それこそが、この内部錯誤を落ち着かせる最良の方法であると判断する。
 
 尚、ペンギンは近接戦が得意であると推測された。
 それに対して私は体重の面で明らかに劣っている。
 更に能力的問題に起因し各因子の並列同時使用が不可能でもある。
 詰まりは打撃戦に付き合うのは得策ではない。
 ここは遠距離戦に徹するべき。

 私は大筋で戦術を決定。
 ペンギンの動きを牽制し射撃戦に集中するため、変換した防護因子を一気に放出。
 拳大程度のシャボン玉に似た半透明の球体を三つ作り出す。
 それぞれが分類上乙級の防御力を持つ自律性球体型防御障壁。
 空中に静かに浮かぶそれは私個人への敵性存在による接近・攻撃に対し、自律的に防衛障害行動を取るよう命じられた防御装置であった。
「お~、何だか綺麗だどぉ~。娘っ子、ごれはなんだどぉ~?」
 ペンギンが暢気に感想を述べている間に、私は右掌に攻性因子を集中させた。
 右視界内に対象との距離やその速度等を観測するための電測照準器が浮かび上がる。
 即座に照準をペンギンに合わせた。
 

 ピッ!! 

 照準器より射撃可能との結果報告。
 私は淡々と結果を口頭で伝達する。

「射撃戦特化完了。照準完了。これより射撃戦を開始する」

*****

 その間にもペンギンは自律性球体型防御障壁の一つに、ペッタカペッタカ近寄り、ゆっくりと触ろうとしていた。
 ウットリとした「キラキラしていて綺麗だどぉ~」との呟きが耳に届く。

 愚かな行動……。

 その羽根が触れる直前、全ての球体防壁が内部指令に応じた行動を取りペンギンに体当たりを敢行。
 ヒュッと鋭く移動する球体。
 ドスッドゴッベキッと鈍い音を立てて、それらが獣人の身体や顔に減り込んだ。
 「ギエェェ」とも「ギョェェ」とも表現出来る醜い悲鳴を上げて、ペンギンは廊下の上をドッタンバッタンとのた打ち回る。
 私はそれを冷ややかに眺め右掌をペンギンに翳し攻性因子を変換。
 距離は三m三十二cm。
 右掌を素早く左から右へと振った。
 その後を追う様に、鉛筆程度の長さを持つ光弾が空中に十二本形成される。
 照準後即座に放出。
 直後、自律性球体型防御障壁へ退避命令を通達。
 撃ちっ放しの光の矢が空中を飛翔する。
 一瞬で最高速度に達した光弾は空気の壁を切り裂き、のた打ち回るペンギンに肉薄。
 全弾が命中すれば相当の打撃になるものと予測された。
 しかし、のた打ち回りながらもその気配を感じ取ったのだろうか?

「ギョヘッ!?」
 ペンギンが奇妙な声を上げて、うつ伏せ状態のまま羽根を廊下へと力強く打ち付けた。
 ドゴッ!!
と激しい音が響き床のタイルが砕け散る。
 ペンギンの身体は、その反動で一気に一m近くまで上昇、殆どの光弾を回避した。
 目標を外れた光弾がドスドスと廊下に突き刺さり直後に爆砕。
 周囲に更に多くのタイル片を撒き散らした。
 砂埃ときな臭い臭気が周囲に漂う。
 命中した光弾は僅かに一本だけであった。
 しかも短い尻尾に刺さっただけで効果があったようには感じられない。
 その光弾も即座に爆発したが、短い尻尾を更に短くしただけの効果しか上げられなかった。
 ペンギンは身軽に床へと降り立ち、その短くなった尻尾を確認。

「ギョギョ!? オイラのイカシタ尻尾が台無しだどぉ~。何て危ない娘っ子だどぉ~。オイラも本気になるどぉ~。手加減なしなんだどぉ~!!」

とブンブン羽根を振り回し、ギャアギャアと喚きながらペンギンは私へと近付くべく行動を開始した。

*****

「痛たたただどぉ~。痺れるどぉ~!!」
 私が発射した雷撃仕様の散弾を多数浴びて、ペンギンは廊下を転げまわり大袈裟に痛がる。
 私は踊り場に至る登り階段の途中に仁王立ち。
 階下のペンギンを冷徹に見下ろしていた。
 これで通算五度目の攻撃成功。
 ペンギンへの散弾着弾数は軽く三桁に達していた。
 照準器からの観測結果によると、現時点でペンギンの生体波動は一割減少している。
 僅かずつではあるが効果は上がっていると言っても良いであろう。
 威力の観点から考察するに、散弾よりも爆裂光弾を選択すべきだが、それはペンギンが放つ音響兵器により完璧に消滅される事が判明していた。
 何より、あの「ギュゲェェオォォ」と言う呻き声じみた声を聞かされる苦痛を考慮すると、散弾を使用するのも止むを得ないと判断する。
 ペンギンが音響兵器を使用するためには、大量の呼気が必要であると推測された。
 現に私が光弾を形成し照準を付ける間、長時間の吸気行動を確認している。
 所要時間五秒。
 ならば、音響兵器使用を阻害するのが得策。
 故に少々命中率が悪くとも、その間を与えない散弾使用は適正であると自負する。
 周囲の被害は最終的に事後処理に委ね、現状では目を瞑る事とした。

 ペンギンの接近は自律性球体型防御障壁が完璧に抑えてくれている。
 ペンギンは無警戒にドタドタと走り込んでは球体障壁に行動を阻害され、そこを私の狙撃されては廊下をのた打ち回る。
 この流れが幾度も続いていた。
 今回も獣人は「ギョエェェ」「ギョワァァ」と喚き声を上げ、自律性球体型防御障壁を叩き反対に迎撃され仰け反っている。
 何らかの策を講じた様子は皆無だった。
 想定以上に知性が低いと断言する。
 ペンギンの打撃力でその障壁を破壊する事が不可能である事は明白だった。
 ならば、この態勢を維持し徐々に獣人を狙撃していけば問題は無いと思われた——訂正する、問題は存在した——それは時間であった。
 これまで五度攻撃が成功しペンギンの生体波動を一割減少させた。
 この戦術では単純計算で現在の十倍の時間、最低でも十分は必要と言う事だ。
 それまで朝比奈みくるに気が付かれず事を進められるだろうか? 

 それに、涼宮ハルヒ。

 我々にも行動予測が出来ない彼女が“何気なく”この場所を訪れたら……。
 それは思念体を以ってしても完全に否定出来ない推測だった。
 更に朝倉涼子の事例と異なり、今回は準備期間が殆ど取れていない。
 能力そのものも制限下にある。
 貯蔵される情報改変因子もそれほど多い訳ではない。
 少々の危険は冒さざるを得ないと判断すべきだった。

 この訓練の切っ掛けになった言葉が思い返された。
 それは「攻撃は最大の防御って言うだろ?」と言う彼の言葉だ。
 
 ペンギンの戦闘能力と私の能力を厳正に比較対照。
 攻撃に集中した場合でも、肉弾戦や長期戦に縺れ込まなければ問題は無いと思われた。
 思念体から消極的な肯定が返されると同時に、私は一気に大打撃を与えるべく行動を開始する。
 
 防御よりも攻撃を優先。

 自律性球体型防御障壁に対し、対光学兵器用反射防御膜の展開を命令。
 次いでペンギンを中心に三角型隊形を取るよう指令を下した。
 周囲にて包囲網を形成していく球体障壁を見回しながら、ペンギンが羽根をバタつかせ大声で喚く。

「ギョギョ? 娘っ子~、何をする心算だどぉ~!?」
「貴方に説明する必要は皆無にして絶無。何より無駄」
「……この娘っ子、ホント気に入らないどぉ~。ムカムカするがら、オイラもホントのホントに本気を出すどぉ~」

 私はペンギンの戯言を受け流しつつ、右手を翳し攻性因子を光へと凝縮する。
 以前朝比奈みくるが左目から発射した凝集光と同質の物だ。
 流石にペンギンも何かを感じ取ったらしい。無言で身構え私を鋭く睨み付けた。
 規定量まで因子を凝縮しつつ、照準と自律性球体型防御障壁制御を同時に行う。
 配置完了。
 凝集完了。
 照準完了。
 発射。
 放たれた赤暗色の攻撃粒子がペンギンへと光速で迫る。
 直撃かと思われた瞬間、しかし、獣人はそれを回避した。
 偶然なのかどうか、ペンギンが直撃直前に前転受身を取っていたのである。
 目標を外れその頭上を素通りする凝集光。
 獣人は前転の勢いを活かし大きく床を蹴飛ばす。
 蹴られたタイルが砕け散る。
 速度が倍加。
 感嘆すべき脚力と言えた。
 ペンギンはそのまま天井近くまで跳ね上がり私へと一気に迫る。
 羽根を大きく撓らせ攻撃態勢を取った。
 勝ち誇った濁声が響き渡る。

「ギョギョ~。残念だどぉ~。オイラ天才だから、娘っ子の遣る事は見破っていたんだどぉ~!!」
「そう」

 しかし、それも予測の内。
 想定内の出来事。
 回避された凝集光は、予め配置してあった自律性球体型防御障壁に吸い込まれる。
 赤暗色の攻撃粒子が対光学兵器用反射防御膜によって弾き返された。
 それは次の球体障壁を直撃。
 再反射。
 その光の向かう先には落下中のペンギンの巨体。
 それを背後から貫く赤暗色の凝集光。
 左背面下部から獣人の体内に侵入した光線は、腹部を貫き右腹部上部から脱出。
 階段を貫き消滅する。
 階段の一部が吹き飛び削れ落ちた。
 微かに校舎が揺れる。
「ギョバエッ!?」
 ペンギンの口から血反吐と共に奇妙な悲鳴が飛び出た。
 体勢を崩し受身も取れず階段へと墜落する獣人。
 そのまま四階廊下まで、血の雨を振りまきながらゴロゴロと転がり落ちる。
「ギャオガァッ!?」
 私は間髪入れずに追撃の凝集光を作り出し放出。
 手加減無用。
 ペンギンは血反吐を吐きつつ転がって光線を避けた。
「やらぜはせん、やらぜはせんどぉ~!!」
 想定以上にしぶとい。
 しかし、幾ら逃げ回ろうとも、自律性球体型防御障壁によって形成された完璧なる包囲網から逃れる術は無い。
 対光学兵器用反射防御膜により数回反射された赤暗色の光は、ペンギンの腹部正面から背面へと貫通した。
 周囲に飛び散る鮮血。
「ギェェェ!?」
 激痛に苛まれているであろうペンギンは七転八倒。
 その嘴からだけではなく身体に開いた四箇所の傷からも大量の出血。
 その生体波動が急速に減少するのを照準器が捉えていた。

 
*****

 廊下は鮮血に染まっている。
 ペンギンは血溜まりの中にグッタリとうつ伏せ状態だった。
 私は弛緩しピクピクと痙攣する獣人に光線を打ち込むべく右手を翳す。
 攻性因子を変換。
 凝集。
 しかし、私は凝集を中止し攻性因子を体内に引き戻した。
「い、いた……痛い、ど……ぉ。くる……しい、どぉ……」
と言うペンギンの微かな呟きを耳にしたせいである。苦しげな呼吸音を聞いたせいである。
「…………」 
 冷静に考察すれば、私の目的は発現された改変の修復及び現状復帰。
 決してペンギンの殺害ではない。
 況してや、獣人は自ら望んでこの場に誕生した訳ではなかった。
 湧き上がる初めての感情。
 その感情が訴える……ペンギンをこれ以上苦しめるべきではないと。
 齎される情報を鑑みても、獣人の生体反応は既に冬眠状態と言っても過言ではなかった。

 楽にしてあげるべき。

 内面からそう訴え掛ける何かに押されるように、私は収納し直した攻性因子を崩壊因子へと再変換。
 ペンギンに直接注入するために階段を慎重に下った。
 以前の私なら先の散弾や光線に崩壊因子を組み込めたかもしれないが、機能制限を課している現状では不可能であった。
 故に崩壊因子を直接注入するしか選択肢が無いのだ。
 それには、改変因子を常時自動精錬出来なくなっている事も関連している。
 無制限に使える訳ではないのだ。
 非効率的だと考えられる反面、より人に近付いていると思えば悪い事ではない。
 私が階段を降り切るまでペンギンは何ら行動を起こさなかった。
 先程まで聞こえていた苦しげな呟きも漏れてこない。
 生体波動も極微量であった。
 獣人は生死の狭間に居るものと推測される。
 血溜まりの中で静かに横たわっている巨大ペンギンに対し、私は感情の揺らぎを感じた。
 その揺らぎは私にこの改変事件の早期終結を促す。
 それに答えるべく私は血の海に浮かぶ獣人の傍らに跪いた。
 崩壊因子を右手掌に集中させ、ペンギンの血塗れの背中へと近付ける。
 高速言語の使用準備を開始、その文言に集中した……その時の事だった。

 私にとって想定外の事象が発生したのは……。

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  1. 2000/01/01(土) 00:00:00|
  2.  SOS団は狙われてるんだからね!!
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
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