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女神様の絵本箱

「涼宮ハルヒの憂鬱」の二次創作小説ブログです♪ 基本甘々ハルキョンキョンハルメインです(^▽^)/ 先ずはSSリストよりどうぞなのです

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SOS団は狙われてるんだからね!!H(キョン君視点)

SOS団は狙われてるんだからね!!


・粗筋:決断したキョン君に怖いものは有りません(笑)


*****


「続きを読む」からは ……

 やっぱりハルキョン雑用編H:【そうさ、半端な無しだぜ、ハルヒ?】

……になりまーす(^▽^)/



*****

「ぜぇぜぇ……ふぅぅぅ……」

 何年何組かまでは把握出来てないが……兎に角此処は一般教室だ。
 全身を滴り落ちる汗を拭く間も無く、俺は荒い息をどうにか整えようと深呼吸を繰り返す。
 愉しげに俺を追い掛け回すハルヒから逃げ回り、階段を登った直後、この教室に飛び込めたのは僥倖以外の何者でもない。
 古泉達の生暖かい視線を全身に浴びつつ、中庭を駆け抜けたのも、まぁ、楽しく朗らかな記憶さ……と虚勢を張っておこう。
 結構な時間を追い掛け回されたんだが、エアガンが故障したのか、俺はどうにか蜂の巣銃殺刑を受けずに生き延びる事が出来ていた。
 若しかすると、長門が何らかの安全装置でも付与していてくれたのかもな……。
 後で感謝しておくか?

 やっとこさ呼吸が落ち着いてきたと思ったら、行き成り、階段傍から呼びかけるハルヒの大声が聞こえてきた。
「ちょっと、キョン!? アンタに逃げ道は無いわよ? だから、諦めてお縄に付きなさい!!」
「やなこった……」
と俺は小声で返答しつつ、何故不審者役のヤツにお縄を掛けられねば如何のか?と嘆息する。
 ……ハルヒのヤツ、自分の役目を忘れてやがるんじゃなかろうな? 
 俺は両手でデザートイーグルを握り締めハルヒ出現に備えたんだが、しかし、団長様は珍しく慎重だった。
 廊下からは話し声どころか移動する気配すら感じられない。

 若しや階段を登る直前で俺が振り向き様に、デザートイーグルを乱射したのが原因なのか? 
 すっげぇ目暗滅法だったんだが、そう言えばハルヒはビックリしていた気がするぞ。

 そう考えると……何やらホントにハリウッドちっくな緊張感が周囲に充満してる気がしてきた。
 いや、これは緊張感では無いな……ハルヒのヤル気オーラと訂正させて頂こう。
 アイツの荒い鼻息が想像出来るぜ。
 この前は「ハルヒなら撃てる」と言ったが、実際問題、女の子に向けて撃つってのはなぁ……。

「やれやれ……」
と定番の台詞を口にした途端、
「ふっふっふ、そーなの……出てくる心算は無いのね? 判ったわ!! この勝負、しっかりきっかり決着を付けてあげるんだからっ」
と嬉しそうなハルヒの宣言が空気を振るわせた。

 ……どうしてあいつは勝負って単語がこれ程までに好きなんだ? 平和主義者の俺にはさっぱり判らない境地だ。

 しかし、その発言にも反応せず、じっと身を潜めている俺に業を煮やしたのか、ハルヒの苛立った声が再び廊下に木霊した。
「な、中々しぶといじゃない? ……アンタ、どーしてその粘りを勉強に活かせないのよ?」
 「それこそ大きなお世話だ」と顔を顰め、しかし、俺は辛抱強く潜伏行動に全神経を集中する。

 悪いがハルヒ、こう言う我慢比べなら俺の方が圧倒的に有利だぜ? そもそも、男は古くから狩猟がメインの仕事だったんだ……ん? 待て待て、アイツ、カテゴリー的には女でいいんだよな? 

と幾分失礼な事を考えた瞬間、ハルヒの呆れ口調の台詞が耳に飛び込んできやがった。
「そんなんだから、小母様も滅茶苦茶心配して、予備校行きなさいってパンフレット集めちゃうんじゃないかしら?」
 その中に思いも掛けない単語を確認し、俺は瞬時に突っ込みを入れていた。
「ちょっ……待てぃ!! 小母様だと? パンフレットって、何でお前が……」
と言い掛けつつ、俺は脳味噌をフル回転させ一つの仮説に行き当たる。
「!?」
「あら、其処の教室にいるのね!! 待ってなさい凶悪犯め、今、射殺しに行ってあげるからっ」
と舞い上がっているらしいハルヒの台詞を、「凶悪犯はお前だろ?」と思いつつ途中でぶった切り俺絶叫。

「待てっ、ハルヒ!? ……お前、まさかお袋に何か言ったのか!?」
「??? えぇ、昨日お会いしてお話したわよ?」

 その話を総合すると、どうやらハルヒのヤツは昨日街中でバッタリお袋に会ったらしい。
 互いに一回会っただけ(しかも粗一年前だ)の人間だ。
 普通ならば、すれ違ってハイ終わりって事になるのだろうが、其処に両者と面識のある第三者が介在するとなると、話は別モノになっちまう。
 妹が「あっ、ハルにゃーん」と声を掛け、ハルヒも「あら、妹ちゃん、こんにちは」と返事を返し物語は幕を開けたらしい。
 そして、ハルヒとお袋が挨拶を交わし、まぁ、共通の話題として俺が選ばれるのも無理は無い訳なんだが、何故、そこで俺の成績の話になるのやら……。
 実際問題、お袋に「妙なクラブに熱を入れていて、成績が伸びないの」と愚痴られれば、団長様としても黙っていられないってところなんだろうが、道理でお袋や妹の様子が可笑しかった訳だ……。
 ハルヒの事を一体どんな風に解釈したんだか問い詰める気にもならん。
 
 俺は頭痛を感じながらも教室に隠れたまま、
「前にも言ったと思うが、自分の事だ。俺は自力で如何にかする心算だぞ?」
と言い放ってやったんだが、そんな事でハルヒが納得するなら俺はもっと平穏無事な高校生活を送っている筈だわな……とセルフ突っ込み。
「そんなん無理に決まってるでしょ? あたしは小母様に頭を下げられたのよ? これから毎日アンタの部屋で勉強会なんだからね!!」
 案の定、ハルヒは俺の要望をバッサリと袈裟掛けに切り捨て、ウキウキと勉強会開催を宣言するんだが、俺は「断る」と言下に拒絶。
 そのきっぱりとした口調に、ハルヒが何やかんやと噛み付いてくるが、俺は自力でやると言う決意を変える心算は毛頭なかった。

 理由は至極単純な事だった。

 例えば、教師役が長門や朝比奈さん、縦しんば阪中だったとしても、これ程ムキになって反抗する事はなかったであろうと断言する。
 
 だが、ハルヒだけは……。

 これは俺の下らない意地だった。
 ハルヒの才能やらスペックやらはこれ以上無い程理解している心算だ。
 今の俺では色んな意味で釣り合わないってのもな。
 だから、俺はハルヒに手を引いて貰う事だけは避けたかった。
 這い蹲ってでも自力独力で頑張りハルヒの高みまで到達したいと思うのは自惚れなのだろうか? 
 いやいや、男ってのはそんな感じで意地っ張りな生き物だと思うんだが、違うか?

 だから、どれだけ俺の事が心配で申し出が親切心だとしても、いや、だからこそ俺はそれを拒絶する。
 しかし、それをハルヒに説明する術がないのも理解していた……と言うか、こんな赤面モノの決意、恥ずかし過ぎて説明出来んだろ?

 その後も互いの姿を見ないまま会話を続けたんだが、まぁ、当事者の片割れが妥協する心算が無いんでな、話は平行線のままだった。

「……ちょっと、キョン? あんた、いい加減にしないと、幾ら温厚なあたしでも怒るわよ?」
「珍しく気が合ったな。俺も同じ事を言うところだったぜ……でだ、1つ提案があるんだが、どうだ? 聞いてみないか?」

と言いながら腕時計で現在時間を確認する。
 そして、頭をフル回転させ戦術を組み立てていくんだが、済まんな、ハルヒ……お前の苦手な搦め手戦法だ。と言う俺の内心の呟きも知らずに、ハルヒは憤然と「何よ、勿体付けずに言いなさい」と命令する。
 ハルヒの憮然とした表情が想像出来るその口調に苦笑しつつ、俺は一種の決闘を申し込んだ。
 決闘と言えば大層な事に聞こえるだろうが、何の事は無い、有体に言えば、今までやっていたサバゲーの続行を提案したに過ぎない。
 但し、エアガンで撃たれた方が素直に負けを認め、勝者の主張を聞き入れるって条項を追加したのが俺の提案の肝だった。
 勿論、普通に遣りあったなら、長門特製エアガンを持っているハルヒの圧勝だろうが、そこは悪知恵で乗り切らせて貰うさ。
 そのために幾つか言質を取っておく事にした俺。

 案の定、決闘だの勝負だのって単語に目が無いハルヒは大喜びしてて、余り細かい事には拘る気配は無い。
「あたしは、別に構わないわよ? それよりも、キョン? 負けたら、しっかりとあたしの言う事を聞いて猛勉強するのよ? 文句は言わせないんだからね!!」
と既に勝った気で居やがるハルヒは浮かれ騒いでいるんだが、俺はさり気無く念を押す。

 ……ま、ここまでは想定内さ。

「最後に、もう1度だけ確認しておくが、結果が出てから怒るなよ? 例え、お前の意にそぐわない結果だとしてもだ」
「ふっふっふ、何時に無く強気じゃない? いいわよ、そーなったら、素直に負けを認めてあげるわ。まぁ、キョンがあたしに勝てる要素が皆無だって事は、宇宙開闢以来の規定事項なんだけどねっ」
 それは正面から激突した場合だろ? 世の中には謀略策謀ってのが存在していてだな、後から卑怯者とか言うなよ? 
と内心言い訳しつつ、
「そうかい!!」
と一言叫んで、俺は教室から飛び出した。
 ハルヒが潜んでいるであろう階段付近にBB弾を叩き込みつつ、反対方向に猛ダッシュ。
 ……先ずは時間を稼がんとな。

*****

 そして、俺はあちらこちらへと逃げ回りエアガンを乱射しつつ、時折、腕時計で時間を確認する。
 あと残り5分程度で、この訓練終了時間だ。
 さっきハルヒから言質を取ってるからな、時間切れの場合は延長無しだと。“泣きのもう1回”も無しだと。
 詰まりはそこで終了、引き分け、勝者も敗者も無しって事だ。
 多分、ハルヒの事だ、自分の勝利を疑う事も無く、その辺の事を深くは考えて居なかっただろうが、どう考えても白黒付けると尾を引きそうだしな……俺は最初から引き分け狙いだったのさ。
 そして、その程度の時間は隠れていられる場所の目算も立てている。
 そこはハルヒが絶対に入って来れない場所、そして、終わった後に必ず目茶苦茶絡まれるであろう場所なんだが、俺は先程の契約事項を盾に白を切り通す心算だった。
 それに残り5分程度ではマトモな対抗手段を講じる余裕も無いだろう。と言いながら……情けない事にあちらこちらと走り回った俺の体力は限界寸前だった。
 後ろを振り返りハルヒとの距離を確認しようとして、俺は廊下のど真ん中で脚を縺れさせ無様に転倒する。
 目的地の目と鼻の先だってのに……。
「ふっふっふ、とうとう追い詰めたわよ、キョン!! まぁ、あんたも頑張ったとは思うけど、でも、これで最後よっ」
と言うハルヒの歓喜に満ちた勝利宣言が背後から聞こえた。

 ……どうして、コイツは息も切らしていないんだ? 

等と今更どうでもいい事を考えながら俺はゆっくりと立ち上がる。
 転んだ拍子にエアガンは遥か彼方にぶっ飛んでいて、この期に及んでそんな物に頼ろうとは思っていないが、少々心細く感じているのは否定出来ない。

「さぁ、キョン? 今直ぐ負けを認めるんなら、発砲する事は勘弁してあげるわよ?」

 3m程の距離を置いてエアガンを構え、勝利を確信しているらしいハルヒの晴れ晴れ笑顔を眺めつつ、俺は腕時計を確認した。

 残り3分程だ……。

「なぁ、ハルヒ? 勝利宣言には未だ早いと思うぞ? 後3分ちょっとでこの訓練時間も終わりなんだが、それまで俺が逃げ切れば……」
「あっきれた!! この状態で、どーやって逃げ切る心算よ? ……あんたってそんなに諦め悪かったっけ?」

 「……時と場合と相手と状況によるな」と態とノンビリ答え、しかし、次の瞬間、俺は朝倉のナイフから転がり逃げたあの瞬間に匹敵する速度でクイックターン。
「……え?」
と言うハルヒの呆気に取られた疑問形の呟きを背に、最終目的地点、右脇に存在している男子トイレに一目散で飛び込んだ。

 ……さぁ、入って来られるんなら来て見ろってんだ、ハルヒ。

*****

 俺は茹で上がった脳を急速冷却すべく頭から冷水を被る。
 床ばかりではなく自分の制服もずぶ濡れになっていくんだが、そんなの気にしている余裕何ざあるかい……。
 時間を確認。
 残り1分少々。
 俺は自らの策が適中する快感に酔いしれつつ、「ククク……圧倒的じゃないか、我が軍は」と呟いた某軍総帥の気分を実感しながら、目の前の鏡を覗き込んだ。
 ……正直、これ程までに作戦が想定通りに推移するとは思って居なかったからな。
 望外の喜びだぜ。
 俺はニヤケル顔を再度洗い、ハルヒに叩き付けてやる言葉を考え、しかし、出来れば穏便に済ませられる言葉がいいんだが……と考え込んだ。

「残念だったな、ハルヒ」
「ハルヒ、惜しかったな」
「ふふん、俺の勝ちだぜ」

 ……うーん、どれもこれも言った瞬間、ハルヒに瞬殺されそうだな。
 俺は何も考えずに鏡の端に映った人影に問い掛けた。

「なぁ、どれがいいと思う?」
「ふんだ、あんたが何を言っても、あたしは宣戦布告と見なすわよ?」
「そうか……いいっ!?」

 俺は会話が成立した事よりも発言者が此処に侵入して来た事に驚いた。
 勢いよく振り返ると、ゴゴゴと暗黒オーラを吹き出した団長様が口だけニコニコと笑いつつ俺を見詰めている。
 暫し無言のまま2人の視線が交差し、直後、俺は我を取り戻し絶叫する。
「ちょっ待て!! ハルヒ、お前……此処は男子トイレだぞ!?」
 俺は右手を勢いよく振って男子トイレ特有のチューリップ群を指し示す。
 それに釣られてそちらを横目で確認したハルヒは、ボッと音が出る程真っ赤になり慌てて顔を逸らした。

「こ、ここが何処だって……い、いいじゃない!?」
「いい訳あるかいっ。お前、恥じらいってもんをだな……」
「うううっさい、バカキョン!! あ、あんたがこんな所に逃げ込むから、あたしは仕方が無く……」

 ……今の流れでどうして俺が悪い事になるんだ? 

と呆れ返っていると、何時の間にやら羞恥心を遥か彼方に投げ捨て、開き直ったらしいハルヒ鬼の形相が俺の生存本能を刺激した。

 ……あれ? 若しかして、俺、不味くね?

 只でさえ、殆ど常識を省みないハルヒが更に自暴自棄になってるんだ。
 何を仕出かすかさっぱり想像出来ないんだが……。

「ふっふっふ、こんな屈辱、産まれて初めてだわ。流石はキョンね、あたし、感心しちゃったわよ?」
「あー、ハルヒ? さっぱり褒められている気がしないんだがなぁ」
「えぇ。勿論、褒めてる心算何て、全然無いわよぉ……」

と優しく囁き、何故かハルヒはエアガンを逆様に握り直した。
「ねぇ、キョン? 銃殺じゃなくて……撲殺しても、あたしの勝ちになるわよね?」
 俺は後退りつつ「いやぁ、それは無理があるんじゃないかなぁ?」と愛想笑い。
 エアガンを棍棒の如く振り上げているハルヒは、マジで怒れる女神そのものだった。

 ……あんなんで殴られたら本気で病院送りになりそうだ。

「あははー。病院? 遠慮しないで……地獄に行って来なさい!!」
と笑顔のままハルヒは躊躇無くエアガンを振り下ろした。
 咄嗟に避けた俺の足元でタイルが砕け散る嫌な音が聞こえる。
 窓際まで飛び退いた俺の全身は冷や汗塗れとなった。

 ヤバイ、ハルヒのヤツ、本気の本気でマジだ……。

 慌てて俺は背後の窓から外を確認した。
 此処は2階。
 ハルヒに殴られるよりは飛び降りた方が被害は軽そうだと判断。
 その時間を稼ぐためにハルヒに声を掛ける。
 声が震えているのはご愛嬌ってヤツだ。

「ま、待てっハルヒ!? あ、あと30秒程でタイムアップだぞ? ど、どうだ? こここ此処は両者痛み分けって事で、手打ちにしないか?」
「安心しなさい……勉強なら病院でも出来るわよ? あたしが看病共々面倒を見てあげるわ……あら? ふふっ、じゃあ頭と右手だけは勘弁してあげなきゃね……」

 ハルヒは何やら病的な笑みを浮かべ、それは俺に逃亡を決断させるに相応しい何かを備えていた。
「じょ、冗談じゃない!!」
 勉強を教わるのが嫌なのか、病院送りが嫌なのか、自分でも判らないまま俺は振り向き様に窓枠へ右足を掛けて身を乗り出した。
「……え? ちょ、ちょっと、キョン!? な、何遣ってるのよ!?」
と言う切羽詰ったハルヒの叫び声を背に受けつつ、俺は無言で窓枠を蹴り飛ばし空中に飛び出した。
「キョ、キョン!?」
 ハルヒの甲高い悲鳴を聞きながら、俺は地面へと落下する。

*****

 俺はゼェゼェと荒い呼吸を繰り返した。
 地面に大の字で転がり、空を見上げ生きている事を実感。
 何気に右手を動かすと、未だにしっかりと八重桜の枝を握っていた。
 俺の命の恩人でもあるその枝は、飛び降りる前に予め目星を付けていたヤツだった。
 幾ら俺でも無計画に飛び降りたりするかっての、そんな事をして無事なのは長門位なもんだ。
 んで、その枝に両手でしがみ付き、平穏無事に地面に降りる予定が——どうやら、俺の体重と落下の衝撃に耐えられなかったらしい——ポキリと折れちまいやがり、俺は想定以上に高い位置から地面へと転がり落ちたって訳だ。
 俺の腕よりも太いんで大丈夫だと思ったんだがな……まぁ、お陰で怪我らしい怪我もしてないし、有難うと言わせて頂こう。

「やれやれ……」
 上半身を起こすと、俺が叩き折った桜の枝や葉っぱが其処等中に散乱していた。
 ……思いっきり環境破壊じゃないか、と自分の行動を思い返し反省する。

 幾ら男の意地だと言っても、少し無謀すぎたか……。

 その場で胡坐を掻いて序に頭も掻いていると、頭上からハルヒの震え声が降ってきた。

「キョ、キョン!? ……ぶ、無事なの? 怪我……してない? ま、又頭打ったりしてない?」
 「あぁ、大した事は無い」と言いながら見上げると、ハルヒが俺を見詰めていた。
 見た事も無い表情のままで。
 それは……呆れているのか、怒っているのか、はたまた心配しているのか、全く読み取れないものだった。

「な、何で……?」
「あん?」
「何で!! ……何で、あんたは其処までして、逃げ回るの? そんなに勉強したくないの?」

 衝撃が去ったのだろう、何時もの団長モードに戻り、ハルヒは俺を涙目のままで睥睨したまま問い質す。
 無難な答えを検討する間も無く勝手に口が動き、「一身上の都合ってヤツだ。深くは追求するな」と素っ気無く返答する。
 そして、この話題は終わりだと言外に匂わせ、
「まぁ、取り敢えずはだ、時間切れってヤツだぜ、ハルヒ?」
と言いながら俺はゆっくりと立ち上がる。
 どうやら、殊の外上手く受身を取ったらしく、打ち身以外の痛みは皆無だった。
 やれやれ、これで本日の営業は終了したなと、安堵の溜息を吐いた俺なんだが、しかし、それで終わらないのが俺達SOS団のいい所だ……。

「まだよっ。まだ終わりじゃないわ!!」
と叫ぶとハルヒはエアガンを階下に投げ捨て、
「まだ、もう少しだけ時間は有る筈よ!? 絶対にあたしはキョンの成績を上げるんだからっ」
と涙混じりの絶叫しやがるんだが、俺は反射的に言い返す。
「お前こそ、何でそこまで俺の成績に拘る!? 古泉に何か言われたのか? それとも……」
「古泉君も、みくるちゃんも有希も全然関係ないわよ!! あ、あたしの一身上の都合ってヤツなんだからっ」
と人の台詞を盗作しハルヒは思いっきり韜晦してくれた。

 ふむ、一身上の都合じゃ仕方が無いな……何てな。そんな事で納得すると思うなよ? 

と突っ込みを入れようとして俺は絶句した。
 何故なら、ハルヒのヤツは俺と同じ様に窓を乗り越えようと試みていたからだ。
「あんたに出来た事が、あたしに出来ない筈は無いわ!!」

 馬鹿野郎っ。
 俺が粗方折っちまったから、手頃な範囲に掴まれそうな枝が無いだろうが!? 直に地面に飛び降りる心算なのか? ……お前、幾等なんでも、そりゃ無謀過ぎるぞ!?

 既に両手と片脚を窓枠に掛けて、ハルヒは半分以上身体を乗り出していた。
 俺はマジで大慌て。
 幾等ハルヒの運動能力を知り尽くしていると言っても、物理的に無理な物は無理だ。
「ま、待て!! ハルヒッ、危な過ぎ……」
と言って俺は思わず口篭り、状況を省みる事無くアル1点を凝視してしまった。

 やっぱり俺も男だって事なんだろう……どんだけ興味が無いってフリをしてても、気になる女の子のその手のシチュエーションってのは結構ズガンッとくるもんだな。

と俺はゴクンと唾を飲み込み、無意識の内に小さな声で呟く。
「白と水色のストライプ……」

 そんな微かな声が聞こえる筈も無いんだが、どうやってかハルヒは、その視線先を特定したらしい。
「!? ……ちょっ、バ、なっ、ど、何処見てるのよ!? こここのエロキョ……え?」
 ハルヒは捲り上がっていたスカートを慌てて両手で隠し、真っ赤な顔で文句を喚きつつ、しかし、両手を離したせいでバランスを崩した。
 外に向かって。

*****

「!?」
 そのまま頭を下にしてゆっくりと落下するハルヒを、俺は正確に認識する。 
 云わんこっちゃ無い!!
とか、
 ハルヒの馬鹿野郎!!
とか、
 間に合わない!?
とか……そんな事を考える余裕も無く、俺の身体は無意識の内に、猛然と前に向かって駆け出していた。
 ハルヒ以外の全ての存在が視界から消える。
 時間の流れが緩やかになる中、俺はあの時の朝倉を凌駕する速度でハルヒの元へと走った。
「間に合え……間に合えっ、間に合え!!」と念じつつ。
 そこいら辺から記憶が曖昧だった。
 一瞬ハルヒの落下速度が緩やかになった事。
 ハルヒを抱き止めた事。
 そのまま抱え込み身体を回転させた事。校舎に背中から激突した事。
 それら全てが痛みや衝撃と共に消し飛んでいた。

*****

 気が付けば、俺は校舎に背を凭れ掛けていた。
 腕の中にはグッタリとしたハルヒ。
 俺は抱き締めたハルヒの様子を窺おうとして、唐突に復活した痛覚に思わず呻き声を上げた。
 特に衝突の衝撃を一身に受け止めた背中がメチャ痛いんだが、ざっと確認したところ、骨が折れていたり頭をぶつけていたりと言ったヤバ気な外傷は無さそうだ。

 よくもまぁ、落ちてきた人間を抱き止めておいて、俺もこの程度で済んでるよな。

と変な感心をしつつ、それでも、俺は自分の事を脇に置いてハルヒに声を掛けた。
「いてて……お、おい、ハルヒ!? だ、大丈夫か!?」
 お姫様抱っこ状態のハルヒはゆっくりと顔を上げた。
 その顔色は土気色で唇は真っ青。
 良く見れば、その身体は小さく震えているじゃないか……。
 「大丈夫か?」「痛い所無いか?」「気分は悪くないか?」と矢継ぎ早に質問しつつ、最悪、長門の能力を当てにする気満々の俺だった。
 しかし、有り難い事にハルヒは俺の質問毎に小さく頷く。
 何処も痛くは無いって事か?と俺は安堵の溜息を漏らしながらも、ハルヒの身体を目視で調べてみる。
 出血もしておらず、目立った大きな傷はナッシングで、まぁ、擦り傷や打ち身はご愛嬌って所だ。
 それを確認し安心したところで、俺は早速苦言を呈する事にした。

「なぁ、ハルヒ? 今回は幾等なんでも危な過ぎだ。奇跡的に怪我をしていないみたいだが……」
「…………」

 ハルヒは俺の苦言を聞いているのかどうか、ぼんやりとしたままノロノロと右手を俺に向かって伸ばし、俺が「???」と見詰める中、人の肩を掴むと満足げに囁いた。

「キョン……掴まえた。これで……あたしの勝ちよ? さぁ、約束通り、あたしの言う事を聞きなさい」
「……お前な、今はそんな事はどうでもいいだろうが!?」
「よ、良くは無いわよ!? 今のあたしにとって、一番重要なのはソコなんだから!!」

 死にかけた奴の言う台詞じゃないんだが……呆れつつ俺はハルヒの瞳を覗きこみ、あっさりと白旗を揚げた。
 その瞳が高らかに宣言してやがる。

 「あたしは全然悪くないんだからね!!」

 こうなった時のハルヒに何を言っても無駄だ。
 気が付けば、死人同然だった肌に血の気が戻り震えも止まっていた。
 どうやら、さっき激昂した事で体調その他諸々がリセットされたらしい。
 ……便利な身体だな。

「1つだけ、教えてくれるか? 本当に……何で其処まで俺の成績に拘る? 俺にはさっぱり理由が判らん。判らんから反抗しているみたいな感じなんだが?」

 俺はハルヒをお姫様抱っこしたまま、半分程度は本音を交えて質問し顰め面で答えを促した。
 人の勉強の面倒を見たいって、そんな理由で2階から飛び降りるか、普通? 

「な、何で、そんな簡単な事が判らないのよ!? って言うか、気が付かない振りしてるんじゃないでしょうね!?」
「???」

 簡単? 
 ならばと少々考えを巡らせてみたんだが……済まん、やはり皆目見当が付かん。

「し、信じらんないわっ。このバカキョン!! SOS団危急存亡の秋なのに、それを気が付いてないの!?」
 「バカキョン」だの「信じらんない」だのと連呼するハルヒは、人の腕の中で、捕まった鰻の様に暴れまわるんだが、おい、危ないっての……。
「あぁ、そう言えば秘密結社がどうとか言ってたな。それか……だが、それに関しては、こんな……防衛訓練だったな、それを遣って対策を講じてるんだろ?」
「ひ、秘密結社なんて幼稚な事はどーでもいいの!!」
「は?」
「そんな想像上の脅威よりも、もっと現実的で切実な事があるでしょうが!?」
「???」

 人が考え込んでいる最中も、大学受験をどう考えているのかとか、内申書の心配をしなさいとか、ハルヒは柳眉を逆立て喚き散らしているんだが……お前は俺のお袋か。

「だ、誰が、あんたのお母さんよ!?」
「いや、2年になってから、散々お袋に聞かされていた話、そっくりだったんでな」

 「だったら、もっと頑張りなさいよっ、このバカキョン!!」と言いつつ、プンスカ怒ってハルヒはソッポを向いちまったんだが、お前、俺の質問に答えてないぞ?

「……あんた、SOS団の事、どーする心算なの?」
「は?」

 俺の成績とSOS団に何の関連があるんだ? あまりに唐突過ぎやしないか? あぁ、成績が悪くて予備校通いでもさせられたら、団活時間が削られるとか、そう言う心配か?

「ち、違うわよ!? だ、だってこのままじゃ……高校卒業と同時に、SOS団の解散が確定しちゃいそうで、あたし、そんなの嫌だもん」
「??? 卒業しても続けりゃいいだけじゃないのか?」

と言う俺のあっさりした問い掛けがハルヒの何かを刺激したらしい。

「つ、続ければいいってもんじゃないでしょ!? 皆でみくるちゃんの後を追いかけて、一緒の大学で再結成しなきゃ意味無いじゃないの!? い、今のままじゃ、あ、あんただけが……」
「…………」

 朝比奈さんや鶴屋さんが志望しているのは、確か有名な古都の名を冠した国立だったよな? ……うむ、確かに今の俺じゃ「志望しています」とすら口に出来ない。況してや「独力で何とかしてやる」とも言い切れない。
 困り果てた俺は適当な事を口にしつつ、どうにかこの場を収めようと悪戦苦闘するが、当のハルヒが全く納得してくれない。
 不毛な遣り取りが暫く続き、そして遂にハルヒが目の前で絶叫する。
 涙をポロポロ流しながら。
 幼子の様に。

「ど、どーして判ってくれないのよ!? 有希やみくるちゃんや古泉君がいたって……あ、あんたが居ないSOS団なんてっ」
「ハルヒ……」
「SOS団はあたしとキョンで作ったのよ? それを忘れたの!?」
 
 そんなこたぁ、今更言われんでも判ってるわい。どうやったら忘れられるのか。俺が教えて欲しい位だ。

 しかし、ハルヒが何を言いたいのか、何を心配していたのか、漸く俺は悟る。
 そして、自分が居ないSOS団ってヤツを想像するんだが、何故か、俺が存在しないにも係わらず、皆楽しそうに笑顔なんだな、これが……。
 
 同じ大学で同じサークル。
 学部は違えど、申し合わせて学食で一緒に食事をし、帰り掛けにファミレスや居酒屋に繰り出す。
 勿論、休日にも何処かに出掛けたり、徹夜で語り合ったり……止めとばかりに、偶にハルヒの能力が原因で起こっちまう奇天烈事件。
 くそっ、めがっさ楽しそうじゃねぇか!? 
 何で俺は其処に居ないんだ!?
 更にだ、俺の特等席と言っても過言ではない雑用ポジションに、見た事も聞いた事も無い野郎が居座り、ソイツはハルヒと楽しげに語り合ってだ、あの極上晴れ晴れ笑顔を独占して居やがったりする。
 古泉とでさえ、ムカが入るアノ状況を何処の馬の骨とも判らない男に見せ付けられている!!
 今のままなら相当高い確率で発生する未来予想図に、俺は目茶苦茶嫉妬した。
 悔しさの余り鼻の奥がツンとしてきたじゃないか。

とそんな感じで妄想に振り回されていた俺の耳にハルヒの鼻声が届く。

「あ、あたし、あたしっ、キョンが一緒じゃなきゃ、キョンが傍に居なきゃ、絶対に……イヤ」
 素朴な、しかし、心の篭った一言。
 それが俺の下らない意地を消し去る。
 俺は黙然と青い空を見上げ内心呟いた。

 涙ながらに団長様から請われたんじゃ、雑用としては断れんな……。

とこの期に及んで自分の気持ちを韜晦しつつ、未だ腕の中に横たわるハルヒに俺は顰め面で要請する。

「確かに、俺を除け者にして愉しもう何ざ不届き千万だな。そんな面白くない未来をぶち壊すためにだ、どうだ、ハルヒ? 俺に勉強を教えてくれないか?」
「え? ……いいの? あんた、あんなに嫌がってたのに?」
「まぁ、何だ、勝負に負けたんだろ、俺は? 敗者は敗者らしく、勝者の命令を聞く事にするってのでどうだ? それにだ、順番や方法がどうであれ、目的に到達すればいいって事さ。……勝てば官軍って事で納得してくれ」

 その精一杯の独白にハルヒはキョトンとしたままだった。
 その呆気に取られた表情が豪く俺の羞恥心を刺激する。
 態と乱暴にハルヒの身体を揺すりつつ、

「んで、団長様は、何時までこの格好で居る心算だ?」

とお姫様抱っこである事を暗に指摘。
 ハルヒはキョロキョロと周囲を見渡して——自らの状態を悟ったんだろう——一瞬で顔を真っ赤にし、頭からシューシューと湯気を出したかと思うとワタワタしつつ身体を捻り、俺の腕の中から転がり逃げた。
 そして、ペタンと女の子座りで体勢を立て直すや否や、俺をズビシと指差し、
「あ、あんた、人が大人しくしている隙に、な、何て厭らしい事してるのよ、このエロキョン!!」
と喚きやがる。

 本当に気分の浮き沈みが激しいヤツだ……。

とシミジミ感心していると、団長様は「不敬罪」とか「死刑」とか「私刑」とか、そりゃ姦しいんだが、俺は手に残る感触を思い出し何気なく呟く。
「お前、見た目以上に重いんだな……」
 その一言でハルヒはピキッと硬直し、お陰で静かになったんだが、しかし、次の瞬間には、
「……なっ、何て事を言うの、あんたは!? 普通、女の子にそーゆー事言う!? 言っとくけど、あたしの体重は全国平均以下なんだからねっ、みくるちゃんよりも軽いんだから!!」
とより一層騒がしくなる。
 真っ赤な顔のまま、プンプンと怒っているハルヒの表情豊かな顔を微笑ましく見ていると、ハルヒは何かを思い出したらしい。
「あっ、誤魔化されるところだった!! キョンッ、あんた、何で勉強を見て貰いたくなかった訳?」
「…………」
「正直に答えなさい。そーすれば、今までの団長に対する不敬罪は、不問にしてあげなくも無いわよ?」

 困ったな……。

 俺はどう答えるべきか、尤もらしい答えを作り出すべく頭をフル回転させていたんだが、ハルヒの呟きがソレを中断させる。
「あ、あたし、しょ、正直に言ったわよ? だから、キョンも……」
 再び、俺は空に向かって盛大に嘆息し、「やれやれ」と呟いた。
 確かにハルヒが俺の成績に拘る理由は判明した。
 しかし、俺が抵抗してた理由を此処で言うには、少々恥ずかし過ぎる。
 俺は無意識の内にその回答期限を延期した。
「あー、まぁ、何だ……男の意地とでも言うべき事象でだな」
「…………」
 ハルヒのジト目を浴びつつ、俺はヨッコラセと立ち上がった。
 その最中も口は稼動を続ける。
「大学行くにしてもだ、先ずは合格発表って儀式があるよな? 何処かで待ち合わせて、一緒に確認してだ……歓びを分かち合いつつ、その勢いで理由を説明するってので、どうだ?」
 俺の発言を聞いた直後は、怪訝そうな表情をしていたハルヒなんだが、それが意味する所をきちんと察してくれたらしい。
 俺の顔を珍しげに眺めていたハルヒは、ポケッと口を開いた間抜け顔から瞬時に極上笑顔になり大きな声で絶叫する。

「……それは勉強頑張って、あたしと一緒の大学に行くぞって、所信表明と言う事でいいのよね!? って言うか、あたしはそー解釈したからねっ、今更、取り消しするとか言っても、許さないんだから!!」
「団長様のご随意に……」

 俺はハルヒの傍までゆっくりと歩きそっと手を伸ばした。
 暫くその手を睨み付けていたハルヒは、ソッポを向きつつ渋々握り先程の話題を蒸し返した。

「キョン、さっきの話なんだけどさ……」
 俺はハルヒの小さな手を握り、ヨッと引っ張り上げ、地面に座り込んだ団長様を立たせようとした。

「あん? まだ、何かあるのか?」
「部室に帰ったら、もう1度皆の前で宣誓しなさい。同じ大学を目指しますって。あたしを家庭教師にして勉強を見て貰いますって。そんで、大学行ってから重大発表をしますって」
「はぁ!? な、なんの罰ゲームだ、そりゃ!? そんな恥ずかしい事が……」

と言い掛けたんだが、俺はハルヒの鋭い視線に腰が引けちまい、それ以上の文句を続けられなかった。

「キョンは、追い込まれないと実力を発揮出来ないタイプなんでしょ? だったら、そーゆー状況に追い詰めてあげるからっ、あたしってば、優しいわね!!」

   人を崖ギリギリまで追い詰めておいて、その嬉しそうな微笑は何だよ? 
 ……コイツ、行く末はサド団長か高飛車女王様か我儘女神様だな。
 やれやれ、相手の男が大変そうだ。

とその何処の誰だか判らない男に同情しつつ、遣られっ放しじゃ男が廃るとばかりに俺は反撃に出た。
 引っ張り上げた団長様の了承を得る事も無く、ヨッコラセと再度お姫様抱っこ。
「……え?」
 想定外だったんだろう、ビックリお目々のハルヒの表情を眺めつつ、俺は平然と歩き出した。
「ちょ、ちょっと!? ま、待ちなさいよ、キョン!? ……ま、まさか、このまま部室まで、い、行く心算じゃないでしょうね!?」
 手足を振り回しジタバタする団長様を気にする事無く、俺の脚は2人分の重量を目的地へと運搬して行く。
 「何考えてるのよっ、バカキョンの馬鹿ぁ!!」と真っ赤な顔で喚き散らすハルヒに向かって、表面上は平然と語り掛ける俺。
「俺を追い込むんだろ? だったら、徹底的に追い込まないとな……死なば諸共。そうさ、半端は無しだぜ、ハルヒ?」
 「あ、あたしを巻き込まないでよっ」と言うハルヒの悲鳴に押されるように、俺は猛然と駆け出した。
 その勢いに驚いたのか、目を瞑り「ちょ、ちょっと揺らすな、バカキョン!!」と言いながら、しがみ付いてくるハルヒは悔しげに叫ぶ。

「お、覚えてなさいっ、キョン!! この恨み、家庭教師の時に晴らしてあげるんだからっ。超スパルタ教育でビシビシ行くからね!!」
「あぁ、そうしてくれ。さっきも言ったろ? 半端な無しでってな」

 そんな掛け合い漫才を延々と繰り返しつつ、何故か、俺達は目茶苦茶いい笑顔だった。

 何故だか、さっぱり判らんがね。

 理由については、無事、皆と同じ大学に入るまでに、ゆっくりと考える事にするさ。

 何せ、団長様に自分の気持ちを伝える約束をしちまったと同義なんでな。

 それは受験勉強とは比較にならない程度には、俺を悩ませてくれそうな宿題だったんだが……人生はケ・セラ・セラ何て言うし、ま、なるようになるさ。

 何せ女神様がこんなに素敵な笑顔を向けてくれているんだ……。
 
 どう考えても……スペシャルハッピーエンドが用意されてるのは確定的規定事項だろ?

 と言うかだ、そのために努力してやろうかと密かに決めたんだろ、俺は? 団長様のご期待に背く真似を雑用如きが出来るとは思えんね……。

 全くやれやれだぜ……。


【Das Ende……】
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  1. 2000/01/01(土) 00:00:00|
  2.  SOS団は狙われてるんだからね!!
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<SOS団は狙われてるんだからね!!⑦(ハルハル視点) | ホーム | SOS団は狙われてるんだからね!!G(キョン君視点)>>

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